「雑談のタネ」カテゴリーアーカイブ

BOOK☆WALKER主催の「新作ラノベ総選挙」を応援するエントリ。


ラノベ万歳。
この度は『BOOK☆WALKER』主催の「新作ラノベ総選挙」に関するエントリーを投稿させていただきます。

うちのブログに来るようなラノベ好きの皆様は割りと知っている人も多いかと思いますが、まずはエントリータイトルにもある、「新作ラノベ総選挙」とはなんぞや?という説明をします。

「新作ラノベ総選挙」とは

カドカワさんの電子書籍プラットフォームである『BOOK☆WALKER』で主催されているライトノベルの投票企画です。

2016年4月1日〜2017年3月31日の間に、紙書籍・電子書籍で
新シリーズ1巻目が発売されたライトノベル作品の中から、
選挙運営委員会で売上情報などを元に200作品をノミネートしております。

・ジャンル不問。ただしオリジナル作品(2次創作、成年指定作品は対象外)
・すでに書籍化されている場合、シリーズ既刊が5巻以内の作品

投票用URLはこちら(※投票は2017年6月11日まで受付)
https://bookwalker.jp/lvote2017/

この企画、個人的に無視できない特徴として、投票票数にある程度重み付けがなされている点があると思います。

というのも、「フリー投票」と「BOOK☆WALKERログイン投票」の2つがあり、フリー投票では1人が1票。ログイン投票の方はライトノベルの新刊購入冊数の条件によって票数が変動して、最大1人20票の投票が可能な点です。

これによってライトノベルの新刊をたくさん買っている人のほうがたくさんの種類のライトノベルに投票することが出来、それによってある程度結果にバリエーションが出る効果がありそうです。

購入冊数もといライトノベルにどれだけお金を落としているかというリアルな指標で重み付けしているのは、いろいろな投票企画があるライトノベルの世界でも初めての試みではないでしょうか。
面白いリアルな結果が現れることを期待しています。

さて本題ですが、私は今回ログイン投票にて10票の権利を頂いたのでそこで投票した10作品をランキング形式で紹介したいと思います。

 


10位 『異世界詐欺師のなんちゃって経営術』

異世界詐欺師のなんちゃって経営術

(※画像クリックでBOOK☆WALKERのページに飛びます)

あらすじ・内容

『このすば』の暁なつめ推薦! この異世界転生&口先経営コメディに注目を!

「パイオツ、カイデー!」

日本にその名を轟かせた大詐欺師のヤシロ。悪運尽きた彼が16歳の少年として転生したのは『嘘が吐けない巨大都市』だった。嘘を嫌う『精霊神』により嘘吐きは【カエル】にされてしまう世界だという。

偽造通貨所持を疑われ、衛兵に追われて粗末な店に飛び込んだヤシロは、息をのむような巨乳の美少女ジネットになぜか歓待されて――!?

『このすば』の暁なつめ推薦! 『小説家になろう』&『カクヨム』発、口八丁な経営コメディ開幕!

詐欺師という背景を持った主人公が異世界にいくこの作品。

重々しい過去を持った主人公ですが、異世界ではほわほわあまちゃんなヒロインと出会ってそのあまりの世間知らずで騙されやすい性格をほっとけなくなってしまう、そんなほっこりさがちょうど良いバランスで成り立っている作品です。

この作品はキモになっている2つの設定を軸に頭脳バトルが繰り返されるのが特徴でもあり、醍醐味です。

一つは”会話記録-カンバセーション・レコード-”。過去含めて自分や他人が口に出したセリフが文章として閲覧が可能な仕組み。

二つ目が”精霊の審判”。誰でも任意に相手に判定をかけることができ、もし嘘をついていた場合は女神の力が働いてカエルになってしまう。

例えば『会話記録』は嘘をついた証拠になり、嘘を言わせることによって『精霊の審判』をいつでもかけれる状態、つまり生殺与奪権利を手に入れることも可能です。おそろしや。

主人公はこの世界の二つのルールの隙を突いて持ち前の詐欺テクニックや論理的思考でいろいろな困難や難敵を倒していくんですが、その裏にも経営やヒロイン達とのイチャコラなどの見どころがあると言った作品になります。

