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感想 『暗黒騎士の俺ですが最強の聖騎士をめざします』暗黒と神聖,そのバランス


暗黒と神聖,そのバランス

聖なる属性に耐性のない主人公が苦しみながらも最強を目指し,誰かを守っていく物語.

主人公のバカ真っ直ぐなところが気持ち良い上にヒロインの気高いかっこよさもそそりますね.

全体的に面白かったのですが,途中に出てくる強さとは?という主人公とその父親の問答がとても興味深かったです.良いものを読みました.

ますます激化していく陰謀や主人公たちの成長.

バトルも激アツで進行しそうですね.


感想 『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』進路と未来は違う意味


進路と未来は違う意味

おるすばんないもうとが前とか後ろとか見ながらそれでも一歩踏みだすさまをこれでもかって筆致で描いた一冊でしたね.

言ってしまえば当たり前なんですが,自分の進路を自分で決めることすら縛られている現代の社会が変わろうとする中で,特殊な事情を抱える思春期の兄妹が出した結論は,ほんの少し後ろ向きで,ほんの少しあたたかいものです.それもいい.それがいい.

あと,いろいろな困難を乗り越えていちゃいちゃレベルが上がった主人公カップルにも注目です.

相変わらずヒキが気になる終わり方なのでいろいろいい方向に行くことに期待しつつハラハラドキドキで次の巻に向かいたいと思います.


感想 『やがて恋するヴィヴィ・レイン 7』 世界の変革は優しさとともに


世界の変革は優しさとともに

恋と冒険の世界変革物語,ついに完結ですね.

途中今まで読んできたシーンが走馬灯のように流れてずーーっとジーンと来てました.

作品のテーマとして差別や共存や異文化のコミュニケーションの難しさとかが敷かれているものの,最後はやっぱり少年少女たちの出会いと交流の物語に収斂するその展開が本当に素敵でした.

一人ひとりの想いや力は弱いけれど,重なり交わることで何倍もの力になってやがて運命の瞬間を迎えるような流れるような展開にドキドキが止まりませんでした.

主人公のバランス感覚とヒロインたちのあどけなさや意志の強さやその色とりどりの感情が最大限に純化されて読まされた気分です.

この物語は一つの終焉を迎えつつも,どこか暖かな気持ちと透き通るような空の下で彼らが息づいている,そんな気持ちになりました.とても面白かったです!


感想 『この世界がゲームだと俺だけが知っている 1』 バグと困難の哲学


バグと困難の哲学

あらすじ・内容

迫りくるバグ! 襲いくる理不尽! そして、それを覆す圧倒的台無し策!!

“ぼっち”ゲーマーの相良操麻(さがらそうま)はある日、悪名高いバグ多発ゲームの世界に入り込んでしまう。
「理不尽」と「運営の悪意」を具現化したような通称<猫耳猫>の世界でバグ仕様を逆手にとったソーマの冒険がはじまる!

 

困難は困難であればあるほどひっくり返したときが最高……まさにそれ!

ゲームの世界に転生というたまにあるシチュエーションですがそこは悪意の塊のようなとんでもないイベント,キャラクター,アイテム……そしてバグのオンパレード.

そんな中でも主人公は芯を持って行動し既知であってもちゃんと慌てたりわいわいやる様子が本当にこのゲームが大好きだということが伝わってきてかなり好感が持てました.

他のキャラクターも生き生きとしていながらも“ゲームのキャラクター”であるという個性を残している点に注目ですね.役割をこなしてしっかり物語を回していく役目といいますか,そのバランス感覚が良いです.

舞台を変えてまだまだ波乱が待ってそうです.

バグ使いの今後の素晴らしい冒険を祈っていこうと思います.


感想 『ゲーマーズ! 5』 まさしく全滅エンド


まさしく全滅エンド

あらすじ・内容

『ビバッ! 《シュピール王国》!』既成事実を作るのは誰だ!?

ゲームよりも亜玖璃を優先させた雨野。そんな二人の急接近に焦る天道&上原の秘策とは……「既成事実を作るっきゃないだろう」ゲーム中盤の地味な街感溢れる王国(遊園地)で悪魔的知略戦(ダブルデート)が始まる!

