「ライトノベル」カテゴリーアーカイブ

BOOK☆WALKER主催の「新作ラノベ総選挙」を応援するエントリ。


ラノベ万歳。
この度は『BOOK☆WALKER』主催の「新作ラノベ総選挙」に関するエントリーを投稿させていただきます。

うちのブログに来るようなラノベ好きの皆様は割りと知っている人も多いかと思いますが、まずはエントリータイトルにもある、「新作ラノベ総選挙」とはなんぞや?という説明をします。

「新作ラノベ総選挙」とは

カドカワさんの電子書籍プラットフォームである『BOOK☆WALKER』で主催されているライトノベルの投票企画です。

2016年4月1日〜2017年3月31日の間に、紙書籍・電子書籍で
新シリーズ1巻目が発売されたライトノベル作品の中から、
選挙運営委員会で売上情報などを元に200作品をノミネートしております。

・ジャンル不問。ただしオリジナル作品(2次創作、成年指定作品は対象外)
・すでに書籍化されている場合、シリーズ既刊が5巻以内の作品

投票用URLはこちら(※投票は2017年6月11日まで受付)
https://bookwalker.jp/lvote2017/

この企画、個人的に無視できない特徴として、投票票数にある程度重み付けがなされている点があると思います。

というのも、「フリー投票」と「BOOK☆WALKERログイン投票」の2つがあり、フリー投票では1人が1票。ログイン投票の方はライトノベルの新刊購入冊数の条件によって票数が変動して、最大1人20票の投票が可能な点です。

これによってライトノベルの新刊をたくさん買っている人のほうがたくさんの種類のライトノベルに投票することが出来、それによってある程度結果にバリエーションが出る効果がありそうです。

購入冊数もといライトノベルにどれだけお金を落としているかというリアルな指標で重み付けしているのは、いろいろな投票企画があるライトノベルの世界でも初めての試みではないでしょうか。
面白いリアルな結果が現れることを期待しています。

さて本題ですが、私は今回ログイン投票にて10票の権利を頂いたのでそこで投票した10作品をランキング形式で紹介したいと思います。

 


10位 『異世界詐欺師のなんちゃって経営術』

異世界詐欺師のなんちゃって経営術

(※画像クリックでBOOK☆WALKERのページに飛びます)

あらすじ・内容

『このすば』の暁なつめ推薦! この異世界転生&口先経営コメディに注目を!

「パイオツ、カイデー!」

日本にその名を轟かせた大詐欺師のヤシロ。悪運尽きた彼が16歳の少年として転生したのは『嘘が吐けない巨大都市』だった。嘘を嫌う『精霊神』により嘘吐きは【カエル】にされてしまう世界だという。

偽造通貨所持を疑われ、衛兵に追われて粗末な店に飛び込んだヤシロは、息をのむような巨乳の美少女ジネットになぜか歓待されて――!?

『このすば』の暁なつめ推薦! 『小説家になろう』&『カクヨム』発、口八丁な経営コメディ開幕!

詐欺師という背景を持った主人公が異世界にいくこの作品。

重々しい過去を持った主人公ですが、異世界ではほわほわあまちゃんなヒロインと出会ってそのあまりの世間知らずで騙されやすい性格をほっとけなくなってしまう、そんなほっこりさがちょうど良いバランスで成り立っている作品です。

この作品はキモになっている2つの設定を軸に頭脳バトルが繰り返されるのが特徴でもあり、醍醐味です。

一つは”会話記録-カンバセーション・レコード-”。過去含めて自分や他人が口に出したセリフが文章として閲覧が可能な仕組み。

二つ目が”精霊の審判”。誰でも任意に相手に判定をかけることができ、もし嘘をついていた場合は女神の力が働いてカエルになってしまう。

例えば『会話記録』は嘘をついた証拠になり、嘘を言わせることによって『精霊の審判』をいつでもかけれる状態、つまり生殺与奪権利を手に入れることも可能です。おそろしや。

主人公はこの世界の二つのルールの隙を突いて持ち前の詐欺テクニックや論理的思考でいろいろな困難や難敵を倒していくんですが、その裏にも経営やヒロイン達とのイチャコラなどの見どころがあると言った作品になります。

詐欺の過去をもった主人公とひだまりの笑顔とふんわりボディをもつヒロインが行き着く先をぜひ見届けてください。

このサイトでの記事:
感想 『異世界詐欺師のなんちゃって経営術』 嘘のつけない世界で詐欺

 

 

9位 『<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム- 1.可能性の始まり』

<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラムー 1.可能性の始まり

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あらすじ・内容

各プレイヤーの行動や性格、プレイスタイルによって独自に能力が進化するシステム<エンブリオ>。人と間違うような、確かにその世界に息づくNPCたち<ティアン>。そんな夢のようなシステムを備えたダイブ型VRMMO<Infinite Dendrogram>は、瞬く間に一大ムーブメントとなって世界を席巻し、数多くのユーザーがこのゲームを楽しんでいた。大学受験を終えて東京で一人暮らしを始めた青年・椋鳥玲二もまた、受験勉強の終了を記念して、かねてより兄に誘われていた<Infinite Dendrogram>を起動する――。