詐欺の過去をもった主人公とひだまりの笑顔とふんわりボディをもつヒロインが行き着く先をぜひ見届けてください。

このサイトでの記事:
感想 『異世界詐欺師のなんちゃって経営術』 嘘のつけない世界で詐欺

 

 

9位 『<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム- 1.可能性の始まり』

<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラムー 1.可能性の始まり

(※画像クリックでBOOK☆WALKERのページに飛びます)

あらすじ・内容

各プレイヤーの行動や性格、プレイスタイルによって独自に能力が進化するシステム<エンブリオ>。人と間違うような、確かにその世界に息づくNPCたち<ティアン>。そんな夢のようなシステムを備えたダイブ型VRMMO<Infinite Dendrogram>は、瞬く間に一大ムーブメントとなって世界を席巻し、数多くのユーザーがこのゲームを楽しんでいた。大学受験を終えて東京で一人暮らしを始めた青年・椋鳥玲二もまた、受験勉強の終了を記念して、かねてより兄に誘われていた<Infinite Dendrogram>を起動する――。

美麗でいて背景にかなり力を入れた表紙が鮮烈な印象のこの作品。中身もかなりコテコテで深みがあります。

没入型のMMORPGモノはソードアート・オンラインが切り開いた市場でもありますが、この作品の特徴は何と言っても主人公の武器が意思を持っている点。かわいい。

全員がこのゲーム世界では主人公!と言わんばかりにオリジナルの武器(場合によっては防具になったり別の何かになったりしている)を持ち、そのバリエーションにも驚かされますし、なによりも一緒になって成長する要素があるのでそれが得も知れぬ等身大感を作り出しています。

NPCも人間よりも人間ぽくなっているし、出会うキャラクターたちも皆個性的で何よりも世界にワクワク感が満ち溢れているので読んでいて次の展開はどうなるんだろうと一緒になって冒険、成長していける作品です。

レベル・スキル・アイテムボックスなどの設定が苦手な方も取っ付き易い仕様になっているのでそういう方でもぜひ読んでみていただきたいと思います。

このサイトでの記事:
感想 『<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラムー 1.可能性の始まり』
感想 『<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラムー2.不死の獣たち』
感想 『<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラムー 3.超級激突』

 

 

8位 『テンプレ展開のせいで、おれのラブコメが鬼畜難易度』

テンプレ展開のせいで、おれのラブコメが鬼畜難易度

(※画像クリックでBOOK☆WALKERのページに飛びます)

あらすじ・内容

この恋は、テンプレすぎて新次元。

結野奏汰は幼なじみに恋する普通の少年。ところが突然降臨した『テンプレの神様』の加護により、お約束ラブコメ展開で想い人と急接近……できなくて!? さらに自称許嫁が押しかける、望まぬラブコメの幕が開く!

テンプレなラブコメへの哲学も感じるこの作品をチョイス。

タイトルにもあるように、様々な”お約束”でもあるテンプレ展開を次々に出すことによって他の作品では味わえないような爽快な気分にさせてくれます。

キャラクターたちも明るくある種メタフィクションな雰囲気にもなってしまいがちなテーマなのにそれを全く感じさせません。

テンプレをテンプレだと理解したまま直視することでより深くテンプレについて考えさせられましたし、過去テンプレをテンプレだと感じなかった自分の姿も再び蘇ってくることでしょう。

どのキャラクターも一生懸命にすごし、それが一層テンプレの魅力を引き出しているこの作品は間違いなくおすすめの一作です。

このサイトでの記事:
感想 『テンプレ展開のせいで、おれのラブコメが鬼畜難易度』

 

 

7位 『ヴァンパイア/ロード ~君臨するは、終焉の賢王~』

ヴァンパイア/ロード

(※画像クリックでBOOK☆WALKERのページに飛びます)

あらすじ・内容

「貴方を救出に参上いたしました、我らが王<ロード>」特殊な血液型を持つ男子高校生・神鎚黎<みづちれい>は、早くに両親を事故で亡くしたものの、引き取られた先の養父母や義理の妹にも恵まれ、充実した生活を送っていた。しかし謎の襲撃者に命を狙われたことで、その穏やかな日常は一変する。激しい戦闘の最中、混乱する黎の前に現れた美しき吸血鬼<ヴァンパイア>の少女・リーリヤ。彼女は黎へと膝を折り、絶対の忠誠を誓ってみせた。この瞬間から、黎は吸血鬼<ヴァンパイア>たちの争いの中心――王<ロード>として敵対勢力の殲滅を決意する!!

