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感想 『ゴブリンスレイヤー 7』 故郷の穢れと別れ


故郷の穢れと別れ

冒険と冒険の間に揺れるルールと真理がひかる1巻でした.

抜け道や裏技はたくさんあれど,真っ直ぐなのはいつも気持ちだけで身体や想いはついてこれないやきもきと,それでも前に進むヒロインズが印象的でした.

エルフという長命の種族の死生観など確かなベースを感じるそのずっしりとした雰囲気が相変わらず魅力的な作品ですね.


感想 『最果てのパラディン 4』 辺境の地であたたまる


辺境の地であたたまる


大きな戦いのあとに訪れる安寧でも語るべき物語はあるんですね.

邪竜退治のあとの町おこし.いろいろなトラブルがあってもどこかほっこりするシーンが続きました.

主人公の周りだけでなく主人公も自分の物語を一歩先に進ませたのが読者としても一緒に喜べるような,そんな素敵なお話でした.

寓話のようなかといってそれほどくだけない不思議な雰囲気を持った作品だなと再確認しました.


感想 『ゴブリンスレイヤー 5』 かくも過酷な冒険なり


かくも過酷な冒険なり

あらすじ・内容

シリーズ累計50万部突破!
蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー第5弾!

「…………取り戻さないと」
「……何を、ですかな」
「すべてを。喪った物を、すべて」
ゴブリン退治から消息を絶った令嬢剣士を探して欲しい――剣の乙女の依頼を受けて、北方の雪山に向かうゴブリンスレイヤーたち一行。
しかし、襲撃される寒村、謎の礼拝堂、今回のゴブリンの群れに違和感を覚えるゴブリンスレイヤー。
「……学習した、だと?」
仲間の痛手を越えて洞窟探索を終えた一行は、あるものを見つける。
「外なる、智恵の神。覚知神……」
何者かに統率されたゴブリンの巣くう古代の砦にゴブリンスレイヤーたちが挑む!
蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー第5弾!

ゴブリンスレイヤー5
この世の邪悪を詰め込んだゴブリンという種族ととにかく対峙していくこのシリーズ.

冒頭からしてエグい.しかし当然だという納得感もあります.

冒険者による冒険はどれだけの敵,自分たちの作戦や準備があったとしてもリスクはゼロにできないという1巻の頃からの哲学は残しつつ,同じく原点回帰というかヒロインの一人である女神官のルーキー時代と新キャラクターを対比させることで成長も描いていましたね.

キャラクターたちは絶望的な状況でも明るくポジティブに笑顔を作っています.

その理由もしっかり描写することでそれは経験と技術に裏付けられた確固たる強さであることが読んでてありありとわかりました.

まだまだ裏ではたくさんの設定がありそうな伏線もはられていたので今後の展開も目が離せなさそうですね.


感想 『とんでもスキルで異世界放浪メシ 1 豚の生姜焼き×伝説の魔獣』


何でもありの通販

あらすじ・内容

――その男、異世界の胃袋を鷲掴み!!

現代日本から剣と魔法の異世界へと召喚された向田剛志。どんな大冒険が待っているのかと思えば、実はムコーダは「勇者召喚」に巻き込まれただけの一般人だった! そんなムコーダの初期ステータスは正規の勇者(3人もいる!)に比べてかなりしょぼい……。さらにムコーダたちを召喚した王国がうさん臭く、「あ、これ勇者を利用しようとするやつだ」と察して一人城を出るムコーダ。この異世界でムコーダが唯一頼りにできるのは固有スキル『ネットスーパー』――現代の商品を異世界に取り寄せられるというものだけ。戦闘には向かないが、うまく使えば生活には困らないかも? と軽く考えていたムコーダだったが――? 実はこのスキルで取り寄せた現代の「食品」を食べるととんでもない効果を発揮してしまうことが発覚! さらに、異世界の食べ物に釣られてとんでもない連中が集まってきて……!?
「小説家になろう」年間1位のとんでも異世界冒険譚、ついに登場!

とんでもスキルで異世界放浪メシ 1 豚の生姜焼き×伝説の魔獣
異世界の通貨でネット通販が使えておまけに食材にバフが乗るというチートモノ.

料理描写がクドくないバランスでちゃんと美味しそうに感じる点が良かったです.

キャラクターもさっぱりしてますが神狼と女神がコロッと食べ物で陥落するあたりがコミカルで面白いですね.

経済的にも能力的にもかなりやばい能力なんですがお気楽な主人公が全能感を和らげていて良い塩梅です.

改めて思う日本のネット通販ほんとヤバすぎる.

またいろんなキャラクターが食べ物で陥落するさまが見れそうなのでそこが楽しみな作品です.


