「ライトノベル」カテゴリーアーカイブ

感想 『サークルクラッシャーのあの娘、ぼくが既読スルー決めたらどんな顔するだろう』


見事な破壊っぷり

あらすじ・内容

[男4人女1人の旅団(サークル)]+[サークルクラッシャー1人]=!?

“巌窟王(ダンジョンマスター)”によって隠された莫大な財宝・七氏族軍資を横取りするため、旅団(サークル)が鎬を削る冒険者時代。白魔道士ユーリは“軍資に一番近い旅団”と称される猛者五人のうちのひとりにして本の蒐集家だったが、迷宮の奥深くに封印されていた美女・クリスティーナの旅団参加によって、旅団の人間関係は滅茶苦茶になってしまう……!
[男4女1の旅団(サークル)]+[女1]=修羅場(クラッシュ)!?

「……私のこと好きですよね? ですから、好きです」

人間関係をことごとくしかも全自動で破壊する危険な女性の極地のようなキャラクター造形に脱帽です.

それなりの時間をかけて絆を育んだ関係良好な熟練冒険者たちがある少女と出会うことで完全に関係が崩壊していくさまをファンタジーが舞台でありながら何処か現代にも通じる筆致で描いています.

どのキャラクターも濃い味付けで一緒になって一喜一憂できますし,それぞれに等身大なところが少しあるのでそこもバランスがいいですね.

続きが出るかどうかは微妙な終わり方ですが,もしあるとしたら今作以上のサークルクラッシャーぶりを発揮してもらいたいですね.


感想 『武に身を捧げて百と余年。エルフでやり直す武者修行 9』


魔人の国にて過去との邂逅

あらすじ・内容

シェリルの秘密と血晶の謎――最後の戦いが始まる!

魔人の国「ネヴァケー」。『大血晶』の情報を求め、そして師の意思を継ぐため、この地を訪れたスラヴァ一行を待っていたのは……魔人との喧嘩の日々!? そんな彼らの前に現れたのはシェリルと縁の深い人物で――

最終章の幕開けといった展開.

魔人の国に辿り着いた一行は好戦的な住民に囲まれながらもいつも通りに過ごしていましたが,目的の調査のために色々と動いていくうちにどんどん雲行きが怪しくなっていき……と言った内容.

エルフ,魔人,そして武術家という枠によって覗ける人間模様や信念もさることながら,いい塩梅に肉付けされた戦闘シーンなどやはり見どころが多かったです.

伏線として貼られていたシェリルの秘密など少しあっさりめの味付けだったところもありますが,それぞれのキャラクターの矜持だったりがぶつかり合う展開はなかなか爽快でした.

いよいよラストバトルに向けて大きく舵をきった今作.
どのような終着点にたどり着くのかが楽しみです.


感想 『骸骨騎士様、只今異世界へお出掛け中 5』 お気楽道中ピリリと辛い


お気楽道中ピリリと辛い

あらすじ・内容

頼れる仲間と海を越え――いざ、新天地へ!

まだ見ぬ食材を求め、新天地へお出掛けすることになった骸骨騎士のアーク。
精霊獣のポンタ、ダークエルフの美女戦士アリアン、獣耳忍者少女チヨメのお馴染みのメンバーに、さらに筋骨隆々の獣人の戦士ゴエモンも加わり、安穏無事な旅になるはずだった。
しかし――船上で巨大イカを討伐! 恐竜モドキと素手で対決!? 新食材でパスタ作りに挑戦――!! と、今まで以上に、何でもありの珍道中!
希少品のトウガラシを求め、虎人族の里に辿り着いたアーク達。しかしそこは黒い巨人に襲撃され、多くの虎人が命を落とす戦場と化していた。虎人族に助太刀するアークだが、突如謎の影による奇襲が!?
「……サ、スケ……兄さん……っ!?」
その正体は、なんとチヨメの兄弟子サスケのようで――。
最強の骸骨騎士による“無自覚”世直し異世界ファンタジー第五弾、書き下ろし番外編『チヨメとサスケ』も収録し、希望と絶望と共に参上!!

旅路がサクサク進むこととは裏腹に様々な思惑ががんじがらめになっていろいろなキャラクターに魔の手を伸ばす様が描かれた巻でした.
何でもない目的で旅を続けるんですが,行く先々でとんでもない展開があるノリは嫌いではないので満足です.

過去の因縁が現在のキャラクターを苦しめていく中で,キラリと光る人間模様が良いです.

主人公が相変わらずお気楽でタンタンとしている感じなのが気になりますがそれでいるからこそ終盤の盛り上がりに華を添えていると思うのでこの作品の味なのでしょう.

色々と新しい要素も出てきているのでそれがうまく回収されることを願いつつ次の巻を待ちたいと思います.


感想 『コップクラフト 6』  捜査とアクションの攻防自在!


捜査とアクションの攻防自在!

あらすじ・内容

ポリスアクションの金字塔がここに!