正統派吸血鬼バトルライトノベルまさに君臨という感じで迷わずチョイスです。

まず序盤から凄惨なシーンがわんさか出てきて敵と味方を見事に区分し、さらに吸血鬼同士の派閥争いを軸に力だけでなく頭脳での駆け引きも面白いです。

そして何と言ってもこの作品の魅力はこの主人公にあります。
どんな状況でも冷静にして沈着。器も大きくどんな状況もこいつなら切り抜けてくれるという安心感すら感じます。まさに唯一無二の個性。

バトルも独特なテンポがあり完成度が高いと感じています。
正統派でまっすぐライトノベルではよく見る題材の吸血鬼バトルものを料理しているので誰もが読みやすい作りになっているのではないでしょうか。おすすめです。

このサイトでの記事:
感想 『ヴァンパイア/ロード』 絶えず冷静 まさに沈着

 

 

6位 『我が驍勇にふるえよ天地 ~アレクシス帝国興隆記~』
我が驍勇にふるえよ天地

(※画像クリックでBOOK☆WALKERのページに飛びます)

あらすじ・内容

「さあ、あなた様の帝国を創りましょう」

天下無双――アレクシス大帝、レオナート一世の驍勇は真実そう評される。
しかし、後に大陸統一を果たす彼も、若き日には“吸血皇子”の汚名を着せられ、故郷を奪われた、武骨で不器用な青年でしかなかった。
これは、大反撃の物語である。
再起を誓ったレオナートはまさに一騎当千!
そして一本気な彼に惹かれて集うは、神とも魔物とも例えられる数多の名将、賢者、才媛、奇才。
やがて彼らは腐敗した祖国を呑みこむ一大勢力となり、群雄する大国全てと渡り合っていく!
痛快にして本格――多士済々の英雄女傑、武勇と軍略が熱く胸を焦がすファンタジー戦記、堂々開幕!!

英雄の蛮勇を刮目して見よ!と言わんばかりの超スペクタクルでお送りする戦記物ド直球作品。

主人公の武勇も去ることながら出るわ出るわの一騎当千の英雄たち。

知略あり戦略あり暴虐ありのとにかく壮絶な展開の数々で休む暇もありません。

しかし作品の中で一貫したリアルさとファンタジーさの同居。

動物と話せるとか数キロ先を射抜くとか割りとトンデモな能力も出てきますが全く気にしないほど地に足付いた描写力です。

どんな苦境も跳ね返す主人公たちの武力と知恵、そしてなおも繰り返し繰り返し立ちはだかる強敵たちとの真剣なバトル。
手に汗握ること間違いなしです。

このサイトでの記事:
感想 『我が驍勇にふるえよ天地』 武勇と采配とぶつかり合い
感想 『我が驍勇にふるえよ天地2 〜アレクシス帝国興隆記〜』 局地戦も大決戦も映える
感想 『我が驍勇にふるえよ天地 3 〜アレクシス帝国興隆記〜』

 

 

5位 『ストライクフォール』

ストライクフォール

(※画像クリックでBOOK☆WALKERのページに飛びます)

あらすじ・内容

SF 界の俊英、ガガガ文庫に電撃参戦!近未来、人類は宇宙に進出し、惨禍のはてに戦争をやめた。……いや、正確には、形を変えた。代理戦争として発展した宇宙 競技、ストライクフォール。広大な宇宙をフィールドに、敵のリーダーを屠るべく戦うチーム闘技に人々は熱狂した。万能の泥、チル・ウエポンによって作られ たストライクシェルに身をつつみ、プレイヤーたちは宙を駆ける。故郷のため、栄誉のため、家族のため、あるいは己が夢のために……。鷹森雄星も、ストライ クフォールに魅せられたひとりだ。弟は、トップリーグでのプロデビューが決まった若き天才、鷹森英俊。幼なじみの環のやさしさに見守られながらも、雄星は 宇宙を目指すが――。「知ってるか、兄貴。宇宙では、あらゆるものが落ちている最中なんだ。――落ち続けるなら、オレはほしいものを手に入れる」なら、翔 ぶ。翔んで、宇宙に手を伸ばす。これは、宇宙を「掴む」兄弟の物語。SF界の俊英が放つ新たなライトSFエンタテイメント!