美麗でいて背景にかなり力を入れた表紙が鮮烈な印象のこの作品。中身もかなりコテコテで深みがあります。

没入型のMMORPGモノはソードアート・オンラインが切り開いた市場でもありますが、この作品の特徴は何と言っても主人公の武器が意思を持っている点。かわいい。

全員がこのゲーム世界では主人公!と言わんばかりにオリジナルの武器(場合によっては防具になったり別の何かになったりしている)を持ち、そのバリエーションにも驚かされますし、なによりも一緒になって成長する要素があるのでそれが得も知れぬ等身大感を作り出しています。

NPCも人間よりも人間ぽくなっているし、出会うキャラクターたちも皆個性的で何よりも世界にワクワク感が満ち溢れているので読んでいて次の展開はどうなるんだろうと一緒になって冒険、成長していける作品です。

レベル・スキル・アイテムボックスなどの設定が苦手な方も取っ付き易い仕様になっているのでそういう方でもぜひ読んでみていただきたいと思います。

このサイトでの記事:
感想 『<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラムー 1.可能性の始まり』
感想 『<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラムー2.不死の獣たち』
感想 『<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラムー 3.超級激突』

 

 

8位 『テンプレ展開のせいで、おれのラブコメが鬼畜難易度』

テンプレ展開のせいで、おれのラブコメが鬼畜難易度

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あらすじ・内容

この恋は、テンプレすぎて新次元。

結野奏汰は幼なじみに恋する普通の少年。ところが突然降臨した『テンプレの神様』の加護により、お約束ラブコメ展開で想い人と急接近……できなくて!? さらに自称許嫁が押しかける、望まぬラブコメの幕が開く!

テンプレなラブコメへの哲学も感じるこの作品をチョイス。

タイトルにもあるように、様々な”お約束”でもあるテンプレ展開を次々に出すことによって他の作品では味わえないような爽快な気分にさせてくれます。

キャラクターたちも明るくある種メタフィクションな雰囲気にもなってしまいがちなテーマなのにそれを全く感じさせません。

テンプレをテンプレだと理解したまま直視することでより深くテンプレについて考えさせられましたし、過去テンプレをテンプレだと感じなかった自分の姿も再び蘇ってくることでしょう。

どのキャラクターも一生懸命にすごし、それが一層テンプレの魅力を引き出しているこの作品は間違いなくおすすめの一作です。

このサイトでの記事:
感想 『テンプレ展開のせいで、おれのラブコメが鬼畜難易度』

 

 

7位 『ヴァンパイア/ロード ~君臨するは、終焉の賢王~』

ヴァンパイア/ロード

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あらすじ・内容

「貴方を救出に参上いたしました、我らが王<ロード>」特殊な血液型を持つ男子高校生・神鎚黎<みづちれい>は、早くに両親を事故で亡くしたものの、引き取られた先の養父母や義理の妹にも恵まれ、充実した生活を送っていた。しかし謎の襲撃者に命を狙われたことで、その穏やかな日常は一変する。激しい戦闘の最中、混乱する黎の前に現れた美しき吸血鬼<ヴァンパイア>の少女・リーリヤ。彼女は黎へと膝を折り、絶対の忠誠を誓ってみせた。この瞬間から、黎は吸血鬼<ヴァンパイア>たちの争いの中心――王<ロード>として敵対勢力の殲滅を決意する!!

正統派吸血鬼バトルライトノベルまさに君臨という感じで迷わずチョイスです。

まず序盤から凄惨なシーンがわんさか出てきて敵と味方を見事に区分し、さらに吸血鬼同士の派閥争いを軸に力だけでなく頭脳での駆け引きも面白いです。

そして何と言ってもこの作品の魅力はこの主人公にあります。
どんな状況でも冷静にして沈着。器も大きくどんな状況もこいつなら切り抜けてくれるという安心感すら感じます。まさに唯一無二の個性。

バトルも独特なテンポがあり完成度が高いと感じています。
正統派でまっすぐライトノベルではよく見る題材の吸血鬼バトルものを料理しているので誰もが読みやすい作りになっているのではないでしょうか。おすすめです。

このサイトでの記事:
感想 『ヴァンパイア/ロード』 絶えず冷静 まさに沈着

 

 

6位 『我が驍勇にふるえよ天地 ~アレクシス帝国興隆記~』
我が驍勇にふるえよ天地

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あらすじ・内容

「さあ、あなた様の帝国を創りましょう」

天下無双――アレクシス大帝、レオナート一世の驍勇は真実そう評される。
しかし、後に大陸統一を果たす彼も、若き日には“吸血皇子”の汚名を着せられ、故郷を奪われた、武骨で不器用な青年でしかなかった。
これは、大反撃の物語である。
再起を誓ったレオナートはまさに一騎当千!
そして一本気な彼に惹かれて集うは、神とも魔物とも例えられる数多の名将、賢者、才媛、奇才。
やがて彼らは腐敗した祖国を呑みこむ一大勢力となり、群雄する大国全てと渡り合っていく!
痛快にして本格――多士済々の英雄女傑、武勇と軍略が熱く胸を焦がすファンタジー戦記、堂々開幕!!

