不定期でお届けする最近ライトノベル界隈を騒がせているニュースを斬っていくコーナー.
週次を目指していますが、しばらくは不定期ということにさせてください.
その名も……
張り切っていきまっしょい.
■紀伊國屋書店 – ラノベと文学の狭間の住人に向けた「ラノベと文芸の深淵(アビス)~虚無の中のWeiβ&Schwarz」フェア 開催
【2階】本日から、ラノベと文学の狭間の住人に向けた「ラノベと文芸の深淵(アビス)~虚無の中のWeiβ&Schwarz」フェアが2階に降臨。つづく pic.twitter.com/Jm1mNFtalD
— 紀伊國屋書店新宿本店 (@KinoShinjuku) June 30, 2016
【2階】続き→ラノベは卒業したけど少年少女の心は忘れていない全年齢の方に向けた(フェアタイトルは中二ですが)小説を取り揃えました。2階B04~B08へぜひお越しくださいませ。各出版社さんにご協力頂いたアンケートも掲示してあります。 pic.twitter.com/lfmCs98POT
— 紀伊國屋書店新宿本店 (@KinoShinjuku) June 30, 2016
ラノベは卒業したけど少年少女の心は忘れていない全年齢……という単語が微妙にキンキン触れましたが,どうやらそういった方々にむけて「ライト文芸」といったものを広めていこうという心意気のようです.
個人的には各出版社が協力したアンケートも結構見どころがたくさんあって面白いです.(画像を拡大すると普通に読めます)
少し気になったのは講談社タイガ編集部さんのコメントにあるように,ライト文芸のライトは「軽い」という意味のライトと捉えている人が多いのではないかという仮説の点と,
その問いに使われている「ライトノベル(中略)一度ヒットが出ると似た系統の書籍が乱立し、またこれか!と思われてしまう傾向」という言葉に現れているように,そうとうライトノベルって同じようなものが堂々巡りしていると思われているんだなぁというところに寂寥感を感じました.
このブログのエントリーにたどり着くような方々には当然な情報だとは思いますが,ライトノベルも本当に多種多様な作品が出ていて一概にそういった傾向はないと考えています.
(とはいうものの「一度ヒットが出ると」という前置きがあるのでデータとしては検証しやすくはしてくれているみたいなので,主観的に調べてみるのも面白そうですが……)
結局メディアワークス文芸編集部さんの言うように,”ドキドキワクワク”する物語を読者が求めていることは間違いが無いでしょう.
ちなみに私個人は”ライト文芸”と呼ばれるジャンル郡とライトノベルで刊行されたことがある数々の作品の間に違いをあまり感じることができていない派閥の者です……同じような人いませんか?
でもまぁ,もしかしたら俗にいう”文芸的な”作品を毎月百冊以上も刊行されている中から好みのものを見つけること自体が難しくなっている昨今においては,傾向が明示的になっていく事自体は喜ばしいことだと思います.
こちらの企画,是非足を運んでラインナップを確認したいなと思います.
(ただ名前が厨二クサすぎやしませんかね……)
■なぜか『小説家になろう』およびライトノベルの新人賞で異世界転生と異世界転移が禁止された!というデマが広まる
この流れ謎すぎやしませんかね.
発端はこのツイートみたいです.
小説賞の募集要項読んで爆笑してる pic.twitter.com/NRhJ7xv4XU
— コンタミお化け (@MiseryIcarus) June 27, 2016
それをみた人たちが次々に,「小説家になろう』短編小説賞、異世界転生・異世界転移が禁止される」というデマになり,それが広がりまとめサイト等で歪んだまま転載され……という悪夢を見るような流れを辿ったようです.
togetter 「『小説家になろう』で異世界転生が禁止された」「ラノベ新人賞で異世界転生が禁止された」というデマが広がる まとめました。
実際どういうことなのかはコメント欄含めてここでよくまとまってます.
人の伝聞は怖いとは言いますが,どうしてこういう解釈になったのか.
少し考えればおかしいことに気づくレベルの荒唐無稽な話なのにもかかわらずです.
ただこの件について私は思うところがあって,
それは
「Webのライトノベルひいては異世界転生モノに対する偏見とドヤ顔でしたり顔で語りたい欲求」
についてです.
今回こういったデマが広がったのは私は単純なことだと思っていて,ひとえにこのツイートがネット住民が考える
「こういう感じに異世界転生モノのライトノベルや作品について雑に叩いたら気持ちいし,したり顔で語れるんだろうな」
という暗い欲求に見事に合致した一つの事実だったからです.
日頃から「あーあ。やっぱり異世界転生や召喚モノって増えすぎたよな。だから新人賞でも明確に禁止されちゃったよ。ウケる」って言いたくてウズウズしている自称「物書き」もしくは「文学好き」が大量に釣れたという側面もあったのではないでしょうか?
(もちろん,多種多様な好みがあるこの世界でそういったレギュレーションが組まれる新人賞が出てきてもおかしくないですが,それにしたって特に違和感も感じずに飛びつくほどのことでしょうか……)
そのようなケモノのような欲望に身を委ね,真偽や実際のところを確認せずに「ついになろうが異世界禁止したwwwww」という芝を生やすアカウントが大量に発生したところをみていい感じに天狗のお供えされちゃうんだろうなぁという感想が湧いてしまいました.
自分への戒めも含めて,このようなケモノにならないように日々精進したいともいます.
■ストーンエッジ代表三木一馬氏がいろいろ語ってる
いろいろ語ってます
変わりつつあるエンタメ業界を生き抜くその術とは──ストレートエッジ代表・三木一馬さんインタビュー
編集者という枠の拡張というより革新でしょうか.
エージェントいう概念を出版社にもたらしていくチャレンジングなスタイルをぜひ応援したいです.
新規IPも考えているみたいですが,現在は契約している作家で手一杯みたいです.
しばらくは得意な小説やマンガでガシガシやっていくみたいですね.
特に注目する点として,エンタメ業界の高齢化やライトノベル業界のレーベル数の増加について言及している点です.うーん非常にクールなコメントではないでしょうか.
我々読者としては常に「選択する側」である権利があるわけですが,それはつまり選択する(あるいは選ばなかった選択をきり捨てる)ストレスを享受することでもあるわけです.
Web媒体が開拓されたことで広がった裾野は大まか読者側も作者側も編集側にも好意的に迎えられていますが,そこから無思考でランキング上位からポンポン選んでいくことにはいろいろな危険がはらんでいることは覚えておきたいことですね.
(そうなるとプラットフォームの権力・勢力が本当に強くなるので.)
三木一馬さんはこのインタビューも面白かったです.
『とある』『シャナ』を生み出した打ち合わせに学べ!“6000万部編集者”が語る 部下への「ポジ出し」術
”ダメ出しの反対の『ポジ出し』”という考え方が面白いですね.
そして”対案を出す”ことの重要さを説いています.
批判ではなく”対案”であることの大事さ.
我々読者だけでなく,作家側の在り方,そして編集者の在り方にも変化が訪れようとする時代なのではないでしょうか.
いろいろと深く考えていきたいところです.
いかがでしょうか.
いつもTwitterで徒然なるままにライトノベルについてつぶやいていましたが,たまにはガッツリエントリーを書こうかなと思い立ってバババッと書いてみました.
定期的にライトノベルの雑談のタネになる話をお届けしたいと思います.
それでは次のタネまでおさらばです.
リココ