あの円環少女から5年……ついに長谷敏司先生がライトノベルレーベルに帰ってきた衝撃の一作です。

今作はスペースオペラ × スポ根 × ロボットというトンデモ掛け算の合せ技というシロモノで、その中でも人々の宇宙に対する憧れや確執、情熱と憐憫をしっかり描ききるという最高にルツボな様相を呈しています。

宇宙を駆ける二人の兄弟とそれを見つめる幼馴染。
しかし思わぬ展開が主人公を大きな宇宙のうねりが飲み込んでいく……というガ○ダムもびっくりな超王道なのに、そこでひねってくるか!というキャラクターたちと壮大なSF設定に裏付けされた芯のある舞台。

テーマとなっている「ストライクフォール」というスポーツですらあまりにリアルに練られたルール、背景と選手たちがそこに刻む熱きソウルともいえるオーラが鮮烈な印象を残していきます。

そして終盤の衝撃的な展開。ページをめくる手が止まりません。

このサイトでの記事:
感想 『ストライクフォール』 兄弟の夢の軌道速度は
感想 『ストライクフォール 2』 競争の意味を問う

 

 

4位 『86―エイティシックス―』

86―エイティシックス―

(※画像クリックでBOOK☆WALKERのページに飛びます)

あらすじ・内容

第23回電撃小説大賞《大賞》受賞作、堂々発進! 最終選考委員と、編集部一同をうならせたエンターテイメントノベルの真・決定版!

サンマグノリア共和国。そこは日々、隣国である「帝国」の無人兵器《レギオン》による侵略を受けていた。しかしその攻撃に対して、共和国側も同型兵器の開発に成功し、辛うじて犠牲を出すことなく、その脅威を退けていたのだった。 そう――表向きは。 本当は誰も死んでいないわけではなかった。共和国全85区画の外。《存在しない“第86区”》。そこでは「エイティシックス」の烙印を押された少年少女たちが日夜《有人の無人機として》戦い続けていた――。死地へ向かう若者たちを率いる少年・シンと、遥か後方から、特殊通信で彼らの指揮を執る“指揮管制官(ハンドラー)”となった少女・レーナ。二人の激しくも悲しい戦いと、別れの物語が始まる――!

第23回電撃小説大賞 大賞受賞作。

人権と闘争。飽くなき戦いの果てに少年少女たちがたどり着いた場所とは……。
と思わずモノローグをいれたくなるほど。この1巻で完全に完成されている作品です。絶対に最後まで読んでほしいですね。

安全地帯にいて指示を出すヒロインと、とんでもない生存率を叩き出す主人公達の少年少女で構成された部隊。
この二つの立場の対比から、世界の在り方や、背景設定のいびつさが見事に浮き彫りにされてウンウンとうなりながら読み進めることが出来ました。

敵である無人機の不気味さとは裏腹に少年少女たちのみずみずしい若さと明るさが、その根底に広がる人権差別や堕落した人間の醜さが照らし出されています。

それでいて無人機VS人間扱いされない部隊の真剣なバトルと知略合戦というオーソドックスなエンタテインメントの文脈も外していないのがニクいところです。

信条が行き着いた先の強さ、自由が落ちていった先の脆さといった対比構造が最後まで続いて、見事な着地を収めたところでこの作品がしっかり終わったことをふと意識するようなそんなスッキリした読後感もポイント高いですね。

このサイトでの記事:
感想 『86―エイティシックス―』 自由の果ての自由

 

 

3位 『弱キャラ友崎くん Lv.1』
弱キャラ友崎くんLv1

(※画像クリックでBOOK☆WALKERのページに飛びます)

