踏みしめた地面の確かさ
夢に向かってがむしゃらに進む若い力.その眩しさにやられそうになるのかそれすらも引っ張る力として利用するのか.
大人力を考えさせる内容でした.
この物語の行く末が正直見えなくなるくらい大団円でしたが,読んでる年代によって揺さぶられる箇所がかなり変わってきそうな不思議な作品であることは間違いないでしょう.
踏みしめた地面の確かさ
夢に向かってがむしゃらに進む若い力.その眩しさにやられそうになるのかそれすらも引っ張る力として利用するのか.
大人力を考えさせる内容でした.
この物語の行く末が正直見えなくなるくらい大団円でしたが,読んでる年代によって揺さぶられる箇所がかなり変わってきそうな不思議な作品であることは間違いないでしょう.
真に邪悪はなんだろう
荒廃した敗戦国での人間同士の策謀のバカバカしさをシリアスな展開で浮き彫りにしながら目まぐるしく変わる主人公の立場の複雑さに一喜一憂するのがとても楽しかったです.
周辺国を牽制しながら国内の驚異に以下に対応するかというミッションインポッシブル的な視点と,立場や視点が変わるだけでこんなにも美しく感じたり醜くなったりどうしようもなくなったりという人間模様がハッとさせられる軸が素晴らしい作品です.
女性陣のいざというときの気高さや男性陣の芯のある立ち振る舞いも魅力に感じました.
作品としてはまだまだ料理できる場所が多いと思うので主人公の行く末を見守っていきたいのと,残された者たちのそれぞれの末路に思いを馳せながら続刊を待ちたいと思います.
わがままの代償
幼馴染たちの共演とそれぞれ押し通したいルールの押し付け合いバトルがほんとに楽しいです.
主人公たちがおかれた環境は複雑怪奇なのにもかかわらずそれを歯牙にまるでかけない飄々とした作戦建て,他人に遂行させる能力……どれをとってもポジティブにたちが悪くて最高です.
ヒロイン?の女性陣の気苦労やそれぞれの想いの発露も生々しかったりすっきりほんのり青春でいい塩梅です.
天才たちの流し流され思考バトルの楽しさと状況が魅せる不可解さと世界の謎……いろいろな話の軸があって最後まで全く飽きませんでした.
次巻はまた大きな伏線もあることなので早く読んでみたいですね.
裏切りと恋の夜
あらすじ・内容
ルカは皇位継承を巡る闘争へと巻き込まれ…。
ウルキオラ暴動から三年……。神聖リヴァノヴァ帝国においてルカはジェミニらと共に帝国最強の独立混成連隊として勇名を馳せていた。ルカの編み出した新戦術は三次に及ぶ「ドル・ドラム戦役」においてその威力を発揮し、帝国軍総司令官ヴラドレン皇太子はルカに作戦会議への参加を許可する。
だが皇帝の血を引くジェミニも皇太子を排除すべく暗躍を開始、ルカは皇位継承を巡る闘争へと巻き込まれる……。「子どもだった。見た夢が幼すぎた。あの約束は世界を破壊してしまう」
「飛空士シリーズ以上!」との声も上がってきた、魅力的なキャラクター設定で圧倒的話題の一大軍事戦記。さらにさらに加速する恋と会戦の物語、第三巻。
戦術は兵力を凌駕するのが常ですね.快進撃が止まりません.
戦争で活躍することで中央に入り込めたルカとジェミニですがそこはとんでもなくクセの強いキャラクターたちがひしめく魑魅魍魎の巣です.
再開の約束,現場にいるキャラクターたちの想い,そして裏切り……大胆な構図と駆け引きが見事な演出になっていて大きな大局のうねりとしても素晴らしいです.
主人公のルカは優秀なのですが決定的に運命に翻弄される宿命にあるので周りがほっとかずこれからも激動の人生を歩みそうですね.
そして王女との約束.
次巻も時代の大きな転換点で少年少女たちがどんな波乱を巻き起こして相対するのか見届けたいと思います.
自由の果ての自由
あらすじ・内容
第23回電撃小説大賞《大賞》受賞作、堂々発進! 最終選考委員と、編集部一同をうならせたエンターテイメントノベルの真・決定版!
サンマグノリア共和国。そこは日々、隣国である「帝国」の無人兵器《レギオン》による侵略を受けていた。しかしその攻撃に対して、共和国側も同型兵器の開発に成功し、辛うじて犠牲を出すことなく、その脅威を退けていたのだった。 そう――表向きは。 本当は誰も死んでいないわけではなかった。共和国全85区画の外。《存在しない“第86区”》。そこでは「エイティシックス」の烙印を押された少年少女たちが日夜《有人の無人機として》戦い続けていた――。死地へ向かう若者たちを率いる少年・シンと、遥か後方から、特殊通信で彼らの指揮を執る“指揮管制官(ハンドラー)”となった少女・レーナ。二人の激しくも悲しい戦いと、別れの物語が始まる――!
安全な場所にいる差別の加害者と死と隣り合わせにいる被害者との交流を通して明かされる世界の謎,喪失と絶望,そして自由とは何かを考えさせる哲学的なテーマ……大変楽しめました.
人を人扱いしないことで精神的にもリソース的にも問題解決した内陸の人々がいかに堕落しているのをありありと描写することで行動的には相当束縛されている外の兵士たちの生き生きとした表情が際立つようになっています.
