「ライトノベル」カテゴリーアーカイブ

感想 『<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラムー 4.フランクリンのゲーム』


曲のある敵

ついに火蓋が切って落とされた絶望的な状況に主人公達がどう相対するのかがまっすぐ描かれていました.

それぞれがリアルで抱え持つ矜持や想いをどっさりゲームに持ち込んで大激突するこの展開は爽快です.

敵が良い.

曲モノ揃いでそらには背景があって……と掘り下げてくれるのでハラハラドキドキ感が増しますね.

女っ気というかヒロイン力の支援がない中でここまでテンション高く読ませてくれるのはこの作品の特徴ですね.

まだまだ続く限られたルールの中ですすむ絶望的な状況をどうやって打開していくのか,目が離せなさそうです.


感想 『レジェンド・オブ・イシュリーン 1』 居場所を取り戻す物語


居場所を取り戻す物語

異世界召喚からの戦争巻き込まれからの陰謀巻き込まれという正統派異世界召喚戦記モノです.

前世の知識は全然生かさず位置から勉強していくスタイルはどぎまぎするもののそれなりの緊張感と迫力の演出が良い味を出しています.

ヒロインのメリハリがもう少し欲しかったところですが,少女のようなときと凛とした時のギャップを今後出してくれたら魅力的だなぁと思おました.

外敵と内敵が政治的にも武力的にも様々な問題をもたらしそうでまだほんの序章という印象です.

ただもともと居場所が現代になかった主人公が経験を通して成長していくところがしっかりとした印象を作品全体に与えているので続きが楽しみです.


感想 『クロニクル・レギオン 6 覇権のゆくえ』


群雄割拠,ただではやられぬ!


ますます混沌と情勢が変化していく偉人系ロボットバトル現代戦記……もはやジャンルがわかりません.

照姫ちゃんという最高の愚かロリが主導した東京全域を巻き込んだ内戦バトルもいよいよクライマックス.

平将門率いる亡霊軍団もいろいろな役割をさせられて大活躍し,味方側というかいろいろなステークホルダーがところ狭しと知略と暴力で暴れまわるという豪華な巻でした.

照姫がほんと愚か可愛いくてツボです.いいぞもっとやれ.

サービスシーンもしっとり入ってしかもまさかのあのキャラも……けしからん限りです!

いよいよ最大の敵との戦いが始まるわけですがはたまた第三勢力が勃興するのか正面衝突するのか知略陰謀が入り乱れるのか……楽しみです.


感想 『りゅうおうのおしごと! 6』 焦りは禁物


焦りは禁物


それぞれがそれぞれの想いを抱えながら将棋道を真っ直ぐ突っ走る今作.

前巻の大一番から打って変わって複雑に絡み合うキャラクターたちの関係性模様も楽しいですし,将棋うんちくも磨きがかかっていました.

神様や魂といったモチーフとともに目に見えない気合いとか想いとかが溢れ出して止まらない感じの表現が相変わらず素晴らしいです.

AIが台頭してコンピューター将棋が隆盛してきた中で一歩踏み込んだ描写も印象的です.

小学生の娘さん達もいろいろな初体験をしながら踏みとどまらずに前向きに頑張っているのも微笑ましいです.
次巻へのヒキは強くはないですが,またアニメ化や昨今の将棋情勢によって盛り上がること間違いなしなので,引き続き注目していきたいですね.


感想 『せきゆちゃん(嫁)』 急転直下の石油押し


急転直下の石油押し


石油(美少女)をほりあてててんやわんやのラブコメディ.

石油ほりあてて金持ちになるって字面だけなら夢があるんですが準備や流通に途方もないハードルと運も必要なのに,そこは適度にファンタシーにしつつ作者の言う通りきれいにボーイミーツオイルにまとめています.

ヒロインのせきゆちゃんの造形がとてもしっかりしていてとにかくかわいい.

ストーリーどころかところどころのシーンと台詞回しですらツッコミどころ満載でそれを楽しむ作品です.

続くとしたら新キャラテコ入れでしょうしドタバタ劇がまた楽しめそうですが随所のアブラネタがものすごい勢いで出てくるのでストックが尽きないか逆に心配ですね.


感想 『この世界がゲームだと俺だけが知っている 2』


バグで育むこころ


とんでもない理不尽を乗り切るのが魅力のこの作品,今回も思わずほう経験が生きたなと言いたくなる展開が目白押しです.

新ヒロインは存在そのものがバグから生まれたというひどい感じですが無表情ながらもどこか魅力的で可愛く感じるから不思議です.

前巻のキャラもしっかり出てきてストーリーに絡むので満足感高いです.もっと活躍してほしい.

そして過去のストーリーの焼き直しのシナリオが素晴らしい.