あらすじ・内容

こ れが人生(クソゲー)攻略の最前線!人生はクソゲー。このありふれたフレーズは、残念ながら真実だ。だって、人生には美しくシンプルなルールがない。ある のは理不尽と不平等だけ。自由度が高いなんてのは強者の言い分で、弱者には圧倒的に不利な仕様でしかない。だから、クソゲー。あまたのゲームに触れ、それ らを極めてきた日本屈指のゲーマーである俺が言うんだから間違いない。――だけどそいつは、俺と同じくらいゲームを極めてなお、「人生は神ゲー」と言い きった。生まれついての強キャラ、学園のパーフェクトヒロインこと日南葵。しかも、「この人生(ゲーム)のルールを教えてあげる」だって? ……普通は、 そんなの信じない。だけど日南葵は、普通なんて枠にはまったく嵌まらないやつだったんだ! 第10回小学館ライトノベル大賞優秀賞受賞作。弱キャラが挑む 人生攻略論ただし美少女指南つき!

バイブルです。
バイブルです。(大事なことなので二回言いました)

現在中高生の思春期真っ只中なのにも関わらず、クラスで浮いてしまってつるむ友達も少ない。けれどもモンモンと過ごす生活の中でも輝かしい青春時代のかけらをつかみたい……
そんな数あるライトノベル読者層の中でもコッテコテの横浜家系ラーメンのような人たちにこそ家宝にしてほしいそんな作品です。

まずキャラクターが良い。
究極的に等身大でリアリティの表現が素晴らしい。
こんなヤツいるいる!っていう感じではなくてこんなヤツいたかも!っていうギリギリの感触をさわさわって撫でられているようなそんな印象です。

次々に作品内で出てくるリア充スキルの説得力の高さ。
一体どれだけ地獄をくぐれば描けるのかと思わず唸ってしまう数々のノウハウがびしっと出てきます。もはや教科書。

現実で使えるかどうかは微妙なものも多いかもしれないですが、ここで言いたいのは”説得力の高さ”であり”現実の実用性”ではないんです。
なんとなく納得してしまうそんな魅力があります。

そしてストーリー。
不器用なのに背伸びして躓いて、でも助けを求めて裏切られて……リアルとファンタジーのギリギリの思春期特有の駆け引きが時にすっきりと、時にじっとりとぶつかって来てドギマギします。

とにかくこの作品を中高生時代に読める人たちが心の底から羨ましいです。

これが自分が大人になったからこそ分かる魅力なのか、今青春時代真っ只中の人たちも共感できるのか。

二律背反で証明ができない命題のようです。そんな不思議な魅力がこの作品にはありますね。

このサイトでの記事:
感想 『弱キャラ友崎くん(Lv.1)』 人生ハードモード、だから攻略しがいがある感想 『弱キャラ友崎くん Lv.2』 努力の化物は退治できない感想 『弱キャラ友崎くん Lv.3』 カラフルに映る風景

 

 

2位 『29とJK ~業務命令で女子高生と付き合うハメになった~』

29とJK 〜業務命令で女子高生と付き合うハメになった〜

(※画像クリックでBOOK☆WALKERのページに飛びます)

あらすじ・内容

29歳とJK、“禁断の”年の差ラブコメ、はじまる!

目つきは怖いが会社では一目置かれている29歳社畜・槍羽鋭二。
ゲームや漫画が好きで、休日のネカフェを癒やしに日々を生き抜いている。

ある日、槍羽は《あること》で説教した女子高生・南里花恋からコクられてしまう。
14も年下とは付き合えないとキッパリ振るが、後日社長から呼び出され――「業務命令。孫の花恋との交際を命ずる」。

なんなんだこの会社!? 絶対に辞めてやる!(入社以来17回目)
だが始まってしまうJKとの交際。妹が、元カノが、会社の部下が、世間の目が槍羽の前に立ちはだかる!

29歳とJK、“禁断の”年の差ラブコメ、はじまる!

