「感想」カテゴリーアーカイブ

感想 『やりなおし魔術機工師の再戦録』 歴史を“活かす”戦い


歴史を“活かす”戦い

あらすじ・内容

運命を、やりなおせ。 必敗の歴史を勝利へと更新する、リライト・ファンタジー!

それでも人類は、敗北した。 “魔術”と“機工”が両立する 世界に突然現れた人類の天敵“異海鬼獣(リヴァイアサン)”。未曾有の脅威を前に“魔術師”と“機工師”は初めて手を組み、文明は一気に加速し――それで も。歴史の歩みはあと一歩、決定的に遅かった。 だから、俺たちはやりなおす。 全てが滅びた絶望の赤い海から、過去へ。 逆行し、遡生し――技術の結晶 たる“魔術機工(デハイド)”を手に「あの日」へ向かって。この世界を再び走り抜け、かつて手が届かなかった何もかもへ、もういちど手を伸ばして。 歴史 を、運命を、書き変えてみせる。

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文字通り過去に戻ってやり直す魔法と機械が交差する世界の物語でした.

ヒロインも主人公も陣営に別れながら必死に歴史をトレースする前半部.
結構ストレスたまりましたがそれも未来のためかなと考えてたら一気に後半歴史が動いてメリハリが出てきて楽しかったです.

ヒロインの我慢の人なんだけどシーンによっては人間っぽくなるのが魅力的でした.

ただ主人公が少し猪突猛進でいい意味で熱い悪い意味で考えなしなところがあるのでそこは好みが分かれるところではないでしょうか.

なんにせよ一気に事態と歴史が動いた以上,この先は一筋縄では行かなそうです.


感想 『武に身を捧げて百と余年。エルフでやり直す武者修行 7』


最強は未だ遠く,果てしない

あらすじ・内容

「最強」を目指す少年が体験する未知の闘い――拳VS銃!!

最凶の敵・ガルトに完全敗北を喫したスラヴァ一行。より一層の鍛錬のため、賞金首たちとの命をかけた実戦経験を積むことに。そんな彼らに舞い込んできたのは、未知の武器――銃を密売する組織壊滅の依頼だった……!

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人里の旅も大詰め.

出会ってきた様々な人たち,経験が結実して確かな実力として実感できます.

今巻はいつもより男女の関係やバリエーション豊かなイベントがたくさん起こっていたので読んでいて華を感じました.

この作品は戦闘描写に特徴があるのもそうですが,キャラクター達の思い切りが良いのも素晴らしいですね.

正気を保ちつつ死地へ容赦なく飛び込み,経験として糧を得る.武闘家の生き様に惚れ惚れしますね.

新しい技や新たな道標も示されたということなので,今後の展開が楽しみです.


感想 『ゴブリンスレイヤー』無慈悲に。徹底的に。


無慈悲に,徹底的に.

あらすじ・内容

「ゴブリン以外に用はない」
これは、小鬼を殺すだけの男が「冒険者」になることを願う物語。

「俺は世界を救わない。ゴブリンを殺すだけだ」
その辺境のギルドには、ゴブリン討伐だけで銀等級(序列三位)にまで上り詰めた稀有な存在がいるという……。
冒険者になって、はじめて組んだパーティがピンチとなった女神官。それを助けた者こそ、ゴブリンスレイヤーと呼ばれる男だった。
彼は手段を選ばず、手間を惜しまずゴブリンだけを退治していく。そんな彼に振り回される女神官、感謝する受付嬢、彼を待つ幼馴染の牛飼娘。そんな中、彼の噂を聞き、森人(エルフ)の少女が依頼に現れた――。

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偏執的なまでのこだわりとそれに足る理由が見事な説得力を生み,物語とキャラクターに力を与えていました.

ゴブリンという誰もが倒した(殺した?)ことのある敵を題材にし,その恐怖やリアルさを余すところなく演出してのけたという印象です.面白い!

一つ一つ伏線のピースや冒険のTipsも面白いのですが,やっぱり明るいところと重厚な暗いところのギャップが心躍らせますね.

また登場人物の言葉の端々から感じられる世界観と魅力が心地よかったです.

ジーンとするシーンもあり,またいい感じに終わっているようで,最後まで見届けたいとも思いました.

今日もどこかで町娘が攫われてる,そこに現れる使い古した鎧の影……ゴブリンスレイヤーは今日もどこかで小鬼を震えさせていそうです.