感想 『俺たちは異世界に行ったらまず真っ先に物理法則を確認する』


高専生のドヤ顔

あらすじ・内容

これは、後に魔法技術の礎を築き上げた賢者たちの物語――。

高等専門学校、高専に通う幸成たち12名の学生たちが目を覚ますと、そこは異世界でした。ロボコペ優勝を目指してガレージで徹夜作業をしていたはずの彼らが、まず行ったのは……物理法則の確認! 摩擦、空気抵抗、重力、電気抵抗と、自分たちの知識を駆使して、その土地を調べ上げるメンバー。ひとまず生命が活動することができることを確認した彼らは、これから始まるサバイバル生活に落胆することしかできず……。しかし、森で廃棄されていた魔道具【マジックアイテム】を拾ったことで、彼らの運命は大きく動き始める――!

オタクなどのマイノリティーに属している側の人間はたまに周りに発散してもらいたくなるものです.

持っている知識を思う存分に開陳したい,そして自分に最大限注目して理解して認めてほしい……こんな欲求です.

この作品はそうした欲望が合致した人にとってはかなりの精度で満たされるようにできていますね.

それぞれのキャラクターの苦悩もそれに即した内容になっていてシンパシーを感じやすくなっていて丁寧な作りです.

次の展開でどんな知識が披露されるのか,そんな楽しみ方が出来そうですね.


感想 『サークルクラッシャーのあの娘、ぼくが既読スルー決めたらどんな顔するだろう』


見事な破壊っぷり

あらすじ・内容

[男4人女1人の旅団(サークル)]+[サークルクラッシャー1人]=!?

“巌窟王(ダンジョンマスター)”によって隠された莫大な財宝・七氏族軍資を横取りするため、旅団(サークル)が鎬を削る冒険者時代。白魔道士ユーリは“軍資に一番近い旅団”と称される猛者五人のうちのひとりにして本の蒐集家だったが、迷宮の奥深くに封印されていた美女・クリスティーナの旅団参加によって、旅団の人間関係は滅茶苦茶になってしまう……!
[男4女1の旅団(サークル)]+[女1]=修羅場(クラッシュ)!?

「……私のこと好きですよね? ですから、好きです」

人間関係をことごとくしかも全自動で破壊する危険な女性の極地のようなキャラクター造形に脱帽です.

それなりの時間をかけて絆を育んだ関係良好な熟練冒険者たちがある少女と出会うことで完全に関係が崩壊していくさまをファンタジーが舞台でありながら何処か現代にも通じる筆致で描いています.

どのキャラクターも濃い味付けで一緒になって一喜一憂できますし,それぞれに等身大なところが少しあるのでそこもバランスがいいですね.

続きが出るかどうかは微妙な終わり方ですが,もしあるとしたら今作以上のサークルクラッシャーぶりを発揮してもらいたいですね.


感想 『ゴブリンスレイヤー 3』 冒険だけが冒険じゃない


冒険だけが冒険じゃない

あらすじ・内容

コミック版も同時発売!

「ところで、ほら、えと、明後日、収穫祭が、あるじゃないですか――予定、空いてますか?」
「……ゴブリン」
「あ、ゴブリン以外です」

秋、辺境の街は収穫祭を間近に控えていた。
そんな中、神殿の仕事で忙しそうな女神官、ある出来事で拗ねる妖精弓手、祭の準備に参加する鉱人道士、蜥蜴僧侶と、それぞれの日常を過ごす冒険者たち。
そしてゴブリンスレイヤーもまた“日常”を過ごしていたのだが……。

依頼の減るゴブリン退治、現れる三人の来訪者、祭の裏で暗躍する計画とは!?
「素人め、教育してやる」
蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー第3弾!

祭りの喧騒とそれぞれの恋路がくっきり描かれていた今巻,とても満足しました.

1巻の頃と比べて主人公の気持ちの良いくらいの冷徹さは鳴りを潜めて,その本質はベースにあるもののより人間らしさが際立つストーリーだったと思います.

女性陣の生き生きとした表情が良い!

ゴブリンはやはり恐ろしいですが工夫と知恵で冷静に対処する楽しさはそのままに作品の魅力がキャラクターによって増していると言った印象です.

次も冒険や他のキャラクターにスポットライトが当たることを期待しつつ,次巻を待ちたいと思います.


感想 『ゴブリンスレイヤー 2』 ただひたすらに貫く


ただひたすらに貫く

あらすじ・内容

蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー。
圧倒的人気のWeb作品、早くも2巻が発売!