なんだよこれ。こんなの泣けるにきまっているじゃんか。

主人公は目つきこそ悪いんですがそこら辺にいるなんともない保険屋のコールセンターで働くサラリーマンで仕事終わったあとにちょっとご褒美にお酒飲んで帰宅してまた会社に向かう社会戦士なんですよ。

しかしひょんなことから社長の孫娘であるJKと交際することに、といったラブコメ部分が際立ったあらすじ……ですがこの作品の魅力はそんなところではありません。

突然ですが、職業倫理というか社会の風当たりというかそういうものは大人になったらもう毎日イヤッっていうほど味わうものなんですよ。

この作品それをライトノベルというたかだか200~300ページにギュっと濃縮してガソリンまいて盛大にファイヤーバーニングして触れたら誰もが焼け焦がれるようなパワーにして全力で殴りかかってくる衝撃をもっているんです。

まず真面目に働くと”信頼”につながるという点をまっすぐ描いている点。

ビジネスの世界における”信頼”がどれほどの価値を生むか若い人たちにはピンと来ないと思いますがこの作品を読めばその一端に触れることが出来ます。

仕事というのは本質的には信頼されなくては始めることが出来ないんですよ。

東大卒のパーフェクトな頭脳と実績を積んだ学生がいざ現場に入ってやらされることは何か?……残念ながらただの雑用なんですよ。

何故か?
人事の目が節穴だから?上司が妬んでいるから?
違うんですよ。能力に見合った仕事が降ってこないのは全て“信頼”されていないからなんですよ。

じゃあどうやって信頼を積み重ねるのか?
簡単なんです。雑用をこなすんですよ。

さらには雑用だけでなく振られた仕事目の前の壁同僚との切磋琢磨上司への気配りお客様への誠意出世合戦報告連絡相談お茶くみ挨拶全てをこなしていくんですよ。
そうやって”信頼”されることで前へ進むんです。

この作品を読んで主人公の積み上げてきた仕事の軌跡と立ちふさがる会社の陰謀、壁を乗り越えた先の達成感などなどに触れると……本当に目頭が熱くなりますよ。

夢を諦めた絶望感とそれすら麻痺させる日々のタスクタスクタスク……

その上ヒロインのJKちゃんも良い。

若さっていうだけで眩しいのに彼女には夢があり熱意があり才能がある。
それゆえに主人公との立ち位置の対比が見事な化学反応を起こしています。

数ある職業モノの中でも卓越したアツさに滾るし、本気でキャラクターを応援できる作品です。

笑いありLOVEあり涙ありでまっすぐ描かれた職業モノライトノベルの真髄をこの作品で目の当たりにしましたよ。

このサイトでの記事:
感想 『29とJK 〜業務命令で女子高生と付き合うハメになった〜』 純度の高い社畜の魂の叫び

 

 

1位 『やがて恋するヴィヴィ・レイン 1』

やがて恋するヴィヴィ・レイン 1

(※画像クリックでBOOK☆WALKERのページに飛びます)

あらすじ・内容

飛空士シリーズの犬村小六、最新シリーズ!

「ヴィヴィ・レインを見つけて」

彼女の願いを叶えるため、スラム街の少年は旅に出る。限られた命を生きる人造の少女と、意志を持つ機械兵。滅びゆく王国の姫、性別不詳の天才操縦士、皇帝に捨てられた子ども……。
旅の途中、それぞれの傷を抱えた仲間たちと出会い、やがて少年は「災厄の魔王」と称され、楽園に支配された世界へ反逆の旗を翻す。
ヴィヴィ・レインを探す、ただそれだけだった小さな旅はいつしか時代のうねりとなり、世界を変革する戦いへ――。

傷だらけの少年少女が織りなす恋と会戦の物語、開幕。

ガガガ文庫の不思議ファンタジー枠の大本命がきました。

ジブリの世界のようなふわふわとした土台にこれでもかと筆致を重ねた設定と濃いイベント。

作者の得意とする格差のついた社会と世界設定をベースに、独自の解釈を加えた戦争描写と戦闘描写。

どれをとっても一級品なんですがあえて特筆するなら、各出来事とキャラクター同士の関係性の絶妙なバランス感覚でしょうか。

まるで映画の世界に読者も迷い込んだかのようにくらくらするほどワクワクした世界観で強烈にガツーンと殴られたかのように感じる凄惨なシーンが来たり。

ほっこりするラブコメシーンが来たと思ったら、裏切り裏切られ高め合い陥れ合う様々な立場を入れ替わり立ち代り繰り返される演舞のような大スペクタクルロマン。

ロボットの機械兵あり、ドラゴンあり、知略あり、兵と兵がぶつかり合う合戦あり、身分を超えた恋あり世界の謎ありと毎ページ毎ページ目が離せないしめくる手が止まりません。

