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感想 『リア充になれない俺は革命家の同志になりました 1』


スクールカーストという残酷で美しい題材

あらすじ・内容

スクールカースト最下層に位置する白根与一は廃部をハンストで抵抗する部員の監視役として図書部に入るよう命じられる。部室では、純真可憐な美少女・黒羽瑞穂が待っていた。その姿に反し、彼女の口からは過激思想発言が止まらない。その中の一つ、スクールカースト粉砕計画に白根は心を動かされ、気がつけば彼女の理解者に? カースト一軍のリア充で黒羽の幼馴染み中禅寺さくらを交え、おかしな図書部の活動が始まる!?

スクールカーストを体制側の一つの問題として扱いながらもそれによって翻弄される少年少女の一喜一憂をコミカルに描いた作品でした.

特殊な単語がたくさん出てきますが主人公のツッコミスキルが優秀なのでとくに引っかからずにスラスラ読めました.

この頃の時代って小さなほころびでも人間関係や生活に大きな傷を負いやすい……だから愛しいと感じるまさに黄金時代なんですよね.

ヒロインがピーキーなんですが宇宙人に感じることなくあくまでこの時代をもがき苦しんで進んでいる一人の女の子に見えたのでそこの造形も良かったです.


感想 『俺たちは異世界に行ったらまず真っ先に物理法則を確認する』


高専生のドヤ顔

あらすじ・内容

これは、後に魔法技術の礎を築き上げた賢者たちの物語――。

高等専門学校、高専に通う幸成たち12名の学生たちが目を覚ますと、そこは異世界でした。ロボコペ優勝を目指してガレージで徹夜作業をしていたはずの彼らが、まず行ったのは……物理法則の確認! 摩擦、空気抵抗、重力、電気抵抗と、自分たちの知識を駆使して、その土地を調べ上げるメンバー。ひとまず生命が活動することができることを確認した彼らは、これから始まるサバイバル生活に落胆することしかできず……。しかし、森で廃棄されていた魔道具【マジックアイテム】を拾ったことで、彼らの運命は大きく動き始める――!

オタクなどのマイノリティーに属している側の人間はたまに周りに発散してもらいたくなるものです.

持っている知識を思う存分に開陳したい,そして自分に最大限注目して理解して認めてほしい……こんな欲求です.

この作品はそうした欲望が合致した人にとってはかなりの精度で満たされるようにできていますね.

それぞれのキャラクターの苦悩もそれに即した内容になっていてシンパシーを感じやすくなっていて丁寧な作りです.

次の展開でどんな知識が披露されるのか,そんな楽しみ方が出来そうですね.


感想 『ソードアート・オンライン 19 ムーン・クレイドル』 悲劇と希望は続いていく


悲劇と希望は続いていく

あらすじ・内容

《アリシゼーション編》最後を飾るエピソード!

アンダーワールドは、三百年に及ぶ争乱の果てに、ついに一つになった。どこからともなく現れた、たった一人の《ベクタの迷い子》が暗黒の神を倒し、この世界に平和をもたらしたのだ。しかし、そんな人界の中枢、白亜の塔《セントラル・カセドラル》にて――。《整合騎士見習い》へと昇進したロニエ・アラベルは、人界の最高意志決定者《代表剣士》キリトから、衝撃的な言葉を耳にする。「――いずれもう一度戦争が起きる」 《アンダーワールド大戦》のその後を描いた《アリシゼーション編》最後を飾るエピソード!

結末のさらにその後にはまだまだ問題があって……という感じの巻.

キャラクターのその後が描かれるのが純粋に嬉しかったですし,またミステリー風になっているのでトリックを想像して楽しめる点も良かったです.

主人公はとんでもない力を持っていますが一人の力ではなんともならないことを皆で考え,苦悩しながら進むさまが見ていてハラハラドキドキを生んでいて素晴らしいですね.

陰謀を暴き新たな謎が次々に現れ,そして次なる陰謀が見え隠れしています.

彼らがどのようにそれに挑み,失敗し,それでも何かをつかむのかを楽しもうと思います.


感想 『ソードアート・オンライン18 アリシゼーション・ラスティング』


集結し決着することの意味

あらすじ・内容

ついに≪アリシゼーション≫、完結!