英雄の蛮勇を刮目して見よ!と言わんばかりの超スペクタクルでお送りする戦記物ド直球作品。

主人公の武勇も去ることながら出るわ出るわの一騎当千の英雄たち。

知略あり戦略あり暴虐ありのとにかく壮絶な展開の数々で休む暇もありません。

しかし作品の中で一貫したリアルさとファンタジーさの同居。

動物と話せるとか数キロ先を射抜くとか割りとトンデモな能力も出てきますが全く気にしないほど地に足付いた描写力です。

どんな苦境も跳ね返す主人公たちの武力と知恵、そしてなおも繰り返し繰り返し立ちはだかる強敵たちとの真剣なバトル。
手に汗握ること間違いなしです。

このサイトでの記事:
感想 『我が驍勇にふるえよ天地』 武勇と采配とぶつかり合い
感想 『我が驍勇にふるえよ天地2 〜アレクシス帝国興隆記〜』 局地戦も大決戦も映える
感想 『我が驍勇にふるえよ天地 3 〜アレクシス帝国興隆記〜』

 

 

5位 『ストライクフォール』

ストライクフォール

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あらすじ・内容

SF 界の俊英、ガガガ文庫に電撃参戦!近未来、人類は宇宙に進出し、惨禍のはてに戦争をやめた。……いや、正確には、形を変えた。代理戦争として発展した宇宙 競技、ストライクフォール。広大な宇宙をフィールドに、敵のリーダーを屠るべく戦うチーム闘技に人々は熱狂した。万能の泥、チル・ウエポンによって作られ たストライクシェルに身をつつみ、プレイヤーたちは宙を駆ける。故郷のため、栄誉のため、家族のため、あるいは己が夢のために……。鷹森雄星も、ストライ クフォールに魅せられたひとりだ。弟は、トップリーグでのプロデビューが決まった若き天才、鷹森英俊。幼なじみの環のやさしさに見守られながらも、雄星は 宇宙を目指すが――。「知ってるか、兄貴。宇宙では、あらゆるものが落ちている最中なんだ。――落ち続けるなら、オレはほしいものを手に入れる」なら、翔 ぶ。翔んで、宇宙に手を伸ばす。これは、宇宙を「掴む」兄弟の物語。SF界の俊英が放つ新たなライトSFエンタテイメント!

あの円環少女から5年……ついに長谷敏司先生がライトノベルレーベルに帰ってきた衝撃の一作です。

今作はスペースオペラ × スポ根 × ロボットというトンデモ掛け算の合せ技というシロモノで、その中でも人々の宇宙に対する憧れや確執、情熱と憐憫をしっかり描ききるという最高にルツボな様相を呈しています。

宇宙を駆ける二人の兄弟とそれを見つめる幼馴染。
しかし思わぬ展開が主人公を大きな宇宙のうねりが飲み込んでいく……というガ○ダムもびっくりな超王道なのに、そこでひねってくるか!というキャラクターたちと壮大なSF設定に裏付けされた芯のある舞台。

テーマとなっている「ストライクフォール」というスポーツですらあまりにリアルに練られたルール、背景と選手たちがそこに刻む熱きソウルともいえるオーラが鮮烈な印象を残していきます。

そして終盤の衝撃的な展開。ページをめくる手が止まりません。

このサイトでの記事:
感想 『ストライクフォール』 兄弟の夢の軌道速度は
感想 『ストライクフォール 2』 競争の意味を問う

 

 

4位 『86―エイティシックス―』

86―エイティシックス―

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あらすじ・内容

第23回電撃小説大賞《大賞》受賞作、堂々発進! 最終選考委員と、編集部一同をうならせたエンターテイメントノベルの真・決定版!

サンマグノリア共和国。そこは日々、隣国である「帝国」の無人兵器《レギオン》による侵略を受けていた。しかしその攻撃に対して、共和国側も同型兵器の開発に成功し、辛うじて犠牲を出すことなく、その脅威を退けていたのだった。 そう――表向きは。 本当は誰も死んでいないわけではなかった。共和国全85区画の外。《存在しない“第86区”》。そこでは「エイティシックス」の烙印を押された少年少女たちが日夜《有人の無人機として》戦い続けていた――。死地へ向かう若者たちを率いる少年・シンと、遥か後方から、特殊通信で彼らの指揮を執る“指揮管制官(ハンドラー)”となった少女・レーナ。二人の激しくも悲しい戦いと、別れの物語が始まる――!