その全てが絶妙なバランス感覚の上で成り立っています。
素晴らしいの一言ですよ。

妹が残した「ヴィヴィ・レインを見つけて」という台詞を軸に展開される世界の謎も見どころの一つ。

伏線が現れては回収され、新しい伏線が生まれて……全くドキドキとワクワクが途切れない作りになってます。

この物語がどのような結末を迎えるのかをこのブログを読んでいるあなたと是非一緒に見届けたいですね。

このサイトでの記事:
感想 『やがて恋するヴィヴィ・レイン 1』 戦争に咲く恋の香り
感想 『やがて恋するヴィヴィ・レイン 2』 恋の盛り上がりと二人の距離
感想 『やがて恋するヴィヴィ・レイン 3』 裏切りと恋の夜

 


いかがだったでしょうか?

ここで紹介されていない沢山の作品の中にもあなたにあった作品が絶対絶対絶対あるはずです。

改めてですがリココインフォはBOOK☆WALKER主催 「新作ラノベ総選挙」を応援しています。

投票は6月11日(日)まで受け付けているのでぜひ投票にも参加してみんなで盛り上げていきましょう!

投票用URLはこちら
https://bookwalker.jp/lvote2017/

 

○リココでした。


ライトノベル雑談のタネ -紀伊國屋の文芸、異世界転生禁止デマ拡散など-


不定期でお届けする最近ライトノベル界隈を騒がせているニュースを斬っていくコーナー.
週次を目指していますが、しばらくは不定期ということにさせてください.

その名も……

ラノベの雑談のタネ

張り切っていきまっしょい.

 


■紀伊國屋書店 – ラノベと文学の狭間の住人に向けた「ラノベと文芸の深淵(アビス)~虚無の中のWeiβ&Schwarz」フェア 開催

ラノベは卒業したけど少年少女の心は忘れていない全年齢……という単語が微妙にキンキン触れましたが,どうやらそういった方々にむけて「ライト文芸」といったものを広めていこうという心意気のようです.

個人的には各出版社が協力したアンケートも結構見どころがたくさんあって面白いです.(画像を拡大すると普通に読めます)

少し気になったのは講談社タイガ編集部さんのコメントにあるように,ライト文芸のライトは「軽い」という意味のライトと捉えている人が多いのではないかという仮説の点と,
その問いに使われている「ライトノベル(中略)一度ヒットが出ると似た系統の書籍が乱立し、またこれか!と思われてしまう傾向」という言葉に現れているように,そうとうライトノベルって同じようなものが堂々巡りしていると思われているんだなぁというところに寂寥感を感じました.

このブログのエントリーにたどり着くような方々には当然な情報だとは思いますが,ライトノベルも本当に多種多様な作品が出ていて一概にそういった傾向はないと考えています.
(とはいうものの「一度ヒットが出ると」という前置きがあるのでデータとしては検証しやすくはしてくれているみたいなので,主観的に調べてみるのも面白そうですが……)

結局メディアワークス文芸編集部さんの言うように,”ドキドキワクワク”する物語を読者が求めていることは間違いが無いでしょう.

ちなみに私個人は”ライト文芸”と呼ばれるジャンル郡とライトノベルで刊行されたことがある数々の作品の間に違いをあまり感じることができていない派閥の者です……同じような人いませんか?
でもまぁ,もしかしたら俗にいう”文芸的な”作品を毎月百冊以上も刊行されている中から好みのものを見つけること自体が難しくなっている昨今においては,傾向が明示的になっていく事自体は喜ばしいことだと思います.
こちらの企画,是非足を運んでラインナップを確認したいなと思います.
(ただ名前が厨二クサすぎやしませんかね……)

 

 


■なぜか『小説家になろう』およびライトノベルの新人賞で異世界転生と異世界転移が禁止された!というデマが広まる

この流れ謎すぎやしませんかね.