発売後、即大増刷のヒット作『ゴブリンスレイヤー』。
5月25日発売の「月刊ビッグガンガンVol.06」よりコミカライズ(漫画:黒瀬浩介)連載開始!
「どうか、わたくしどもの街を救っては頂けないでしょうか」
「救えるかどうかは、わからん。だが、ゴブリンどもは殺そう」
ある日、ゴブリンスレイヤー指名の依頼書が冒険者ギルドに届いた。
差出人は水の街――辺境一栄える至高神の都の大司教だった。
大司教はかつて魔神王を打ち倒した金等級の一人として、剣の乙女と呼ばれる英雄でもあった。
彼女いわく、水の街の中に何故か小鬼が出るという。
ゴブリンスレイヤーは妖精弓手、女神官、蜥蜴僧侶、鉱人道士とともに水の街の地下迷宮に挑む!
「この小鬼禍は、人為的なものだ」
蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー第2弾!

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ゴブリンを倒す背中がたくましすぎてカッコイイ.

凄惨を極める醜きゴブリンが本当に邪悪に描かれていて恐怖を覚えるレベルです.

それを考えて考えて工夫して工夫して虐殺をする主人公がある種狂っている感じなんですが,相変わらずその背景が言動の重みと説得力につながっている構成でアツくなります.

キャラクターも固有名詞ではないものの個性がかなり豊かでコロコロ変わる表情と言葉に楽しくなります.

前巻は1巻完結のような展開でしたが今回は伏線もたくさん出てきていよいよ世界観が広がっているので,またその芯で貫いているところをどんどん読んでいきたいですね.


感想 『灰と幻想のグリムガル level.8 そして僕らは明日を待つ』 絆が試される、怒涛の展開


絆が試される,怒涛の展開!

あらすじ・内容

幾多の危機を越えグリムガルへの帰還を果たしたハルヒロた ち。しかし、戻ってきたとはいえ、出口の先は人間族の勢力圏から遠く離れた土地だった。偵察に出たハルヒロとユメは、幸運にもクラン「暁連隊 (DAYBREAKERS)」に所属する〝颱風(タイフーン)〟ロックスたちと出会う。だが彼らはある目的のため、オークや不死族の集団と戦っており、ハ ルヒロたちも、更には残っていたランタとメリイ、クザクとシホルの4人も別々に行動し、戦闘に巻き込まれてしまう。
ようやく戻ってきた世界でも、待っていたのは仲間と更なる出会いと戦いだった。灰が舞い、幻想を越えた先に何が待つのか、いまはまだ誰も知らない。

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前回も相当大変な困難がパーティを襲いましたが今回もハンパなかったです.

ハラハラとドキドキでページをめくる手が止まらず最後まで一気読みでした.

仲間のあり方,戦いの哲学,絆の多様性などただでさえ広がっていた世界がまたさらにグッと実感が増してものすごいところまで深まった気がします.

特にあるキャラクターの立ち振る舞いや考え方など,謎も多く考えさせられます.

異世界は平等で,当然自分たちだけでなく“相手”も存在するしその時を生きています.

数ある多くの選択から何かを選び,何かを捨てて,成長して戦って笑い合って悲しんで……どこまでも等身大な冒険がこの作品の最大の魅力なのかなとやはり強く感じますね.

当然このヒキでは続きが気になりすぎるので早急な供給を求めます.


感想 『ゴブリンスレイヤー』無慈悲に。徹底的に。


無慈悲に,徹底的に.

あらすじ・内容

「ゴブリン以外に用はない」
これは、小鬼を殺すだけの男が「冒険者」になることを願う物語。

「俺は世界を救わない。ゴブリンを殺すだけだ」
その辺境のギルドには、ゴブリン討伐だけで銀等級(序列三位)にまで上り詰めた稀有な存在がいるという……。
冒険者になって、はじめて組んだパーティがピンチとなった女神官。それを助けた者こそ、ゴブリンスレイヤーと呼ばれる男だった。
彼は手段を選ばず、手間を惜しまずゴブリンだけを退治していく。そんな彼に振り回される女神官、感謝する受付嬢、彼を待つ幼馴染の牛飼娘。そんな中、彼の噂を聞き、森人(エルフ)の少女が依頼に現れた――。

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偏執的なまでのこだわりとそれに足る理由が見事な説得力を生み,物語とキャラクターに力を与えていました.

ゴブリンという誰もが倒した(殺した?)ことのある敵を題材にし,その恐怖やリアルさを余すところなく演出してのけたという印象です.面白い!

一つ一つ伏線のピースや冒険のTipsも面白いのですが,やっぱり明るいところと重厚な暗いところのギャップが心躍らせますね.

また登場人物の言葉の端々から感じられる世界観と魅力が心地よかったです.

ジーンとするシーンもあり,またいい感じに終わっているようで,最後まで見届けたいとも思いました.

今日もどこかで町娘が攫われてる,そこに現れる使い古した鎧の影……ゴブリンスレイヤーは今日もどこかで小鬼を震えさせていそうです.