第23回電撃小説大賞 大賞受賞作。

人権と闘争。飽くなき戦いの果てに少年少女たちがたどり着いた場所とは……。
と思わずモノローグをいれたくなるほど。この1巻で完全に完成されている作品です。絶対に最後まで読んでほしいですね。

安全地帯にいて指示を出すヒロインと、とんでもない生存率を叩き出す主人公達の少年少女で構成された部隊。
この二つの立場の対比から、世界の在り方や、背景設定のいびつさが見事に浮き彫りにされてウンウンとうなりながら読み進めることが出来ました。

敵である無人機の不気味さとは裏腹に少年少女たちのみずみずしい若さと明るさが、その根底に広がる人権差別や堕落した人間の醜さが照らし出されています。

それでいて無人機VS人間扱いされない部隊の真剣なバトルと知略合戦というオーソドックスなエンタテインメントの文脈も外していないのがニクいところです。

信条が行き着いた先の強さ、自由が落ちていった先の脆さといった対比構造が最後まで続いて、見事な着地を収めたところでこの作品がしっかり終わったことをふと意識するようなそんなスッキリした読後感もポイント高いですね。

このサイトでの記事:
感想 『86―エイティシックス―』 自由の果ての自由

 

 

3位 『弱キャラ友崎くん Lv.1』
弱キャラ友崎くんLv1

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あらすじ・内容

こ れが人生(クソゲー)攻略の最前線!人生はクソゲー。このありふれたフレーズは、残念ながら真実だ。だって、人生には美しくシンプルなルールがない。ある のは理不尽と不平等だけ。自由度が高いなんてのは強者の言い分で、弱者には圧倒的に不利な仕様でしかない。だから、クソゲー。あまたのゲームに触れ、それ らを極めてきた日本屈指のゲーマーである俺が言うんだから間違いない。――だけどそいつは、俺と同じくらいゲームを極めてなお、「人生は神ゲー」と言い きった。生まれついての強キャラ、学園のパーフェクトヒロインこと日南葵。しかも、「この人生(ゲーム)のルールを教えてあげる」だって? ……普通は、 そんなの信じない。だけど日南葵は、普通なんて枠にはまったく嵌まらないやつだったんだ! 第10回小学館ライトノベル大賞優秀賞受賞作。弱キャラが挑む 人生攻略論ただし美少女指南つき!

バイブルです。
バイブルです。(大事なことなので二回言いました)

現在中高生の思春期真っ只中なのにも関わらず、クラスで浮いてしまってつるむ友達も少ない。けれどもモンモンと過ごす生活の中でも輝かしい青春時代のかけらをつかみたい……
そんな数あるライトノベル読者層の中でもコッテコテの横浜家系ラーメンのような人たちにこそ家宝にしてほしいそんな作品です。

まずキャラクターが良い。
究極的に等身大でリアリティの表現が素晴らしい。
こんなヤツいるいる!っていう感じではなくてこんなヤツいたかも!っていうギリギリの感触をさわさわって撫でられているようなそんな印象です。

次々に作品内で出てくるリア充スキルの説得力の高さ。
一体どれだけ地獄をくぐれば描けるのかと思わず唸ってしまう数々のノウハウがびしっと出てきます。もはや教科書。

現実で使えるかどうかは微妙なものも多いかもしれないですが、ここで言いたいのは”説得力の高さ”であり”現実の実用性”ではないんです。
なんとなく納得してしまうそんな魅力があります。

そしてストーリー。
不器用なのに背伸びして躓いて、でも助けを求めて裏切られて……リアルとファンタジーのギリギリの思春期特有の駆け引きが時にすっきりと、時にじっとりとぶつかって来てドギマギします。

とにかくこの作品を中高生時代に読める人たちが心の底から羨ましいです。

これが自分が大人になったからこそ分かる魅力なのか、今青春時代真っ只中の人たちも共感できるのか。

二律背反で証明ができない命題のようです。そんな不思議な魅力がこの作品にはありますね。

このサイトでの記事:
感想 『弱キャラ友崎くん(Lv.1)』 人生ハードモード、だから攻略しがいがある感想 『弱キャラ友崎くん Lv.2』 努力の化物は退治できない感想 『弱キャラ友崎くん Lv.3』 カラフルに映る風景

 

 

2位 『29とJK ~業務命令で女子高生と付き合うハメになった~』

29とJK 〜業務命令で女子高生と付き合うハメになった〜

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あらすじ・内容

29歳とJK、“禁断の”年の差ラブコメ、はじまる!

目つきは怖いが会社では一目置かれている29歳社畜・槍羽鋭二。
ゲームや漫画が好きで、休日のネカフェを癒やしに日々を生き抜いている。

ある日、槍羽は《あること》で説教した女子高生・南里花恋からコクられてしまう。
14も年下とは付き合えないとキッパリ振るが、後日社長から呼び出され――「業務命令。孫の花恋との交際を命ずる」。

なんなんだこの会社!? 絶対に辞めてやる!(入社以来17回目)
だが始まってしまうJKとの交際。妹が、元カノが、会社の部下が、世間の目が槍羽の前に立ちはだかる!

29歳とJK、“禁断の”年の差ラブコメ、はじまる!