「――キリトくんだ。わたしのキリトくんが、帰ってきた……」  ≪アンダーワールド≫全土が混沌と化す、≪最終負荷実験≫の二日目。≪人界軍≫最強の整合騎士ベルクーリ、スーパーアカウント・太陽神ソルスを持つシノンを打ち破ったガブリエルは、≪ワールドエンド・オールター≫を目指すアリスを追う。一方、圧倒的な数の≪暗黒騎士≫に包囲された≪人界軍≫囮部隊の戦場では、アスナの奮闘、リズベットやシリカらの助力虚しく、ついに自失状態のキリトが、ラフィン・コフィンの残党≪PoH≫につかまってしまう。積年の恨みを晴らさんと、PoHの毒牙がキリトに迫り―― 瞬間。キリトのこころの中に、声が響いた。それは、共に暮らし、戦い、笑いあった彼の親友の声。たった一人の、最高の相棒の声――。ついに、キリトは復活する。アンダーワールドに生きる≪すべて≫を、救うために。

長大な章の一つの終焉を見ました.

リアルと仮想世界,目まぐるしく変わる状況と戦いの最中にふと訪れる人間味の深さ.

すべてが合流して流れていく大きなうねりの展開できれいに着地してエンターテイメントを感じる幸せな時間を過ごせました.

キャラクターも新旧勢揃いでとても嬉しかったですし,敵側もとにかく濃くて飽きなかったです.

アリシゼーションの1巻目のシーンが最後にはありありと思い浮かべることができたのでジーンとなりました.

願わくば新たな希望と永久に続く冒険に乾杯を……キリトくんには安らかなお休みを……


感想 『アクセル・ワールド 21 -雪の妖精ー』 壮絶な戦い,白黒決着す


壮絶な戦い,白黒決着す

あらすじ・内容

《代々木公園地下迷宮》の女神ニュクスとの戦いを描いた劇場公開アニメブルーレイ、絶好調発売中!!

ホワイト・コスモス率いる《白のレギオン》の領土に攻め込んだスカイ・レイカーやブラッド・レパード率いる新生《黒のレギオン》。しかしそこで待ち構えていたのは、加速世界から退場したはずのバーストリンカー、オーキッド・オラクルによる心意攻撃《領土戦の無制限フィールド化》だった。謎の現象に危機感を抱いたシルバー・クロウは、メタトロンと共に最高度情報領域《ハイエスト・レベル》に移行、状況を把握しようとするが、そこに、突如新たなアバターが出現する。白のレギオン《七連矮星(セブン・ドワーフス)》の一人、スノー・フェアリー。そのF型アバターは、メタトロンとハルユキの精神的接続を断たんと攻撃を仕掛けてくる。一方、《無制限フィールド(ミーン・レベル)》のスカイ・レイカーたちは、白が仕掛けた死の《罠》――《無限PK》による加速世界からの一斉退場――に嵌まりつつあった。窮地に立たされた仲間たちを救うべく、ついに黒雪姫とニコが駆けつける――!

どんでんにつぐどんでん返しと伏線のオンパレード.

伏線も追加されては回収されて目まぐるしく変わる状況にハラハラしっぱなしです.

とんでもなく綿密に練られた罠を知恵と勇気で突破する快感とまだまだ底を見せない敵の計り知れなさが見事に調和する構成も素晴らしい.

どんな状況でも前に進んでいこうとするキャラクター達見てるとアツくなりますし少し等身大で人間臭いキャラからビクともしない超人じみたキャラまでいて実にいろいろな楽しみがあります.

そして最後のオチもなんともワクワクする終わり方.今から楽しみでしょうがありませんよ!


感想 『アクセル・ワールド 20』  時代のうねりが加速する


時代のうねりが加速する

あらすじ・内容

最終決戦迫る最新刊!!

「――行くぞ、レイン!!」「――来い、ロータス!!」 《災禍の鎧》、《バックドア・プログラム》、《ISSキット》、そして《災禍の鎧マークII》――。加速世界にあまたの悲劇と混乱をもたらしてきた謎の組織《加速研究会》。その表の顔は、六大レギオンの一角として港区エリアを支配する白のレギオン《オシラトリ・ユニヴァース》だった。全ての元凶にして黒幕、白の王《ホワイト・コスモス》との決戦を前に、黒雪姫率いる《ネガ・ネビュラス》は赤のレギオン《プロミネンス》との合併会議に臨む。ネガ・ネビュラスからの出席者十一名に対して、プロミネンスは総勢三十三名。実に三倍もの規模を誇る大レギオンの全貌を初めて目の当たりにし、圧倒されるハルユキだったが、会議は序盤から思わぬ展開を辿る。「シルバー・クロウ!! ネガ・ネビュラス代表として、オレと戦え!!」 初対面のバーストリンカーに、いきなり戦いを挑まれたハルユキの選択は――!? いっぽう、ニコと黒雪姫も、禁断の《王》対《王》の戦いへと突き進む。対峙する二人は、二つのレギオンをまとめあげることができるのか――!?

