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感想 『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』 大人たちへのアンチテーゼ


大人たちへのアンチテーゼ

自分は欲というものを,いつしか大人になってコントロールするようになったなぁとしみじみと感じることになった作品でした.

家出した女子高生を拾って家に泊めて同居するというファンタジーの中に垣間見る確かなキャラクターたちの矜持を楽しめる作品です.

どんな背景かを詳細に説明することなく彼ら彼女らの一本気で進む物語にハラハラ・ドキドキほっこりしながらその本気の想いに胸キュンでした.

まだまだ語られていないことが多い作品なので続きに期待しつつ自分を重ねて考えると,主人公の理性モンスターっぷりに惚れますね.


感想 『ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?〜好きになったJKは27でした〜』


大きいことはいいことです

ひと回り近く年の差カップルのラブコメ攻撃.

いま高校生の読者も,アラサーの読者も巻き込んでいきたいという作者の貪欲な姿勢が見えました.

ヒロインと主人公の尽きず離れずという距離感が絶妙でそこがいちゃいちゃへの説得力だったり臨場感だったりのベースになっています.

ヒロインは文句なしに可愛いのですがいざ三十超えてもこのテンションなのかなと想像したら負けな薄氷の上のヒロインでもあるので今後はそこのバランス感覚が大事になってくる気がしますね.

恋愛は波乱がスパイスだと思うので,今後どのような展開になっていくのか,性癖的な意味でも注視して行きたいと思います.


感想 『29とJK 4 ~夢のあとさき~』 人の夢とは儚いモノ


人の夢とは儚いモノ.

幼馴染同士で繰り広げられる無慈悲な社会人政治の戦いと番外で進行する人と人と人の夢の話.

前編通してジーンとする雰囲気に包まれていて切なさが炸裂です.

学生読者が置いてけぼりになってないか心配になるくらい社会人の辛さや前を向く強さが賛美されていて力強いエールを貰ったような気がします.

若いキャラクターたちもそれぞれがそれぞれ輝く場所を持っていてしっかり純粋に足掻いているのも対比があっていいですね.

まさかの続くからの今巻も続くだったのでじれったいです.

親友と,恋と夢の後先がどうなるのか早く見届けたいですね.


感想  『29とJK3 ~社畜のいやしはJK~』 宿命は終わらず 社畜に休息なし


宿命は終わらず 社畜に休息なし


前巻から打って変わって箸休めのような助走のような巻と思いきや100メートルを全速力で走るようなスピードで助走してますこれ.

ヒロインたちと主人公の関係が変化する中で変わらないことと貫くことの大切さをどこかで伝えてくれるような印象を受けました.

大人になって社会人になってようやくわかる社会の仕組みと理不尽と子供の時の夢だったり純粋な気持ちが若さあふれるキャラクターと大人,現在と過去の対比で見事に描かれています.

ヒロインたちの成長も見どころなのですがそれに引っ張られる形で主人公も少しずつ何かと向き合えるひたむきさを出していくのがほっこりします.

エピソード的には助走なのですがとんでもない展開になってきました.

恋と夢,理想と現実.

宿命の“対決”がどのような結末を迎えるのかをしっかり追いかけたいと思います.


感想 『なれる!SE16 2年目でわかる?SE入門』 現実は非情 だからこそあがく価値がある


現実は非情 だからこそあがく価値がある


職業モノの一番濃い部分を更に濃縮してぶつけてきた実質の最終巻ですかね.

初っ端から学生読者を置き去りにする展開と描写に圧倒されます.

次々に主人公たちに訪れる新たなハードルを知力と人脈,時には社内政治や相手のメンツすら利用してなりふり構わず進んでいく彼らの生き様がひたすら先輩社会人としてカッコイイです.

それぞれのキャラクターたちもここぞとばかりに見せ場があり最終巻に相応しい立ち回りだったのではないでしょうか.

恋愛面での進展が全くないので後日談エピソードなどをリアルに所望したいです.