『レト・セマーニ』と呼ばれる異世界と、地球世界との玄関口であるサンテレサ市。地球人の刑事マトバと、異世界人の騎士ティラナの二人は、いがみあいながらも数々の難事件に取り組んできた。
そのおり、市長選挙の有力候補が射殺される事件が発生する。それにより崩れていくパワーバランス。対立を深める地球人とセマーニ人の両勢力。融和を求める人々と、暴動を起こす人々。
混沌がサンテレサ市を覆い、ティラナとマトバの溝が深まっていく。
だがその事件の背後には、醜悪な陰謀がうずまいていた――。

『フルメタル・パニック!』『甘城ブリリアントパーク』の賀東招二が送る、大人気ポリスアクションシリーズ第六弾!

怒涛の展開の連続で息をつく暇もない話の展開でした.

次々に巻き起こる事件と民族対立が争点の選挙,男と女,暴力と知略.

ありとあらゆるものが神がかったバランスで押し寄せてそれを乗り越えていく爽快さも担保されています.

どのキャラクターも本当に愛おしくて,時折見せるヒロインの凛々しさもスパイス.

マトバの精悍さの中にあるハードボイルドも光ります.

今回もかなりの大規模な事件ですがこんなことが日常茶飯事に起きているサンテレサシティは今日も陰謀渦巻く中,高級スーツのおっさんとロリが暗躍しています.

づいていますね.


感想 『青春ブタ野郎はハツコイ少女の夢を見ない』 未来への道筋は一つじゃない


未来への道筋は一つじゃない

あらすじ・内容

翔子のついた優しい嘘。麻衣が願った真剣な思い。咲太が選んだ答えとは――!?

「わたしはね咲太君。大好きな人には幸せになってほしいんです」初恋の人、翔子から教わった優しさ。「ふたりで幸せになるわよ」今を支えてくれる、恋人の麻衣から学んだ勇気。高校二年生の冬、今と過去を支えてくれた大切な人たちが幸せになれる未来を求め、咲太は歩み始める――。新たなる未来へ踏み出すシリーズ第7弾!

闘病少女との思い出を手にしながら悲劇に向き合う主人公.

前巻の衝撃の最後からの流れでシリアスな展開後続いて読んでいてまさにハラハラドキドキでした.

キャラクターたちもそれぞれが自分と,そして自分の大切な人の未来へ想いを張り巡らせながらも前に進む様子がジーンときますね.

そしてしばらく落ち着いていたヒロインのヒロイン力が天元突破のヒロイン状態になっていました.素晴らしい!

それぞれの手にした結末と日常がどのような展開をこれから見せていくのかを楽しみにしています.
(と言うよりこの流れで続くんですね……)


感想 『今日から俺はロリのヒモ!』 心地よすぎて溺死しそう


心地よすぎて溺死しそう

あらすじ・内容

ロリのヒモは最高だぜ!

なんとなく漫画家を目指している俺は人生これでもかってくらい勝ち組になった。なんてったって、超金持ちの小学生が俺の大ファンで、しかもパトロンになってくれるって言うんだ! 理想のヒモ生活がスタートだ

こんな人の欲望の根底を何度も何度も叩いてくる作品もなさそうです.

ほしいものをほしいままに手に入れてさらに人生を生きる緊張感もなく,すべての欲求が承認される立場をありありと見せつけられて死にたくなるような作品でした.

特筆すべきはやはり“やりたいことをとことん実行できる”という全能感で可愛い女の子に好かれるだけでなく,好かれるための行動や失敗しても受容してくれる相手の存在などとにかく心地よいです.

キャラクターも可愛いのですが色々と衝撃的すぎてまともに感じれませんでした.

とにかく自分の中では中々の衝撃作でした.


感想 『我が驍勇にふるえよ天地2 〜アレクシス帝国興隆記〜』 局地戦も大決戦も映える


局地戦も大決戦も映える

あらすじ・内容

「戦は伝説伝承≪ドラマ≫で決まるのです」

第1巻が大反響につき発売直後に重版決定!!
『ワルブレ』のあわむら赤光が放つ、痛快にして本格なるファンタジー戦記です!

第2巻はますますスケールアップ!
敵も味方も魅力的なキャラクターがどんどん登場し、驍勇の舞台はさらに広がります。
いま最も熱く胸焦がす、痛快戦記をお楽しみください。

ボロロロスでの激戦を制し、吸血皇子の呼び名を名誉あるものへと変えつつあるアレクシス侯レオナート。
時を同じくして、大陸南部より憎き四公家の一角・グレンキースが挙兵したとの報せが届く。
その大軍は名だたるブレアデト“教導”傭兵団に鍛え抜かれ、まさしく精強無比。
レオ達はこの強敵を迎え討つべく南征を決意する。

だが、その先で出会ったのは、四公家の手から逃れてきた幼い姫と白銀の騎士。
二人がレオに求めた、唯一つの願いとは――?

集えよ! 誇れよ! レオナートの御旗と共にある栄光を!
痛快にして本格なるファンタジー戦記、英雄女傑入り乱れる第2弾!!