なんだよこれ。こんなの泣けるにきまっているじゃんか。

主人公は目つきこそ悪いんですがそこら辺にいるなんともない保険屋のコールセンターで働くサラリーマンで仕事終わったあとにちょっとご褒美にお酒飲んで帰宅してまた会社に向かう社会戦士なんですよ。

しかしひょんなことから社長の孫娘であるJKと交際することに、といったラブコメ部分が際立ったあらすじ……ですがこの作品の魅力はそんなところではありません。

突然ですが、職業倫理というか社会の風当たりというかそういうものは大人になったらもう毎日イヤッっていうほど味わうものなんですよ。

この作品それをライトノベルというたかだか200~300ページにギュっと濃縮してガソリンまいて盛大にファイヤーバーニングして触れたら誰もが焼け焦がれるようなパワーにして全力で殴りかかってくる衝撃をもっているんです。

まず真面目に働くと”信頼”につながるという点をまっすぐ描いている点。

ビジネスの世界における”信頼”がどれほどの価値を生むか若い人たちにはピンと来ないと思いますがこの作品を読めばその一端に触れることが出来ます。

仕事というのは本質的には信頼されなくては始めることが出来ないんですよ。

東大卒のパーフェクトな頭脳と実績を積んだ学生がいざ現場に入ってやらされることは何か?……残念ながらただの雑用なんですよ。

何故か?
人事の目が節穴だから?上司が妬んでいるから?
違うんですよ。能力に見合った仕事が降ってこないのは全て“信頼”されていないからなんですよ。

じゃあどうやって信頼を積み重ねるのか?
簡単なんです。雑用をこなすんですよ。

さらには雑用だけでなく振られた仕事目の前の壁同僚との切磋琢磨上司への気配りお客様への誠意出世合戦報告連絡相談お茶くみ挨拶全てをこなしていくんですよ。
そうやって”信頼”されることで前へ進むんです。

この作品を読んで主人公の積み上げてきた仕事の軌跡と立ちふさがる会社の陰謀、壁を乗り越えた先の達成感などなどに触れると……本当に目頭が熱くなりますよ。

夢を諦めた絶望感とそれすら麻痺させる日々のタスクタスクタスク……

その上ヒロインのJKちゃんも良い。

若さっていうだけで眩しいのに彼女には夢があり熱意があり才能がある。
それゆえに主人公との立ち位置の対比が見事な化学反応を起こしています。

数ある職業モノの中でも卓越したアツさに滾るし、本気でキャラクターを応援できる作品です。

笑いありLOVEあり涙ありでまっすぐ描かれた職業モノライトノベルの真髄をこの作品で目の当たりにしましたよ。

このサイトでの記事:
感想 『29とJK 〜業務命令で女子高生と付き合うハメになった〜』 純度の高い社畜の魂の叫び

 

 

1位 『やがて恋するヴィヴィ・レイン 1』

やがて恋するヴィヴィ・レイン 1

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あらすじ・内容

飛空士シリーズの犬村小六、最新シリーズ!

「ヴィヴィ・レインを見つけて」

彼女の願いを叶えるため、スラム街の少年は旅に出る。限られた命を生きる人造の少女と、意志を持つ機械兵。滅びゆく王国の姫、性別不詳の天才操縦士、皇帝に捨てられた子ども……。
旅の途中、それぞれの傷を抱えた仲間たちと出会い、やがて少年は「災厄の魔王」と称され、楽園に支配された世界へ反逆の旗を翻す。
ヴィヴィ・レインを探す、ただそれだけだった小さな旅はいつしか時代のうねりとなり、世界を変革する戦いへ――。

傷だらけの少年少女が織りなす恋と会戦の物語、開幕。

ガガガ文庫の不思議ファンタジー枠の大本命がきました。

ジブリの世界のようなふわふわとした土台にこれでもかと筆致を重ねた設定と濃いイベント。

作者の得意とする格差のついた社会と世界設定をベースに、独自の解釈を加えた戦争描写と戦闘描写。

どれをとっても一級品なんですがあえて特筆するなら、各出来事とキャラクター同士の関係性の絶妙なバランス感覚でしょうか。

まるで映画の世界に読者も迷い込んだかのようにくらくらするほどワクワクした世界観で強烈にガツーンと殴られたかのように感じる凄惨なシーンが来たり。

ほっこりするラブコメシーンが来たと思ったら、裏切り裏切られ高め合い陥れ合う様々な立場を入れ替わり立ち代り繰り返される演舞のような大スペクタクルロマン。

ロボットの機械兵あり、ドラゴンあり、知略あり、兵と兵がぶつかり合う合戦あり、身分を超えた恋あり世界の謎ありと毎ページ毎ページ目が離せないしめくる手が止まりません。

その全てが絶妙なバランス感覚の上で成り立っています。
素晴らしいの一言ですよ。

妹が残した「ヴィヴィ・レインを見つけて」という台詞を軸に展開される世界の謎も見どころの一つ。

伏線が現れては回収され、新しい伏線が生まれて……全くドキドキとワクワクが途切れない作りになってます。

この物語がどのような結末を迎えるのかをこのブログを読んでいるあなたと是非一緒に見届けたいですね。

このサイトでの記事:
感想 『やがて恋するヴィヴィ・レイン 1』 戦争に咲く恋の香り
感想 『やがて恋するヴィヴィ・レイン 2』 恋の盛り上がりと二人の距離
感想 『やがて恋するヴィヴィ・レイン 3』 裏切りと恋の夜

 


いかがだったでしょうか?

ここで紹介されていない沢山の作品の中にもあなたにあった作品が絶対絶対絶対あるはずです。

改めてですがリココインフォはBOOK☆WALKER主催 「新作ラノベ総選挙」を応援しています。

投票は6月11日(日)まで受け付けているのでぜひ投票にも参加してみんなで盛り上げていきましょう!