毎回最後のヒキで驚かせてくれる今作ですが今回も特大級の爆弾が落ちて粉微塵になって次回へといったところ.

キャラクターたちは脇役に至るまで細かな動きをしていた印象ですね.

そしてメイン陣のからまわることからまわること……人生はゲームのようにリセットできないとは言えもどかしさが積もりますね.

それぞれの想いをすれ違わせ,絡ませた上で昇華させています.

そしてゲームオーバーに近いこの状況.
ここからどうやって,いやどこに着地させていくのかの期待が高まります.


感想 『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜 12』 悲願の達成とその代償


悲願の達成とその代償

あらすじ・内容

父と息子は迷宮へ!! 母の救出は成るか!?

母を救出するため、父パウロと共に迷宮に挑むことになったルーデウス。かつてない脅威を前にした時、父が息子に伝えた予想外の言葉とは!? 異世界で親子の絆を知る、人生やり直し型転生ファンタジー第十二弾!

家族の絆と思い通りに行かないもどかしさで四苦八苦する巻でした.

どんな理由にせよ,落ち込んだ人に差し伸ばされる手は尊いものです.

大転移に関しての話は一旦の帰結を見せたわけですが,正直どうにもしっくりこない終わり方でもやもやしますね.

キャラクターも淡々としているので余計に状況のもどかしさが際立ちます.

次は剣の修行をしているエリスにそろそろ焦点を当ててほしいところです.


感想 『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』 命がそこに在る奇跡


命がそこに在る奇跡

あらすじ・内容

初恋相手「翔子」と中学生「翔子」。ついに明かされる「二人の翔子」の秘密とは――? シリーズ第6弾!

「ふ たりはいつから同棲してるの?」 こたつを囲んで左には初恋相手の翔子、右には現在進行形でおつきあい中の麻衣。クリスマスまで1ヶ月をきったその日、や むなく始まった翔子との同居生活が麻衣にばれ、咲太は人生最大の窮地に立たされていた。そんな中、中学生翔子が病状の悪化により入院していることが発覚す る。「おとなになることは、わたしにとっての夢でした」 そう語る翔子の運命は――。麻衣と咲太の仲に入った亀裂の行方、そしてついに解き明かされる「大 人翔子」と「中学生翔子」の秘密。空と海に囲まれた町で始まる僕らの恋の物語、緊迫のシリーズ第6弾がついに登場!

青春とはその言葉を知っていても本人たちが本当の意味で実感するのは青春じゃなくなってから……という残酷さと命の大切さが見事にテーマとして融合していました.

大切な時代だからこそ大切な想いや悩みやなによりも成長がそこにあります.

親友や恋人……そして初恋の人などとの関係が不思議な現象とからまってより強調されていて,その強烈な色鮮やかさの中でものすごいドラマが淡々と進行するすごい作品です.

キャラクターたちも今までにないような表情をそれぞれが見せていて,ようやく腹割ったといった印象です.それがグッと魅力を増してみせるんですよね!

そしてこの強烈なラストは健在です.

次の巻を読むまでは絶対に死ねませんね.


感想  『楽園への清く正しき道程 3(庶民出身の国王様がまたご愛妾を)』 淡い恋心が結ぶ縁


淡い恋心が結ぶ縁

あらすじ・内容

野村美月のファンタジー・ハーレム(予定)コメディ、錯綜する第3弾!!

可 愛いお嫁さんを迎えたのに、王妃との間に世継ぎの男児が誕生するまではいちゃいちゃ禁止と申し渡されてしまったルドヴィーク。そんな中、国王を敬愛する女 騎士エヴァリーンに縁談が持ち上がる。結婚したら国王様の騎士ではいられないと思い詰めた彼女は、フロリンという強力な助っ人を得て、思いを伝えるべく大 奮闘! また幼なじみのエヴァリーンの結婚話に焦った公爵令嬢のテレーゼも暴走し――!?

それぞれのキャラクターが秘めていた想いが,発散するところはされて,拗れるところは拗れて,また更に溜め込まれたものは濃くなっていった今巻でした.