この作品はいわば社会人への讃歌なのですが安直なそれだけでなくリアルな負の側面やあまり良くない人間関係なども描くところで,苦しいところからそれでもあがいていく現代人へのエールでもあった気がします.

このような傑作が終わることを寂しがりつつまた彼らと何処かで出会える気もします.


感想 『なれる!SE 15 疾風怒濤?社内競合』 人生の選択は苦い


人生の選択は苦い

あらすじ・内容

今度のミッションは立華&藤崎が相手の社内競合案件!? 萌えるSE残酷物語、波乱の展開!

目指せ!上場企業!? なんとスルガシステムが株式公開の準備に入るという。その体制づくりのため総務部への誘いを受けた工兵は、いずれは役員として経営陣に……という途方もない話を前に、自らのキャリアについて思い悩む。とはいえSEの仕事も待ったなし。アサインされたのは、総合商社二社のシステム統合という大きな案件。しかも提案作業のパートナーはかつてのライバル、アルマダ・イニシアティブの次郎丸で!? さらに、その案件は別ルートから立華&藤崎コンビも受注を狙う、社内競合案件だった! 果たして工兵は、最強の敵に勝てるのか!? 昨日の敵は今日の友、昨日の友は今日の敵!? 萌えるSE残酷物語、風雲急を告げる第15弾!

主人公が自分の行き先を葛藤し苦悩する一連の流れを描く今巻.

重い選択ほど両皿に載っているものは双方同じく重いんですよね.

職業ものの物語は時々ドキッとするような展開になって主人公と一緒に苦悩する気分を味わうことができるのが渋いです.

今回主人公は専門職に突き進むのかそれとも管理職への道に行くのかの選択を迫られていますが出てくる一つ一つのイベントがその尊い悩みをとてつもなく盛り上げている構成でした.

仕事がそれなりにできるようになって,周りが見え始めてそのギャップに驚いたり燃え上がったり……若いっていいなぁとしみじみ楽しめるところもポイントです.

専門用語のオンパレードもここまで付き合った読者にとってはファンタジーの呪文の応酬みたいなものでしょう.むしろ心地よいです.

巨大案件がまだまだ前哨戦みたいですし,いよいよ選択のときが近づいてきました.

悩みの先には何が待っているのか,一緒になって見届けたいと思います.


感想 『29とJK 〜業務命令で女子高生と付き合うハメになった〜』 純度の高い社畜の魂の叫び


純度の高い社畜の魂の叫び

あらすじ・内容

29歳とJK、“禁断の”年の差ラブコメ、はじまる!

目つきは怖いが会社では一目置かれている29歳社畜・槍羽鋭二。
ゲームや漫画が好きで、休日のネカフェを癒やしに日々を生き抜いている。

ある日、槍羽は《あること》で説教した女子高生・南里花恋からコクられてしまう。
14も年下とは付き合えないとキッパリ振るが、後日社長から呼び出され――「業務命令。孫の花恋との交際を命ずる」。

なんなんだこの会社!? 絶対に辞めてやる!(入社以来17回目)
だが始まってしまうJKとの交際。妹が、元カノが、会社の部下が、世間の目が槍羽の前に立ちはだかる!

29歳とJK、“禁断の”年の差ラブコメ、はじまる!

タイトルとは裏腹にきっちりと真っ直ぐな社会人ラノベとして物語が仕上がっている印象です.

主人公が私の同世代……というより完全に同い年なだけあって半端ないシンパシーを感じました.

それだけでなく次々と巻起こる困難にぶつかり,諦めずにひたむきに向き合っていく主人公は,読み手として揺さぶられました.意地と意志が本当にすごい.

私個人としては何度も涙腺に来たり喉元が熱くなりました.素晴らしいものを読ませていただきましたね.

キャラクターもいい.
主人公の魅力もさることながらヒロイン(達)のいきいきとした表情と何よりその信念がいい.

