「ライトノベル」カテゴリーアーカイブ

感想 『ゴブリンスレイヤー 2』 ただひたすらに貫く


ただひたすらに貫く

あらすじ・内容

蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー。
圧倒的人気のWeb作品、早くも2巻が発売!

発売後、即大増刷のヒット作『ゴブリンスレイヤー』。
5月25日発売の「月刊ビッグガンガンVol.06」よりコミカライズ(漫画:黒瀬浩介)連載開始!
「どうか、わたくしどもの街を救っては頂けないでしょうか」
「救えるかどうかは、わからん。だが、ゴブリンどもは殺そう」
ある日、ゴブリンスレイヤー指名の依頼書が冒険者ギルドに届いた。
差出人は水の街――辺境一栄える至高神の都の大司教だった。
大司教はかつて魔神王を打ち倒した金等級の一人として、剣の乙女と呼ばれる英雄でもあった。
彼女いわく、水の街の中に何故か小鬼が出るという。
ゴブリンスレイヤーは妖精弓手、女神官、蜥蜴僧侶、鉱人道士とともに水の街の地下迷宮に挑む!
「この小鬼禍は、人為的なものだ」
蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー第2弾!

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ゴブリンを倒す背中がたくましすぎてカッコイイ.

凄惨を極める醜きゴブリンが本当に邪悪に描かれていて恐怖を覚えるレベルです.

それを考えて考えて工夫して工夫して虐殺をする主人公がある種狂っている感じなんですが,相変わらずその背景が言動の重みと説得力につながっている構成でアツくなります.

キャラクターも固有名詞ではないものの個性がかなり豊かでコロコロ変わる表情と言葉に楽しくなります.

前巻は1巻完結のような展開でしたが今回は伏線もたくさん出てきていよいよ世界観が広がっているので,またその芯で貫いているところをどんどん読んでいきたいですね.


感想 『精霊幻想記 4』 流転する異世界


流転する異世界

あらすじ・内容

両親の故郷カラスキを出立したその足で、ラティーファたちの待つ精霊の里を訪れたリオ。里の民たちから熱烈な歓待を受けた後、情報収集目的でシュトラール地方へと向かったリオは、その道中に見かけた巨大な光の柱に導かれ、奴隷にされかけていた三人の男女を助けるのだが――なんとその中の一人は、リオの前世である天川春人の初恋の少女で!?

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すでに何人か現世からの異世界召喚者がいることが明かされていましたが,この巻で一気に事態が進んだ感がありますね.

戦闘がどれもサクッと終わっているのがあっさりしていたのは残念でしたが,その分今後の大きな伏線だったりキャラクターの機微だったりが細かく描かれているのでそこは良かったです.

ようやく強敵っぽい人が現れたり,え,あの人が!?といったキャラクターがチラッと出てきたりと今後が楽しみになる要素が満載でした.

ただ,せっかくの異世界なのでより世界観が広がっていくような展開を今後も期待したいと思います.


感想 『命がけのゲームに巻き込まれたので嫌いな奴をノリノリで片っ端から殺してやることにした 1』 最悪最高の後出しジャンケン


最悪最高の後出しジャンケン

あらすじ・内容

新井和馬は気が付くと見知らぬ空間にいた。突如現れた「ナナ シ」により、クラスメイトや教師たちと生き残りを懸けたゲームをさせられることを知った和馬は、超高校級の女優・鉄山徹子をパートナーに、その頭脳を武器 に嬉々としてゲームに臨むのであった。第9回HJ文庫大賞「大賞」受賞作が満を持してついに登場!

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こういった作品が大賞を取ること自体がクールすぎです.HJ見直しました.

バトルロワイヤルでゲームを通して殺し合えーな作品でライトノベルでは割と昔からある題材ではあるものの,作者のセンスとキャラクターの言動でしっかりと唯一無二な作品に仕上がっています.

まず最後のゲーム以外は非常にルールがシンプルで,だからこそキャラクター同士,さらには読者に対してもフェアな空気が出ている点がとても良かったです.

また主人公が最高.いや最低か.

どこまでもひん曲がった芯が魂の中心をビシぃと貫いていて見ていて気持ち悪いほどにいい味出してます.

エンターテイメントとして成立させること自体が難しい題材と思ってますが,読みやすさや爽快さを演出する工夫が随所に勝手ながら感じました.素晴らしい.

しかもこれ続巻あるんですね……難しいでしょうがぜひ追いかけたいと思いました.

だけどこれ,個人的におすすめできる人が本当に限られますね!