感想 『オレと彼女の萌えよペン(増刊号)』 出会い、高めあい


出会い,高めあい.

あらすじ・内容

あの燃えて萌える日々を短編集で! 「オタリア」コラボも収録!

最高の漫画を描くためにネタを探す、俺と茉莉の日々はいつも騒々しい。でも、みなせたちを水着モデルにしてデッサンしたり、学園祭でカップルコンテストに出たり……「萌え」を学ぶために、ここまでやる!?

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後日談は蛇足だと誰もが言いますが甘々で幸せなこの雰囲気,嫌いじゃない.

多くは語りません.
二人の最高のハッピーエンドに祝福を.


感想 『本好きの下剋上(第1部 〔1〕)』 ビブリアマニア恐るべし


ビブリアマニア恐るべし

あらすじ・内容

本好きのための、本好きに捧ぐ、ビブリア・ファンタジー! 「小説家になろう」で大人気長編がついに書籍化!書き下ろし短編を2本収録!【あらすじ】幼い頃から本が大好きな、ある女子大生が事故に巻き込まれ、見知 らぬ世界で生まれ変わった。貧しい兵士の家に、病気がちな5歳の女の子、マインとして……。おまけに、その世界では人々の識字率も低く、書物はほとんど存 在しない。いくら読みたくても高価で手に入らない。マインは決意する。ないなら、作ってしまえばいいじゃない!目指すは図書館司書。本に囲まれて生きるた め、本を作ることから始めよう!

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ただひたすらに本を作ることを目的として突き進む主人公……もはや恐怖.

ただ作品としてカタルシスも薄ければ,登場人物たちもそれほど等身大に感じませんでした.
そこはまだ一巻なのでおいおい高められていくところなのでしょう.

あと椎名先生のイラストは本当に素晴らしい.

ロリヒロインが始終暴走するさまをありありと見せつけられてスタートしましたが,今後は陰謀渦巻いたりファンタジーの裾野が広がっていくのでしょうか.それが楽しみですね.


感想 『なれる!SE 14』 開始20ページでわかる仕事の闇


開始20ページでわかる仕事の闇

あらすじ・内容

工兵のライバル達がまさかの共同戦線!? アルマダ次郎丸とJT&W梅林が、ビジネスチャンスを掘り起こす!

大型案件から外され、まるで雑用のような他社会議の議事録取 りを任されたJT&Wの梅林。こんな仕事さっさと片付けて、と思っていたところ、遅れて会議に現れたのは、かつて競合案件で苦杯を嘗めさせられ た、新興ベンチャー・アルマダの新卒社員、次郎丸縁だった。 「ビジネスの匂いがするんです」 つまらない仕事だと決めつけていた梅林に次郎丸は共闘を持 ちかける。 会議に漂う些細な違和感からビジネスチャンスをうかがう次郎丸の言葉に、梅林の眠っていた反骨精神が燃え上がる! そのほか、ガテン系女子の 薬院加奈子、初めての合コンに向けて女子力を磨くの巻、最近お太り気味の工兵に立華がダイエット指南の巻、強引な営業力は抜群だが、普段現場を顧みない社 長・六本松が現場で大暴れの巻とバリエーション豊かな全4編を収録! 萌えるSE残酷物語第14弾、3度目の短編集でお贈りします!

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相変わらずに最高に血湧き肉踊る展開と最低に共感できてしまう雰囲気が同居する社会人のバイブルのような作品.

今回は短編集ですがどのエピソードも盛り上がるところとそれ以外のメリハリがしっかりしていて読んでいてページめくりが止まりませんでした.

いつものメインの二人のエピソードだけでなく,今まで出てきたキャラクター達の息づかいがしっかり感じられましたし,またそれだけでスピンオフがかけるほど熱い!と感心してしまいました.

メインストーリーの続きも気になるところですが,またいつか脇キャラに焦点を当てて欲しいですね.特に五郎丸さん!


感想 『戦艦学園のグラムリッター』 空戦・教官・美少女のてんこ盛り


空戦・教官・美少女のてんこ盛り

あらすじ・内容

全てを失った最強のグラムリッターは少女を育成し再び戦場に――

空飛ぶ戦艦ヒリュウ。それは人類に仇なす〈竜〉と戦うグラムリッターの育成機関。「愚劣な敗者」の汚名を着せられ、退役した元グラムリッターの蒼真は、戦艦で学ぶ少女たちの指導官に着任することになり――!?