豪傑の豪傑による豪傑のための英雄譚!

反乱軍を無事に平定した主人公達を待ち受けたのはさらなる反乱と美女率いる凄腕の傭兵団.

殺し殺され,謀り謀られながらも英傑たちをひきつけてやまないカリスマの戦いが気持ちの良いくらいの大きなスケールで描かれています.

キャラクターも1巻と同じく皆ブレずに確固たる個性を放っていますし,なにより敵がいいですね!ゲスな敵や勇敢な敵などそれぞれがイキイキしていました.

大手柄を経てさらなる高みへ向かう主人公達.
その先にはまたとんでもない巨悪が待ち構えていそうなので,期待して待ちたいと思います.


感想 『<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラムー 1.可能性の始まり』 


可能性への道標

あらすじ・内容

各プレイヤーの行動や性格、プレイスタイルによって独自に能力が進化するシステム<エンブリオ>。人と間違うような、確かにその世界に息づくNPCたち<ティアン>。そんな夢のようなシステムを備えたダイブ型VRMMO<Infinite Dendrogram>は、瞬く間に一大ムーブメントとなって世界を席巻し、数多くのユーザーがこのゲームを楽しんでいた。大学受験を終えて東京で一人暮らしを始めた青年・椋鳥玲二もまた、受験勉強の終了を記念して、かねてより兄に誘われていた<Infinite Dendrogram>を起動する――。

レベル,スキル,アイテムボックスにアイテムドロップ……オーソドックスなスキル性システムに理解のし易いシンプルな説明ですっと世界に入りやすかったです.

自分の可能性を目に見える形で示してくれるVRMMOの世界で待ち受ける利己的な,どこまでも人間らしい陰謀や無邪気なイベントの数々.

裏側にある設定がしっかりしているので特に違和感も感じずに読むことができました.

キャラクターは1巻にしては多いと感じたものの,一人一人の個性が面白いので見ていて気持ち良いです.

まだまだ戦闘シーンも見足りないので次巻からはどんどん事態が深刻化していくことを求めます.


感想 『ゴブリンスレイヤー 3』 冒険だけが冒険じゃない


冒険だけが冒険じゃない

あらすじ・内容

コミック版も同時発売!

「ところで、ほら、えと、明後日、収穫祭が、あるじゃないですか――予定、空いてますか?」
「……ゴブリン」
「あ、ゴブリン以外です」

秋、辺境の街は収穫祭を間近に控えていた。
そんな中、神殿の仕事で忙しそうな女神官、ある出来事で拗ねる妖精弓手、祭の準備に参加する鉱人道士、蜥蜴僧侶と、それぞれの日常を過ごす冒険者たち。
そしてゴブリンスレイヤーもまた“日常”を過ごしていたのだが……。

依頼の減るゴブリン退治、現れる三人の来訪者、祭の裏で暗躍する計画とは!?
「素人め、教育してやる」
蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー第3弾!

祭りの喧騒とそれぞれの恋路がくっきり描かれていた今巻,とても満足しました.

1巻の頃と比べて主人公の気持ちの良いくらいの冷徹さは鳴りを潜めて,その本質はベースにあるもののより人間らしさが際立つストーリーだったと思います.

女性陣の生き生きとした表情が良い!

ゴブリンはやはり恐ろしいですが工夫と知恵で冷静に対処する楽しさはそのままに作品の魅力がキャラクターによって増していると言った印象です.

次も冒険や他のキャラクターにスポットライトが当たることを期待しつつ,次巻を待ちたいと思います.


感想 『ヴァンパイア/ロード』 絶えず冷静 まさに沈着


絶えず冷静 まさに沈着

あらすじ・内容

「貴方を救出に参上いたしました、我らが王<ロード>」特殊な血液型を持つ男子高校生・神鎚黎<みづちれい>は、早くに両親を事故で亡くしたものの、引き取られた先の養父母や義理の妹にも恵まれ、充実した生活を送っていた。しかし謎の襲撃者に命を狙われたことで、その穏やかな日常は一変する。激しい戦闘の最中、混乱する黎の前に現れた美しき吸血鬼<ヴァンパイア>の少女・リーリヤ。彼女は黎へと膝を折り、絶対の忠誠を誓ってみせた。この瞬間から、黎は吸血鬼<ヴァンパイア>たちの争いの中心――王<ロード>として敵対勢力の殲滅を決意する!!

凄絶なシチュエーションで吸血鬼の王になった人間の主人公と,派閥に分かれて暗躍する吸血鬼達のハードル知略アクションといった趣です.

主人公がとにかくいい!
とんでもない状況なのに常に冷静沈着で文字通り“器が大きい”感じで新鮮なタイプです.

ヒロインたちは魅力的なもののクセというか個性は抑えられていてだからこそ主人公が際立っています.

アクションシーンも結構凝っていて迫力がありますし,本格的で理屈的な吸血鬼の設定も相まって本当にしっかりとした印象があります.

今後は戦いが激化するでしょうし,敵もまだ本気を出していなさそうです.楽しみ.