感想 『無職転生 10』 結婚は墓場


結婚は墓場

あらすじ・内容

前世ではありえなかった!? 幸せすぎる甘い新婚生活!!

三年間の険しい闘病生活を終え、新居探し、披露宴、研究の手伝いと忙しい毎日を送っていたルーデウス。ある日、一通の手紙が届くが、その内容はなんと……!? 人生やり直し型転生ファンタジー、第十弾登場!

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やり直し系と銘打っているだけあって,人生の大イベントである結婚をしっかり描いたのが単純に興味深かったです.

いろいろといざこざが残る伏線がいくつか置かれたものの,概ねイチャイチャとシリアスがバランスよく展開していたという印象です.

特にバトル描写は少なめだったものの,鬼気迫るところはしっかりと圧が高まっていたので飽きずに楽しめました.

特に後半にかけて様々なところで色々な事態が進行している事がわかったので,世界の広がりを感じれました.

幸せいっぱいではあるもののどこかわだかまりが残る部分もある.

主人公の今後の波乱な展開に期待しています.


感想 『いづれ神話の放課後戦争』 くっころ戦乙女と代理戦争


くっころ戦乙女と代理戦争

あらすじ・内容

その眼で、屈服させろ――高潔なる神々を、世界のルールまでも

放課後、絶海の学園で、密かに行われる神話代理戦争――7つの神話の神々をその身に宿す適合者たちは、世界の掟〈唯一神〉の座を争う。だが一人イレギュラーがいた。神々に復讐を誓う魔眼使いの学園生活が今始まる!

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学園という閉じた折の中での神々の代理戦争に巻き込まれる復讐者の主人公.

設定はオーソドックスな代理戦争ものですが各神話体系の薀蓄や能力の工夫で盛り上がりを演出していたのが良かったです.

今回のヒロインの一人である戦乙女が愚直真面目な真っ直ぐな娘で本当読者に優しいです.くっころがイイ!

主人公の能力がハーレム向けなのでこのまま進むのか,意外性が出てくるのかを楽しみにしたいですね.


感想 『折れた聖剣と帝冠の剣姫 2』 国起こしファンタジー討伐編


国起こしファンタジー討伐編

あらすじ・内容

互いに助けあって、新たな国を興すことを決意したルシードと ファルシェーラ、コンスタンスの三人。期限つきのドラゴンとの契約に焦り、資金繰りに苦慮しつつも、三人は次の段階へ踏みだす機会をうかがっていた。 そ んなおり、エルドーム王国からの使者がファルシェーラのもとを訪れる。 使者の名はエルドームの第五王女、リュシール。 エルドームの鉱山から、劫炎禍の 異名を持つ炎の魔物イフリートが現れ、魔物を倒すためにファルシェーラが持つ聖剣の力を借りたいのだという。 申し出を受け、エルドームへと向かうルシー ドたちだが、その行く手にはイフリートの眷族たちが立ちはだかる。 同じ王女の立場から友情をはぐくむコンスタンスとリュシールの未来は、そしてイフリー ト復活の裏に潜む陰謀とは――

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前回が物語の下地を作ったとするならば,今回はその発展でしょうか.

重厚な語り口かつ本格的な描写なので久しくなかったあのハイファンタジー読んでる!って言う感覚になりました.

大物の魔物を討伐して名声を手に入れる……そのために一人の少女と出会ったのが象徴的でした.

結局人が出会うことによって物語というのは走り出すわけですから,出会いと別れの物語であるともいえますね.

最後のヒキもちょうど良い塩梅で,理不尽感は特にありませんでした.

戦闘描写もリアリティがあったので手に汗握りますね.


感想 『セブンキャストのひきこもり魔術王』 在宅しながら無双


在宅しながら無双

あらすじ・内容

一人七役にして七体一役、世界最強の魔術師はひきこもり!?

魔術師ブランは、魔術学園に通う学生ながら、魔術で造った分身に出席を代行させ、自分は朝から二度寝を決め込む完全無欠のひきこもりである。しかしその正体は、世界最強の七魔術師――『セブンキャスト』だった!?

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本体が引きこもっている代わりに分身が色々な役割で大活躍!というコンセプトなんですが,思ったよりも引きこもり要素というか印象がなかったです.

ダラダラしたいという割にはいざというところでしっかり生身で出動する主人公はいいカッコ出来てはいるのですが悪く言えば芯がないような印象を受けました.

ヒロインはみんな可愛く,また敵役の娘も憎めない感じで良いですね.

