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感想 『千歳くんはラムネ瓶のなか』 リア充の静かな爆発


リア充の静かな爆発

リア充がリア充足るためにどこまで太い芯をはるかという命題を突きつけられた感覚でした.

一つ一つはこれまでの同種の作品のエッセンスを丁寧に織り交ぜていきながら,この作品独自のテーマも魅力的に描かれていました.

同時代にこれほど学校生活の参考になる作品が出てきて今の中高生が羨ましいですね.


感想 『弱キャラ友崎くん Lv.8』 未来と現実の狭間で


未来と現実の狭間で

進路という多感な時期に適当に過ごすこともあれば真剣に考えることもあるテーマを軸に描きながら,それぞれのキャラクターの考えが等身大に描かれている様がとても興味深かったです.

一人ひとりのエピソードは決して長くないのですがどれも印象的で色彩を放っていましたね.

主人公も何かを掴みかけて手を伸ばしている様子なのですが,背伸びすることでまた見えなくなるものもあるという……そんなヒヤヒヤ感も楽しく読めました.

しかし……私はヒロインの悲しみなどに非常に敏感なので今巻のラストはとても心配になりました……頼むぞ主人公.


感想 『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』進路と未来は違う意味


進路と未来は違う意味

おるすばんないもうとが前とか後ろとか見ながらそれでも一歩踏みだすさまをこれでもかって筆致で描いた一冊でしたね.

言ってしまえば当たり前なんですが,自分の進路を自分で決めることすら縛られている現代の社会が変わろうとする中で,特殊な事情を抱える思春期の兄妹が出した結論は,ほんの少し後ろ向きで,ほんの少しあたたかいものです.それもいい.それがいい.

あと,いろいろな困難を乗り越えていちゃいちゃレベルが上がった主人公カップルにも注目です.

相変わらずヒキが気になる終わり方なのでいろいろいい方向に行くことに期待しつつハラハラドキドキで次の巻に向かいたいと思います.


感想 『君死にたもう流星群』高校生は努力のコスパの夢を見るか?


高校生は努力のコスパの夢を見るか?

うだつの上がらない状態で成人になった主人公.その背景にはとある同級生の事故死が絡んでいて……というどんより空気から始まるストーリーから想像もつかないほど鮮やかに展開される青春巨編でした.

イラストの雰囲気も話の展開とベストマッチしていてページをめくる手が止まりませんでした.

作品全体に流れる,夢(特に若いときにみるアレ)と努力(コスト)の考え方.

誰しもが妄想して決めて決めて決めてそれでも迷ってきたのが人生で,それに賛美歌を浴びせるような鮮烈な読書体験でした.

ヒロイン達もまたいいですね.天才だけど達観しすぎず等身大でくどすぎずでも真っすぐで……みたいな.

ただ,この作品の魅力が最大限になるためには今後はやはり主人公にかかってるんじゃないかなと思います.

彼がまだまだ助走段階にいる限り,やきもきしたり見守ったりハラハラしたりとそういう気持ちにさせるはずなのでそこでうまくストレスコントロールしてくれたらな切に願います.

読後感も良くてこれは自分が高校生のときに読みたかった一冊でしたね.

作品全体で見てもまだまだ助走段階の1巻目なので今後の展開を楽しみにしつつ早く次の巻を読みたいと思います.


感想 『弱キャラ友崎くん Lv.6.5』 揺れ動く思春期の蠢動


揺れ動く思春期の蠢動

思春期特有の取るに足らないからこそ美しい葛藤,悩みが鮮明に色鮮やかに描かれている短編集.

本編では類推するしかないヒロインたち(一部男)の考えている内部を覗き込むことでより一層本編での想像が進みそうな最高のサポートとも言える巻でした.

みな順当に幼さがあってそれを何かで覆っててだからこそ愛しいそんな時期の輝きをきれいに,それも丁寧に切りとっているのはさすがですね.

本編の次の巻はまた波乱の展開が予想されるので良い助走ができました.


感想 『弱キャラ友崎くん Lv.6』 恋をすることの難しさ


恋をすることの難しさ

人生ハードモードを見事なロジックで攻略する青春活劇の第6弾.

前回とんでもない人間離れした動きを魅せたヒロインの凄さはそのままにどこまでも等身大の視点で人生の攻略法を進めていく手腕は流石です.

今回主人公は本気で自分の恋や想い,そして他人の想いをも踏み込んで向き合うことになりました.

キャラクターたちは誰しもが特別でキラキラした想いを持っていて,その輝きを文化祭という特大青春ドラマ装置が何倍にも増幅させています.

成長とか恋とか不器用さとかそんな不安定な要素を抱えながらもちゃんと前を向いて進んだり後退したりする主人公が応援したくなりますね.

最後にとんでもない爆弾を落としていったヒロインもいるのでそれを考えつつ次回はスッキリ魅せてくれることを大期待です.


感想 『弱キャラ友崎くん Lv.4』 本当に大事なことが目に見えるとは限らない


本当に大事なことが目に見えるとは限らない


新時代の青春バイブル第四弾はスクールカーストに一石を投じる激震の一冊になりました.