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教官モノとしては過去最強だった主人公が戦えなくなり,少女たちの可能性に触れて……といったオーソドックスなスタイル.

ただテンプレートは抑えつつも,キャラクターたちが抱えていることがしっかり言動に現れていて,またアクションシーンとその他のシーンのバランスが良い感じです.

またメカメカしいバトルスーツと完全機械のドラゴンの敵と男の子のロマンが詰まった設定も清々しいですね.

空は墓場でもあり,何かが生まれ受け継がれる場所でもあります.

主人公が何を生み,何を教えて繋いでいくのかに注目ですね.


感想 『精霊幻想記 3』 異世界の息づかいが聞こえる


異世界の息づかいが聞こえます

あらすじ・内容

精霊の里の民たちとの充実した生活に別れを告げ、遂に当初の 目的であった両親の故郷ヤグモに辿りついたリオ。ほどなく彼は小さな村カラスキで、父方の祖母であるユバと従姉のルリと邂逅を果たす。その後、時が来るま では明かせないという両親の過去を知るため、リオはしばらく村に逗留し、ついでにお世話になる村の生活水準向上を図ることに!

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舞台は変わって和風の里.

両親の秘密や世界の謎が少しずつ明らかになり,より一層深みがました感じがします.

特にキャラクター同士のバランスとそこで確かに生活しているという息づかいが感じられるところが素晴らしいですね.

次々に起こるイベントでそれぞれのキャラクターにそれぞれの見せ場が用意されていてハラハラドキドキしました.

ラストでとんでもない伏線をばら撒いてかなり強烈なヒキも作られているので次が楽しみです.


感想 『MONUMENT』 ハードボイルドなネオファンタジー


ハードボイルドなネオファンタジー

あらすじ・内容

僕は、僕自身の怪物だ。他ならぬ僕が、そう望んだからこそ。  人類が火を熾(おこ)すよりも先に、発火の魔術に目覚めた世界。 旧ソ連出身の孤独な少年工作員ボリス・カルノフは、とある少女の護衛依頼を受ける。少 女の名前は千種(ちぐさ)トウコ。一億人に一人といわれている『賢者』の魔力資質を持った魔術師らしい。ボリスの任務は彼女が『ピラミス魔法学院』を卒業 するまで、あらゆる危険から護(まも)り抜く事だという。 どうにも不透明な依頼を怪しむボリスだが、訪れたピラミス島の地下に眠る超古代魔法文明の遺跡 『モニュメント』をめぐる戦いに巻き込まれて、自分自身と世界に秘められた真実に邂逅(かいこう)する!! 絶望からはじまり、未来に挑むネオ・ファンタ ジー、開幕!!

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新ジャンルと感じるほど節々キマってる濃厚な作品.

最高にひねくれているけどどこか憎めない極まっている主人公に真面目でシリアスだったりほんわかどったりする脇キャラ達が見事に調和して独特な空気を演出しています.

ファンタジーなようでSF.
そうそう大ジャンルを掴ませない怪しい魅力もありますね.

適度にヒントが散りばめられた作品の大きな謎も良かったですし,余韻も結構好みです.

なかなか続きが書きにくい終わり方ですが,愛すべきキャラクターたちにまたどこかで会いたいですね.


感想 『されど僕らの幕は上がる。 Scene.2』


キラキラが見つかる青春活劇

あらすじ・内容

『台本』の謎が明かされるとき、すれ違った彼らの行く末は――?

リアリティ番組に隠された過去の事件を探るうちに、涼太は自らの不自然な記憶に気づく。事件の鍵が見え始めた矢先、ひなたが突然「卒業する」と言いだして――!? 「本当の自分」を探す少年少女のビターな青春譚。

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活劇型青春ドキュメンタリー,ここで閉幕.

読めば読むほど明かされる謎とそれに伴って揺れ動く少年少女達の生き生きとした様が印象的でした.

時には鬱々としながら,時には無理をしながら,それでも前を向いて明日をつかもうとする彼らにグイグイ引き寄せられました.

どこかひねくれながらも,なぜか身近にいそうなキャラクターの作る空気が独特で良い物を読みました.

物語の謎は読んでいくうちに予想出来るのですが,それでもなお色褪せない青春の輝きが確かに描かれていました.

今日もどこかで彼らは悩みながらもがいて明日を生きている,そんな後味の残る作品です.