ゲームは経験が命ですね……次回も波乱の展開を希望します.


感想 『弱キャラ友崎くん Lv.4』 本当に大事なことが目に見えるとは限らない


本当に大事なことが目に見えるとは限らない


新時代の青春バイブル第四弾はスクールカーストに一石を投じる激震の一冊になりました.

相変わらず学校の教室で起きることを理性的に観察しその法則性を納得のいく理屈が補強していますね.

キャラクター同士が息遣いを感じるほどにリアルに動き回っていてだからこそその混沌を説明する言葉が必要で……それが神業的にうまく噛み合っています.

前巻で完璧を演じたヒロインも太刀打ちできないような悪意の渦巻く空間で主人公が洞察力と行動力で挑むというかなり胸熱な展開でした.

この作品がこのデリケートなテーマにどの粒度でどれだけ踏み込んでいくかが気になりますが今までを読んでいれば安心して待てますね.

惜しむべきは次巻へ続くという展開に今回はなっていることです.新刊が待ち遠しい!


感想 『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜 13』


バトル少なめでも十分楽しい


新妻登場で修羅場が起きるとおもいきや独特な雰囲気は健在.

他の作品ではカットしそうな日常の一コマをしっかり描写するスタイルはこの作品のウリでもありますね.

卒業式の描写も紙幅は少ないもののしんみりせずしっかり文化を感じました.

ハーレムのようには進まないで過去に出てきたキャラクターとかが縦横無尽に動いて登場するエコシステムが強いですね.

エリスの話が飛び道具のように挟まっているんですがこれがまた面白いです.これだけ読みたいくらいですね.


感想 『異世界料理道 11』 トラブルは成長のもと


トラブルは成長のもと


穏やかに進むかと思った事態がここに来て急転直下.

主人公誘拐されたりロリ登場したり美味そうな料理がオンパレードで登場したりと今回見どころが多すぎです!

離れることで絆を再確認する巻でもあります.

ここまで築き上げてきた主人公の縁が見事に結実し,穏やかながらも最後のシーンの感動が増しています.

陰謀の中にある無垢で純粋な気持ちが今回トラブルを産んだわけですが,精算が次回行われるということで早く続きが読みたいですね.


感想 『友人キャラは大変ですか?』 友人というなの概念存在


友人というなの概念存在

あらすじ・内容

出会っちまったぜ、俺の理想の主人公に!

俺の友達、火乃森龍牙。高校に入ってできた、気の置けない親友。

龍牙の第一印象は、「アニメとかに出てくる主人公っぽい奴」だった。そしてその思いは、すぐに確信に変わった。
まず、こいつは過去をほとんど話さない。で、よく授業を抜け出す。帰ってきたかと思えば、唇から血を流してたり、制服のあちこちが破けてたりする。

そして龍牙の周りには常に美少女がいる。学園のアイドル、雪宮汐莉。剣の達人であるクールビューティー、蒼ヶ崎怜。謎の転校生、エルミーラ・マッカートニー。こいつらが龍牙の前に現れると、俺は非常に疲れる。それぞれが龍牙と絡むたび、「お、おいリューガ! どうしてお前が雪宮さんと知り合いなんだよ!」とか、「う、麗しの剣士である蒼ヶ崎さんが、わざわざ教室までリューガに会いに!?」とか、「エ、エ、エルミーラさん! リューガなんかのドコがいいんスかぁ!」とか、必死に騒ぎ立てる羽目になるからだ。

……じゃあ何でやるのかって? それは俺、小林一郎が友人のプロだからだ。
主人公の中の主人公、火乃森龍牙を支える親友キャラこそが、俺の生き様だからだ。

――ベストフレンダー小林が贈る名助演ラブコメ、開幕!


日常と非日常が交差する異能バトルライトノベルで一人だけとんでもない次元で戦っている主人公本当にすごい.

この作品の文脈はどれだけ「友人キャラ」もとい自分自身の役割を全うするのかという主題に素晴らしいアプローチをしています.

キャラクターたちは無自覚にそれぞれの役割をこなしています.主人公,幼馴染,吸血鬼,巫女などキャラ付すればいくらでも出て来る中一生懸命ですよ.

しかしこの作品ではメタフィクション的にそれを俯瞰した視点で動き回れるキャラクターを用意することでびっくりするくらいコミカルで奥が深い物語にしています.

とんでもない設定や新キャラがどんどん出てくる中で友人キャラという役割にしがみついて四苦八苦する主人公いや友人の切磋琢磨は見ているだけで面白いですし意図しないところで色々なフラグを立ててしまっているところも笑えます.

メタフィクション的な表現の新たな極地であるこの作品は本当にユニークですね.