相変わらず学校の教室で起きることを理性的に観察しその法則性を納得のいく理屈が補強していますね.

キャラクター同士が息遣いを感じるほどにリアルに動き回っていてだからこそその混沌を説明する言葉が必要で……それが神業的にうまく噛み合っています.

前巻で完璧を演じたヒロインも太刀打ちできないような悪意の渦巻く空間で主人公が洞察力と行動力で挑むというかなり胸熱な展開でした.

この作品がこのデリケートなテーマにどの粒度でどれだけ踏み込んでいくかが気になりますが今までを読んでいれば安心して待てますね.

惜しむべきは次巻へ続くという展開に今回はなっていることです.新刊が待ち遠しい!


感想 『ゲーマーズ!7 ゲーマーズと口づけデッドエンド』 錯綜する青春


錯綜する青春

あらすじ・内容

ぼっちには生き地獄。リア充待望のイベント、修学旅行開始!

星ノ守の衝撃の告白によって、またもやめんどくさい勘違い案件が勃発! と思いきや、自称「察しの良さ」に定評のある天道には今回、解決の秘策があるらしく!? 一方、雨野は修学旅行に向け……バイトを始めた。

読めない展開に読めない妄想をかさねて行き着くところまで行き着いたシチュエーションでした.

身悶えするほどのじれったさとミスリードに一喜一憂しながら読んでいましたが,途中から心の何処かでこんな展開になりそうだとハラハラしながら進めることができました.

キャラクターは目の前のことにひたすらひたむきでだからこそ真っ直ぐではなく回り道することでキレイなストーリーが生まれていますね.

勘違いの起点からその風呂敷を広げるさまはこの作品の醍醐味ですがこの巻は特にすごかったですね.

彼らの青春の行き着く先を想像しつつ次のトンデモ展開に期待したいです.


感想 『弱キャラ友崎くん Lv.3』 カラフルに映る風景


カラフルに映る風景

あらすじ・内容

こんなの弱キャラの夏じゃねえ!

怒濤の一学期が終わり、夏休み。
薄々特訓漬けになる気はしていたが、日南葵というリア充モンスターは俺の予想のはるか先をいっていた。

「まあ簡単に説明するとね、優鈴と中村をくっつけようって合宿なのよ」

BBQからの川遊びからの男女お泊まり。まあ、リア充を絵に描いたようなイベントだなと思う。問題はただひとつ。そこに俺も参加するということである。なにこの圧倒的違和感。
男同士のトークも頑張れって日南の意図は分かるけど、中村となに話したらいいんだよ……。さらに、日南のスパルタは止まらない。

「この夏の目標は、『菊池さんと付き合うこと』ってところね」

いやいやいや、それもうほとんど最終目標だろ! 俺の夏休み、どうなっちゃうの!?
バイト、合宿、デート……弱キャラにあるまじき、充実した夏が始まる!!

『このライトノベルがすごい!2017』で新作部門3位にランクインした超話題作、待望の続刊!! 弱キャラが挑む人生攻略論第3弾!

超実用的青春バイブル第3巻

デートにバイトに合宿に花火大会と半端なく押し寄せるリア充の波にタジタジになる僕らが弱キャラ代表の友崎くんの命運やいかに.

とんでもなく納得感あるやり取りとともに繰り出される“リア充の理屈”が読者に圧倒的説得力を与えています.

キャラクターが抱えているそれぞれの想い……というより悩みが凝縮されて造形されたカタチと取り繕ったカタチのどれもが本物で,だからこそキラキラ輝いてるように見えます.

強敵揃いのラインナップの中で友崎が本当に等身大でまっすぐぶつかって行ってるのがジーンときましたし,そこが大きな魅力ですよね.

友崎と一緒に弱キャラからの成長を歩んでいけるし,だからこそ周りの魅力をひしひしと感じました.

モノクロがカラフルになる魔法……さらなる主人公の成長と活躍に期待です.


感想 『追伸 ソラゴトに微笑んだ君へ』 追憶を追う青春ミステリー


追憶を追う青春ミステリー

あらすじ・内容

俺のちっぽけな嘘が、キミとの日常を綴り出していた――

二学期初日。篠山マサキは“彼だけが記憶を持たない”美少女優等生・風間ハルカと出会った。正体を掴むべく彼女を探り始めるが、なぜかハルカの行動は、マサキが何気なく綴った葉書の内容と深く関わっていて――。

根底のギミックはありきたりに感じながらも確かな筆致で瑞々しく描かれている主人公達の青春がほんとに眩しいです.

教室に突如現れた記憶にない少女.

彼女の正体という大きなミステリーを軸に少年少女の葛藤や目の前の人生への向き合い方がまっすぐ展開されています.

ヒロインも主人公もいい意味で清々しくキャラクターとしてスッキリしている感じです.

この一冊で完結といえるものの,忘れていたあの爽やかさを感じたい人は手に取ると良いですね.