投票用URLはこちら
https://bookwalker.jp/lvote2017/

 

○リココでした。


感想 『この世界がゲームだと俺だけが知っている 1』 バグと困難の哲学


バグと困難の哲学

あらすじ・内容

迫りくるバグ! 襲いくる理不尽! そして、それを覆す圧倒的台無し策!!

“ぼっち”ゲーマーの相良操麻(さがらそうま)はある日、悪名高いバグ多発ゲームの世界に入り込んでしまう。
「理不尽」と「運営の悪意」を具現化したような通称<猫耳猫>の世界でバグ仕様を逆手にとったソーマの冒険がはじまる!

 

困難は困難であればあるほどひっくり返したときが最高……まさにそれ!

ゲームの世界に転生というたまにあるシチュエーションですがそこは悪意の塊のようなとんでもないイベント,キャラクター,アイテム……そしてバグのオンパレード.

そんな中でも主人公は芯を持って行動し既知であってもちゃんと慌てたりわいわいやる様子が本当にこのゲームが大好きだということが伝わってきてかなり好感が持てました.

他のキャラクターも生き生きとしていながらも“ゲームのキャラクター”であるという個性を残している点に注目ですね.役割をこなしてしっかり物語を回していく役目といいますか,そのバランス感覚が良いです.

舞台を変えてまだまだ波乱が待ってそうです.

バグ使いの今後の素晴らしい冒険を祈っていこうと思います.


感想 『骸骨騎士様、只今異世界へお出掛け中 6』 天騎士の畏怖


天騎士の畏怖

あらすじ・内容

スキル発動――天騎士の本領が王国を揺るがす!

圧倒的な力を人助けに役立ててきた骸骨騎士のアーク。拠点の社からエルフ族の里に戻ったアークは、精霊獣のポンタ、ダークエルフの美女戦士アリアン、獣耳忍者少女チヨメに、疾駆騎竜(ドリフトプス)の紫電を加え、チヨメの兄弟子サスケの真意を探るべく「ヒルク教国」へお出掛けすることになる。
同じ方面に向かうエルフ族の船に便乗したアークであったが――無愛想なエルフと一触即発! 船室で仲間の着替えシーンに遭遇!! 海岸では上陸拒否――!? と、波乱含みの船旅に。
なんとか上陸できたアークは、道中で蜘蛛の化け物に襲われる馬車に遭遇。人外じみた力で化け物を倒し、ノーザン王国第一王女・リィルを助け出す。
そしてアークは、不死者(アンデッド)の軍勢から王都を救ってほしいとリィルに依頼され……!?
「天騎士の本領を見せてやろうぞ!!」
ついにアークの秘められたスキルが発動する――!

天騎士の畏怖
始終とんでもなバタバタに巻き込まれながらの旅道中で,国がとんでもない目にあっているのにドタバタ部分が深刻さを和らげて読みやすくなっていますね.

新キャラクターの王女様もロリで凛々しい良い感じの造形になっているので純粋に応援する気になれます.

主人公の見せ場が後半あるんですがヤバすぎて俺つえーのテンプレとして気持ちがいいですね.

ただ見せ場のところで急にこの巻が終わるので全体として不完全燃焼な印象に.

敵はまだまだ秘密裏に隠し玉がありそうですし,主人公の強さもそこしれないので一層バトルが熾烈化していきそうですね.


感想 『やがて恋するヴィヴィ・レイン 3』 裏切りと恋の夜


裏切りと恋の夜

あらすじ・内容

ルカは皇位継承を巡る闘争へと巻き込まれ…。

ウルキオラ暴動から三年……。神聖リヴァノヴァ帝国においてルカはジェミニらと共に帝国最強の独立混成連隊として勇名を馳せていた。ルカの編み出した新戦術は三次に及ぶ「ドル・ドラム戦役」においてその威力を発揮し、帝国軍総司令官ヴラドレン皇太子はルカに作戦会議への参加を許可する。
だが皇帝の血を引くジェミニも皇太子を排除すべく暗躍を開始、ルカは皇位継承を巡る闘争へと巻き込まれる……。

「子どもだった。見た夢が幼すぎた。あの約束は世界を破壊してしまう」

「飛空士シリーズ以上!」との声も上がってきた、魅力的なキャラクター設定で圧倒的話題の一大軍事戦記。さらにさらに加速する恋と会戦の物語、第三巻。

戦術は兵力を凌駕するのが常ですね.快進撃が止まりません.

戦争で活躍することで中央に入り込めたルカとジェミニですがそこはとんでもなくクセの強いキャラクターたちがひしめく魑魅魍魎の巣です.

再開の約束,現場にいるキャラクターたちの想い,そして裏切り……大胆な構図と駆け引きが見事な演出になっていて大きな大局のうねりとしても素晴らしいです.

主人公のルカは優秀なのですが決定的に運命に翻弄される宿命にあるので周りがほっとかずこれからも激動の人生を歩みそうですね.

そして王女との約束.

次巻も時代の大きな転換点で少年少女たちがどんな波乱を巻き起こして相対するのか見届けたいと思います.


感想 『ゴブリンスレイヤー 5』 かくも過酷な冒険なり


かくも過酷な冒険なり

あらすじ・内容

シリーズ累計50万部突破!
蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー第5弾!