1巻目で中々大規模な進行だった感じではあるもののしっかり伏線ははられていました.合う人と合わない人がはっきり出ないタイプの作品です.


感想 『セブンスターズの印刻使い 3』 冒険の結末と陰謀


冒険の結末と陰謀

あらすじ・内容

バイトの為に訪れた迷宮で襲い掛かってきた《七曜教団》の 《木星》アルベルを退けたアスタは、離れていた仲間と合流して事態を把握すべく、迷宮のさらに奥へと進む。そして、そんな彼の前に立ちはだかったのは、先 ほどまで一緒に冒険していた同級生・ピトス=ウォーターハウスだった――。本格異世界ダンジョンファンタジー、激動の第3巻!!

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話としては伏線を張りまくって最後にドでかいヒキを作って終わったので少しモヤモヤです.

ただこの作品の醍醐味であるダンジョン戦が綺麗に終わったのが良かったですし,それぞれのキャラクターの思惑や思想がしっかり描かれていた点は満足です.

主人公が思ったよりも足手まといで周りがしっかりフォローする感じですが,今回は少しその特異なところが漏れ出ていたのでそこも良かったです.

また次の巻から新しいステージだと思いますが規格外の敵,一端もまだ見せていない陰謀……そしてロリと見どころがたくさんありそうでワクワクしますね.


感想 『0.2ルクスの魔法の下で』 薄暗い魔法のつぼみ


薄暗い魔法のつぼみ

あらすじ・内容

嘘吐き少年と不良少女が織りなす、学園ミステリックファンタジー。
GA文庫大賞≪奨励賞≫受賞作。

藤倉リザはこの世界でたった一人の“魔法使い”
僕は彼女を――不幸にする。
「どうやってその字を読んだの? この世界の文字じゃないのに」
ある日高校生の東圭輔は、校内で有名な不良娘、藤倉リザの前でうっかり異世界の文字を読んでしまう。
リザは誰もが美少女と認めるが、跳ねっ返りで友達がいない孤高の存在。
そして自称“あちら側の世界”の魔法使い……の孫娘。
“あちら側の世界”に憧れる彼女は、祖母の遺産を紐解き世界を渡る手伝いをしろと付きまとうが――。
「幽霊少女がユニコーンの角を盗んだに違いないわ。あなたも手伝いなさい!」
嘘吐き少年と不良少女が織りなす、学園ミステリックファンタジー。
GA文庫大賞≪奨励賞≫受賞作。

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イラストと本文が完全融合でも果たしてるのかと言わんばかりの相性の良さです.

ヒロインはうざいと可愛いのいい感じのバランスのところにいるうざ可愛いポジションでお得な感じです.

主人公は暗く,のらりくらりと出来るタイプなのにお腹に闇かかえてますと言った印象.こういうの好きな人は良いですね.

この作品の最大の特徴と言えばそのどんどん返しと学園ミステリー部分でしょうね.

何を書いてもネタバレになるので読んで確かめてみてはいかがでしょうか.


感想 『りゅうおうのおしごと! 3』 鼓動する才能


捌き捌かれ.生き様の熱さ

あらすじ・内容

「あいも師匠と一緒に『おーるらうんだー』めざしますっ!!」

宿敵≪両刀使い≫に三度敗れた八一は、更なる進化を目指して≪捌きの巨匠≫に教えを乞う。
一方、八一の憧れの女性・桂香は、研修会で降級の危機にあった。
急激に成長するあいと、停滞する自分を比べ焦燥に駆られる桂香。
「私とあいちゃんの、何が違うの?」
だが、あいも自分が勝つことで大切な人を傷つけてしまうと知り、勝利することに怯え始めていた。
そして、桂香の将棋人生が懸かった大事な一戦で、二人は激突する――!
中飛車のように正面からまっすぐぶつかり合う人々の姿を描く関西熱血将棋ラノベ、感動の第三巻!!

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鼓動する才能.

生きることと将棋を打つことが同義になってしまった棋客達が己が命と魂を削り合って奏でる合奏が心地よかったです.

特にその正面から見える部分とそれぞれが抱える苦悩,嫉妬からくる闇な部分のコントラストが映えていて読んでいてこっちが身を乗り出してしまいました.

勝つことこそがそこにいる意味.
将棋盤の前に座ったら最後,あるのは純粋に研ぎ澄まされた飽くなき探究心と経験と命をかけた戦いだけ.

人類の進歩に貢献しない……と記述がありますがそこに確かなせめぎあいがある限り,ドラマと進歩が生まれる……そんな実感が得られる巻でした.最高です.

桂香さん愛おしい.