発端はこのツイートみたいです.

それをみた人たちが次々に,「小説家になろう』短編小説賞、異世界転生・異世界転移が禁止される」というデマになり,それが広がりまとめサイト等で歪んだまま転載され……という悪夢を見るような流れを辿ったようです.

togetter  「『小説家になろう』で異世界転生が禁止された」「ラノベ新人賞で異世界転生が禁止された」というデマが広がる まとめました。

実際どういうことなのかはコメント欄含めてここでよくまとまってます.

人の伝聞は怖いとは言いますが,どうしてこういう解釈になったのか.
少し考えればおかしいことに気づくレベルの荒唐無稽な話なのにもかかわらずです.

ただこの件について私は思うところがあって,
それは

「Webのライトノベルひいては異世界転生モノに対する偏見とドヤ顔でしたり顔で語りたい欲求」

についてです.

今回こういったデマが広がったのは私は単純なことだと思っていて,ひとえにこのツイートがネット住民が考える

「こういう感じに異世界転生モノのライトノベルや作品について雑に叩いたら気持ちいし,したり顔で語れるんだろうな」

という暗い欲求に見事に合致した一つの事実だったからです.

日頃から「あーあ。やっぱり異世界転生や召喚モノって増えすぎたよな。だから新人賞でも明確に禁止されちゃったよ。ウケる」って言いたくてウズウズしている自称「物書き」もしくは「文学好き」が大量に釣れたという側面もあったのではないでしょうか?

(もちろん,多種多様な好みがあるこの世界でそういったレギュレーションが組まれる新人賞が出てきてもおかしくないですが,それにしたって特に違和感も感じずに飛びつくほどのことでしょうか……)

そのようなケモノのような欲望に身を委ね,真偽や実際のところを確認せずに「ついになろうが異世界禁止したwwwww」という芝を生やすアカウントが大量に発生したところをみていい感じに天狗のお供えされちゃうんだろうなぁという感想が湧いてしまいました.

自分への戒めも含めて,このようなケモノにならないように日々精進したいともいます.

t_x140

 

 


■ストーンエッジ代表三木一馬氏がいろいろ語ってる

いろいろ語ってます

変わりつつあるエンタメ業界を生き抜くその術とは──ストレートエッジ代表・三木一馬さんインタビュー

編集者という枠の拡張というより革新でしょうか.

エージェントいう概念を出版社にもたらしていくチャレンジングなスタイルをぜひ応援したいです.

新規IPも考えているみたいですが,現在は契約している作家で手一杯みたいです.
しばらくは得意な小説やマンガでガシガシやっていくみたいですね.

特に注目する点として,エンタメ業界の高齢化やライトノベル業界のレーベル数の増加について言及している点です.うーん非常にクールなコメントではないでしょうか.

我々読者としては常に「選択する側」である権利があるわけですが,それはつまり選択する(あるいは選ばなかった選択をきり捨てる)ストレスを享受することでもあるわけです.

Web媒体が開拓されたことで広がった裾野は大まか読者側も作者側も編集側にも好意的に迎えられていますが,そこから無思考でランキング上位からポンポン選んでいくことにはいろいろな危険がはらんでいることは覚えておきたいことですね.
(そうなるとプラットフォームの権力・勢力が本当に強くなるので.)

三木一馬さんはこのインタビューも面白かったです.

『とある』『シャナ』を生み出した打ち合わせに学べ!“6000万部編集者”が語る 部下への「ポジ出し」術

”ダメ出しの反対の『ポジ出し』”という考え方が面白いですね.

そして”対案を出す”ことの重要さを説いています.

批判ではなく”対案”であることの大事さ.

我々読者だけでなく,作家側の在り方,そして編集者の在り方にも変化が訪れようとする時代なのではないでしょうか.
いろいろと深く考えていきたいところです.

 


いかがでしょうか.

いつもTwitterで徒然なるままにライトノベルについてつぶやいていましたが,たまにはガッツリエントリーを書こうかなと思い立ってバババッと書いてみました.

定期的にライトノベルの雑談のタネになる話をお届けしたいと思います.

それでは次のタネまでおさらばです.

リココ