「…………取り戻さないと」
「……何を、ですかな」
「すべてを。喪った物を、すべて」
ゴブリン退治から消息を絶った令嬢剣士を探して欲しい――剣の乙女の依頼を受けて、北方の雪山に向かうゴブリンスレイヤーたち一行。
しかし、襲撃される寒村、謎の礼拝堂、今回のゴブリンの群れに違和感を覚えるゴブリンスレイヤー。
「……学習した、だと?」
仲間の痛手を越えて洞窟探索を終えた一行は、あるものを見つける。
「外なる、智恵の神。覚知神……」
何者かに統率されたゴブリンの巣くう古代の砦にゴブリンスレイヤーたちが挑む!
蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー第5弾!

ゴブリンスレイヤー5
この世の邪悪を詰め込んだゴブリンという種族ととにかく対峙していくこのシリーズ.

冒頭からしてエグい.しかし当然だという納得感もあります.

冒険者による冒険はどれだけの敵,自分たちの作戦や準備があったとしてもリスクはゼロにできないという1巻の頃からの哲学は残しつつ,同じく原点回帰というかヒロインの一人である女神官のルーキー時代と新キャラクターを対比させることで成長も描いていましたね.

キャラクターたちは絶望的な状況でも明るくポジティブに笑顔を作っています.

その理由もしっかり描写することでそれは経験と技術に裏付けられた確固たる強さであることが読んでてありありとわかりました.

まだまだ裏ではたくさんの設定がありそうな伏線もはられていたので今後の展開も目が離せなさそうですね.


感想 『とんでもスキルで異世界放浪メシ 1 豚の生姜焼き×伝説の魔獣』


何でもありの通販

あらすじ・内容

――その男、異世界の胃袋を鷲掴み!!

現代日本から剣と魔法の異世界へと召喚された向田剛志。どんな大冒険が待っているのかと思えば、実はムコーダは「勇者召喚」に巻き込まれただけの一般人だった! そんなムコーダの初期ステータスは正規の勇者(3人もいる!)に比べてかなりしょぼい……。さらにムコーダたちを召喚した王国がうさん臭く、「あ、これ勇者を利用しようとするやつだ」と察して一人城を出るムコーダ。この異世界でムコーダが唯一頼りにできるのは固有スキル『ネットスーパー』――現代の商品を異世界に取り寄せられるというものだけ。戦闘には向かないが、うまく使えば生活には困らないかも? と軽く考えていたムコーダだったが――? 実はこのスキルで取り寄せた現代の「食品」を食べるととんでもない効果を発揮してしまうことが発覚! さらに、異世界の食べ物に釣られてとんでもない連中が集まってきて……!?
「小説家になろう」年間1位のとんでも異世界冒険譚、ついに登場!

とんでもスキルで異世界放浪メシ 1 豚の生姜焼き×伝説の魔獣
異世界の通貨でネット通販が使えておまけに食材にバフが乗るというチートモノ.

料理描写がクドくないバランスでちゃんと美味しそうに感じる点が良かったです.

キャラクターもさっぱりしてますが神狼と女神がコロッと食べ物で陥落するあたりがコミカルで面白いですね.

経済的にも能力的にもかなりやばい能力なんですがお気楽な主人公が全能感を和らげていて良い塩梅です.

改めて思う日本のネット通販ほんとヤバすぎる.

またいろんなキャラクターが食べ物で陥落するさまが見れそうなのでそこが楽しみな作品です.


感想 『ストライクフォール 2』 競争の意味を問う


競争の意味を問う

あらすじ・内容

競うことは、争うことなのか。

史上、類を見ない“ルール違反”。
雄星は処分決定を待つ間、二軍練習場へと送られる。

前代未聞のスキャンダルを起こした異邦人に、選手たちはただただ冷たかった。無数の敵意にさらされる雄星に、二軍監督、ユウキ・プラバッキーは告げる。

「ここの連中がお前に冷たいのは、弟のことだけでも、ペナルティのことだけでもねえよ。みんな、パワーの時代が怖いのさ。おまえはストライクフォールの次の時代そのものだからな」

あの日、雄星のもたらした慣性制御技術は、ストライクフォールをまったく別の競技に変えてしまったのだ。

「おまえに残された道は、二つだ。時代を殺した男として恨まれながら勝者になるか、それとも、誰かがそうした勝者として栄光を掴むのを、指をくわえて見ているかだ」

同じく懲罰で試合機会を奪われたアデーレ。
ストライクシェルの整備を学びはじめた環。
みな、大切なものを失った傷を抱えながら、新たな戦いを始めている。
なら――俺は。
めまぐるしく変化する世界、「戦争」と「競技」の狭間で。
雄星は、ストライクフォールともう一度向き合う。

兄弟の憧れを、答えをこの手に“掴む”ために。

SF界の俊英が放つ疾走スペースグラフィティ、待望の第2弾!!

すべてのことが文字通り戦争に近いスポーツ競技の中でエンターテイメントになりうる要素,少年少女だったり関係性だったりを詰め込んだ贅沢な作品です.