作品として大人の汚い部分と若さの純粋な部分が理想や夢といったテーマで綺麗に対比されていてとても高いクオリティーを感じました.

経験や年齢で雁字搦めになった大人たちにエールをおくるような,送られたような.そんな力強い作品でした.

懐かしい思い出やネタもクリーンヒットしましたし(同年代どころか同い年だから当たり前かもしれませんが……)久々にこんなにカッチリ琴線に触れた作品に出会いましたね.

願わくばすべてのサラリーマン,夢を諦めもがいている人や,掴もうともがいている人に届いてほしい.そんな素晴らしい作品でした.


感想 『なれる!SE 14』 開始20ページでわかる仕事の闇


開始20ページでわかる仕事の闇

あらすじ・内容

工兵のライバル達がまさかの共同戦線!? アルマダ次郎丸とJT&W梅林が、ビジネスチャンスを掘り起こす!

大型案件から外され、まるで雑用のような他社会議の議事録取 りを任されたJT&Wの梅林。こんな仕事さっさと片付けて、と思っていたところ、遅れて会議に現れたのは、かつて競合案件で苦杯を嘗めさせられ た、新興ベンチャー・アルマダの新卒社員、次郎丸縁だった。 「ビジネスの匂いがするんです」 つまらない仕事だと決めつけていた梅林に次郎丸は共闘を持 ちかける。 会議に漂う些細な違和感からビジネスチャンスをうかがう次郎丸の言葉に、梅林の眠っていた反骨精神が燃え上がる! そのほか、ガテン系女子の 薬院加奈子、初めての合コンに向けて女子力を磨くの巻、最近お太り気味の工兵に立華がダイエット指南の巻、強引な営業力は抜群だが、普段現場を顧みない社 長・六本松が現場で大暴れの巻とバリエーション豊かな全4編を収録! 萌えるSE残酷物語第14弾、3度目の短編集でお贈りします!

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相変わらずに最高に血湧き肉踊る展開と最低に共感できてしまう雰囲気が同居する社会人のバイブルのような作品.

今回は短編集ですがどのエピソードも盛り上がるところとそれ以外のメリハリがしっかりしていて読んでいてページめくりが止まりませんでした.

いつものメインの二人のエピソードだけでなく,今まで出てきたキャラクター達の息づかいがしっかり感じられましたし,またそれだけでスピンオフがかけるほど熱い!と感心してしまいました.

メインストーリーの続きも気になるところですが,またいつか脇キャラに焦点を当てて欲しいですね.特に五郎丸さん!


感想 『なれる!SE 13』 適材適所の難しさに直面した時


主人公の社会人スキルの成長が止まらない!

内容紹介

工兵が新入社員の教育担当に!?
ゆとり&意識高い系を戦力化せよ!

工兵の社会人二年目がスタート! そしてまさかの大盤振る舞い、大量十人の新卒社員を迎えたスルガシステム。例によって新人の教育担当となったのは……工兵でした!
「学生ベンチャーやインカレサークルで部長を務めてたんで~」と意識高い系新人に、「ホットヨガの予約があるので帰ります~」と仕事も途中で定時退社など、ゆとり爆発の新人たちに社内は大混乱!
はたして工兵は無事に新人たちを戦力化できるのか!?

 

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ヒロインがようやく完全に裏方に回ってまたまた社会人の苦悩が本格的に描かれていますね.
新人教育は避けては通れないもの.
新人じゃなくても部下の面倒を見たりは頻繁に起きるイベントなのでシンパシーがすごかったです.

適材適所の難しさに直面した時,どんな考えを持てばいいのか?という命題のリアリティある側面がどんどん出てきて社会人の読者は自分の立場に胸を当てて読めたのではないでしょうか.
特に今回の見栄はったシーンは相変わらずジーンときました.
素晴らしかったです.

どんどん物語が進んで主人公がすごく成長していくんだけど,社会人職業ラノベの先陣として行く末をしっかり見守りたいです.