ヒロインと主人公の交流で様々な事実が明かされていくのですがそれが本当にわくわくする内容で毎回新鮮な驚きがありました.
どうしようもない状況の中なのでキャラクターたちは一様に重々しいものを背負っているのですがそれを吹き飛ばすような強い意志,生命力に溢れていて読んでいて気持ちよかったです.
差別する側とされる側……果たしてどちらが自由で高潔なのか……エピローグは必見です.
この一冊で完結してはいるものの続きも出るようなので大変楽しみにしています.
集結し決着することの意味
あらすじ・内容
ついに≪アリシゼーション≫、完結!
「――キリトくんだ。わたしのキリトくんが、帰ってきた……」 ≪アンダーワールド≫全土が混沌と化す、≪最終負荷実験≫の二日目。≪人界軍≫最強の整合騎士ベルクーリ、スーパーアカウント・太陽神ソルスを持つシノンを打ち破ったガブリエルは、≪ワールドエンド・オールター≫を目指すアリスを追う。一方、圧倒的な数の≪暗黒騎士≫に包囲された≪人界軍≫囮部隊の戦場では、アスナの奮闘、リズベットやシリカらの助力虚しく、ついに自失状態のキリトが、ラフィン・コフィンの残党≪PoH≫につかまってしまう。積年の恨みを晴らさんと、PoHの毒牙がキリトに迫り―― 瞬間。キリトのこころの中に、声が響いた。それは、共に暮らし、戦い、笑いあった彼の親友の声。たった一人の、最高の相棒の声――。ついに、キリトは復活する。アンダーワールドに生きる≪すべて≫を、救うために。
長大な章の一つの終焉を見ました.
リアルと仮想世界,目まぐるしく変わる状況と戦いの最中にふと訪れる人間味の深さ.
すべてが合流して流れていく大きなうねりの展開できれいに着地してエンターテイメントを感じる幸せな時間を過ごせました.
キャラクターも新旧勢揃いでとても嬉しかったですし,敵側もとにかく濃くて飽きなかったです.
アリシゼーションの1巻目のシーンが最後にはありありと思い浮かべることができたのでジーンとなりました.
願わくば新たな希望と永久に続く冒険に乾杯を……キリトくんには安らかなお休みを……
侵攻こそが意志!
あらすじ・内容
どれだけ傷ついても、どれだけ絶望に囚われても、戦うことを諦めない。
決死の“東京”侵入で、“スポット”と“ハーメルン”への手 がかりを失った蓮次たち。活路を求める叶方は最後の手段――人気アイドルKANATAとして救務庁に潜入する。しかし、“奪還派”の起こしたクーデターに 巻き込まれ!? 一方、別行動を取る蓮次にも救務庁の刺客が迫り、決死の逃亡劇が始まる。全世界を敵に回しても走り続ける蓮次。命をかけて希望を繋ぐ叶 方。送る者と征く者――二人の魂と絆をかけた戦いが始まる!!
読み終わってもしばらく興奮が収まりません.
戦いと日常.双方を奪われてかせられた新たな任務は達成困難な茨で埋め尽くされた道.
離れていても深く理解し合い結ばれた二人の絆が最高にアツくクールでなんて言うかもうお前らもっとやれ!と思わず身を乗り出してしまいます.
前巻から引き続きの木村アルテミスちゃんもドギつくて身悶えするほど狂ってて好きすぎます.
繰り返しになりますが何よりも主人公二人のシンクロとそれを追従する息もつかせぬ展開が見事なハラハラドキドキを生んでいます.
読んだあとの高揚感と興奮も他の作品にはない醍醐味でした.
取り戻した希望と反逆のコンテキスト.
ぜひバトンを繋いでほしい作品です.
絶対続巻出してほしいです.
捌き捌かれ.生き様の熱さ
あらすじ・内容
「あいも師匠と一緒に『おーるらうんだー』めざしますっ!!」
宿敵≪両刀使い≫に三度敗れた八一は、更なる進化を目指して≪捌きの巨匠≫に教えを乞う。
一方、八一の憧れの女性・桂香は、研修会で降級の危機にあった。
急激に成長するあいと、停滞する自分を比べ焦燥に駆られる桂香。
「私とあいちゃんの、何が違うの?」
だが、あいも自分が勝つことで大切な人を傷つけてしまうと知り、勝利することに怯え始めていた。
そして、桂香の将棋人生が懸かった大事な一戦で、二人は激突する――!
中飛車のように正面からまっすぐぶつかり合う人々の姿を描く関西熱血将棋ラノベ、感動の第三巻!!
鼓動する才能.
生きることと将棋を打つことが同義になってしまった棋客達が己が命と魂を削り合って奏でる合奏が心地よかったです.
特にその正面から見える部分とそれぞれが抱える苦悩,嫉妬からくる闇な部分のコントラストが映えていて読んでいてこっちが身を乗り出してしまいました.
勝つことこそがそこにいる意味.
将棋盤の前に座ったら最後,あるのは純粋に研ぎ澄まされた飽くなき探究心と経験と命をかけた戦いだけ.
人類の進歩に貢献しない……と記述がありますがそこに確かなせめぎあいがある限り,ドラマと進歩が生まれる……そんな実感が得られる巻でした.最高です.
桂香さん愛おしい.