メインヒロインの暗躍とも言える活躍で展開が進んでいたこのシリーズですが,主人公もしっかり成長し,また周りに恵まれることによってかなり積極的に行動していけるようになった様が見れた巻でもありましたね.

貴族平民といった理解しやすい要素と,女心や陰謀などといった要素が絡んで物語に深みが増していました.

そして女性キャラクターが本当に魅力的でたまりません.
あのキャラクターが今回こんなに可愛くなるとは!

後半の急展開には驚きましたがそれもまたスパイスととらえたいですね.


感想 『嫌われ者始めました 〜転生リーマンの領地運営物語〜』 真面目系嫌われファンタジー


真面目系嫌われファンタジー

あらすじ・内容

WEB版に大幅加筆&書き下ろしエピソード満載!

プ ログラマーの榕木丈治は、ある日突然異世界に転生してしまう。しかもそこは、丈治が開発に携わったシミュレーションRPGの世界で、自分をモデルにしたお 邪魔キャラジョージになっていて……!? チート無し、ヒロイン達の好感度はマイナス。だが、ゲームの物語通りに進めば、ジョージに待っているのは悲惨な 最期だ。黙って待ってはいられない。物語が始まる魔王出現の時までに、生き抜くための力をつけてやる――! 嫌われ者の戦いが、今始まる!!

至って真面目なサラリーマン主人公がすいも甘いも知り尽くして枯れた精神で織りなす嫌われ進行.

徹底的にヒロインの魅力を出し惜しみするスタイルがすごく良かったです.

内政系の描写もバランスが良い塩梅で適度にスカッとする仕上がりになっていますね.

いろいろなキャラクターと知り合いつつマイペースに社畜根性出していく主人公には不思議な魅力がありますね.

惜しむべくは間違った選択をしていないのにヒロインに嫌われてしまうところでしょうか.

そこらへんの関係修復もいい感じにカタルシスに変わってくれることを期待しつつ,続巻を待とうと思います.


感想 『29とJK 〜業務命令で女子高生と付き合うハメになった〜』 純度の高い社畜の魂の叫び


純度の高い社畜の魂の叫び

あらすじ・内容

29歳とJK、“禁断の”年の差ラブコメ、はじまる!

目つきは怖いが会社では一目置かれている29歳社畜・槍羽鋭二。
ゲームや漫画が好きで、休日のネカフェを癒やしに日々を生き抜いている。

ある日、槍羽は《あること》で説教した女子高生・南里花恋からコクられてしまう。
14も年下とは付き合えないとキッパリ振るが、後日社長から呼び出され――「業務命令。孫の花恋との交際を命ずる」。

なんなんだこの会社!? 絶対に辞めてやる!(入社以来17回目)
だが始まってしまうJKとの交際。妹が、元カノが、会社の部下が、世間の目が槍羽の前に立ちはだかる!

29歳とJK、“禁断の”年の差ラブコメ、はじまる!

タイトルとは裏腹にきっちりと真っ直ぐな社会人ラノベとして物語が仕上がっている印象です.

主人公が私の同世代……というより完全に同い年なだけあって半端ないシンパシーを感じました.

それだけでなく次々と巻起こる困難にぶつかり,諦めずにひたむきに向き合っていく主人公は,読み手として揺さぶられました.意地と意志が本当にすごい.

私個人としては何度も涙腺に来たり喉元が熱くなりました.素晴らしいものを読ませていただきましたね.

キャラクターもいい.
主人公の魅力もさることながらヒロイン(達)のいきいきとした表情と何よりその信念がいい.

作品として大人の汚い部分と若さの純粋な部分が理想や夢といったテーマで綺麗に対比されていてとても高いクオリティーを感じました.

経験や年齢で雁字搦めになった大人たちにエールをおくるような,送られたような.そんな力強い作品でした.

懐かしい思い出やネタもクリーンヒットしましたし(同年代どころか同い年だから当たり前かもしれませんが……)久々にこんなにカッチリ琴線に触れた作品に出会いましたね.

願わくばすべてのサラリーマン,夢を諦めもがいている人や,掴もうともがいている人に届いてほしい.そんな素晴らしい作品でした.