衝撃の1巻目直後から2巻はスタート.事後処理と新しいチャレンジの目の前で葛藤し挫折を味わう主人公……王道ですがなかなかエグい味付けになってます.

もがいている主人公は等身大な若者そのものなんですが何処までも前向きなのに弱さを認め悔しがる様がありありと描写されているのでストレスがかかります.

しかしそれでも前を向き続け諦めないところがスカッとしますし周りも何処か憎めない奴らで清々しいですね.

ロボット,宇宙,スポコン,挫折となかなか挑戦的な今作ですが今後もしっかり追いかけたいと思います.


感想 『86―エイティシックス―』 自由の果ての自由


自由の果ての自由

あらすじ・内容

第23回電撃小説大賞《大賞》受賞作、堂々発進! 最終選考委員と、編集部一同をうならせたエンターテイメントノベルの真・決定版!

サンマグノリア共和国。そこは日々、隣国である「帝国」の無人兵器《レギオン》による侵略を受けていた。しかしその攻撃に対して、共和国側も同型兵器の開発に成功し、辛うじて犠牲を出すことなく、その脅威を退けていたのだった。 そう――表向きは。 本当は誰も死んでいないわけではなかった。共和国全85区画の外。《存在しない“第86区”》。そこでは「エイティシックス」の烙印を押された少年少女たちが日夜《有人の無人機として》戦い続けていた――。死地へ向かう若者たちを率いる少年・シンと、遥か後方から、特殊通信で彼らの指揮を執る“指揮管制官(ハンドラー)”となった少女・レーナ。二人の激しくも悲しい戦いと、別れの物語が始まる――!


安全な場所にいる差別の加害者と死と隣り合わせにいる被害者との交流を通して明かされる世界の謎,喪失と絶望,そして自由とは何かを考えさせる哲学的なテーマ……大変楽しめました.

人を人扱いしないことで精神的にもリソース的にも問題解決した内陸の人々がいかに堕落しているのをありありと描写することで行動的には相当束縛されている外の兵士たちの生き生きとした表情が際立つようになっています.

ヒロインと主人公の交流で様々な事実が明かされていくのですがそれが本当にわくわくする内容で毎回新鮮な驚きがありました.

どうしようもない状況の中なのでキャラクターたちは一様に重々しいものを背負っているのですがそれを吹き飛ばすような強い意志,生命力に溢れていて読んでいて気持ちよかったです.

差別する側とされる側……果たしてどちらが自由で高潔なのか……エピローグは必見です.

この一冊で完結してはいるものの続きも出るようなので大変楽しみにしています.


感想 『エイルン・ラストコード 〜架空世界より戦場へ〜  6』 衝撃の結末のその後 炎の継承


衝撃の結末のその後 炎の継承

あらすじ・内容

とにかく熱くて、火傷する、新世代ロボットライトノベル第六弾!

エイルンが殺害されて一年。マリスの侵攻が活発化し、人類は窮地に追い詰められていた。第二部スタート。とにかく熱くて、火傷する、新世代ロボットライトノベル第六弾!

前巻の衝撃の結末から幕が上がり,第二部がスタート.

世界の悪意が暴かれ,最悪の一歩手前で右往左往する若者たち.

月日は流れてそれぞれがもがき苦しむ中,新たな狼煙と受け継がれた炎の輝きがどんどん鮮明になっていく快感がありました.

アニメで言うと分割2クールの最初な感じなのですがここまでアツくさせてくるのはさすがといったところです.

特筆するべきキャラクターの魅力の高さ.悩み苦しみ,それでもひたすらに前を向いてときには誰かの背中を追いかけ,過去に向き合い,戦いをやめないその意志の輝き……素晴らしいです.

胸を打つその在り方もそうなのですがまた世界を取り巻く絶望的な状況もいいですね.

内外の敵がいてそれぞれに思惑があり,第三の第四の勢力が現れてますます確固たるキャラクターたちのアイデンティティーが試されています.

そしてロボットもので定番の上位機体への乗り換えイベント……最高ですね.

血が滾る展開と巨悪の陰謀,害悪な怪物たちに輝ける若い力.

壮絶な幕開けになった第二部からも目が離せなさそうです.


感想 『境域のアルスマグナ 緋の龍王と恋する蛇女神』 夫婦の進む道


夫婦の進む道

あらすじ・内容

「私はあなたの妻です」と、創造神(かのじょ)は言った。

鬼柳怜生・享年17歳。彼の生涯は双子の姪をかばって儚く幕を閉じた……はずだった。死者蘇生すら可能な力を手に生き返った怜生。世界を一変させる存在となった彼の、全世界を相手にした戦争が幕を開ける――!

非常によくねられた設定と生き生きとしたキャラクター.

主人公もまさに王道を行く正義感があって等身大なのに何処か執着的なタイプ.

丁寧なバランスの良い描写の中にもオリジナリティあふれるやり取りや世界の広がりが感じられて読んでて楽しかったです.

ヒロインがウザい点は賛否両論ですが今後いろいろなキャラクターが追加されることを考えるとこれくらい目障りな感じがちょうど良いかも.

魔術でどうしてもやり抜きたいこと,それを見つけた主人公がどのような覇道を突き進むのか.

まだまだ見どころはたくさんありそうですね.