大きな流れ同士が合流し,更に巨大な流れとなって怒涛の展開を見せた巻でした.

前巻が謎の開示と過去の集約だとしたら今巻は確かな一歩で謎に迫り,激動の流れで前に進んだ巻ですね.

無数のキャラクターたちがそれぞれのアイデンティティーをぶつけるところも魅力的なのですが,やはり成長した主人公とその仲間の頼もしさから見る“前に進んでいる“感じがいいんですよね.

いよいよ敵の本拠地にたどり着いたわけですがやはり一筋縄では行かなそうです.

提示された新たな謎とともに風雲急を告げそうな次巻に期待です.


感想 『アクセル・ワールド 19』 絆が集まり,総和になる


絆が集まり,総和になる

あらすじ・内容

加速世界の≪果て≫――その謎に迫る!

黒雪姫が卒業してしまう前に、≪加速世界≫の果て――≪ブレイン・バースト≫のクリア条件を知るため、ハルユキはスカイ・レイカーと共に≪帝城≫へと赴いた。 絶対不可侵であるはずのそこには、何故か陽気に二人を迎える黒の剣士、グラファイト・エッジの姿が!? 困惑するハルユキだったが、≪帝城の住人≫トリリード・テトラオキサイドとも合流し、四人+1エネミー(メタトロン)で深部へと進んでいく。 そして、ハルユキはついに知る。七番星『揺光』の神器≪ザ・フラクチュエーティング・ライト≫が≪帝城≫に鎮座する意味を……。 加速世界の謎を知り現実世界へと帰還したハルユキを待っていたのは、最終決戦間近の≪ネガ・ネビュラス≫へと続々集う、頼もしい仲間たちだった。 過去最大のキャラクター&アバターが登場する最新刊

次々と明かされる新事実と,そこから新たに生まれた無数の謎…….

加速世界の始まりと終わりの場所で主人公達がうけとめた様々なことが物語を一層際立った仕上がりにしていますね.

また後半の展開もアツい……続々と集まるかつての縁と絆を結んだ相手が仲間となって強大な敵に向かうシチュエーションはまさに求めていたものです!
しかし男女比が……笑

一人ひとりが傷を抱えつつもたしかに前に進んでいく.そんな力強いアクセル・ワールドらしい巻でした.

次回からいよいよ決戦なのでどんな展開を迎えるのか楽しみです.


感想 『アクセル・ワールド 18』 英傑集結の巻


英傑集結の巻

あらすじ・内容

ついに実装の≪宇宙ステージ≫で、≪あの黒い双剣士≫との壮絶バトル!

白のレギオンに挑むため、黒雪姫率いる≪ネガ・ネビュラス≫は、緑のレギオン≪グレート・ウォール≫との休戦及び共闘を申し出た。 緑の本拠地・渋谷第二エリアにて、緑の王≪グリーン・グランデ≫、その幹部集団≪シックス・アーマー≫と対峙するハルユキたち。しかし会談が開始される直前、思いがけない人物が乱入してくる。 そのアバターは、黒雪姫と同じく、真っ黒な姿で、二本の剣を携えていた。 グラファイト・エッジ。元≪ネガ・ネビュラス≫の幹部≪四元素≫の一人。両レギオンに浅からぬ因縁を持つそのバーストリンカーが二人の王に持ちかけた、驚くべき提案とは――!? いっぽう、赤の王≪スカーレット・レイン≫ことニコも、加速世界と赤のレギオンの未来を見据えて独自に動き出す!! ついに≪宇宙≫ステージも実装!? な禁断の最新刊登場!

かつての仲間が今日の友……その逆もまたあり得ると言った様相の巻でした.

長期シリーズですが伏線がこれでもかというくらいにガシガシとばらまかれていていつ回収するのかとわくわくしつつも謎が深まるばかりです.

MMORPGものと同じく,現実世界と加速世界での感じ方の違い,匿名であることによって生まれる軋轢……などが物語の機微として見事に表現されていました.

不穏に沈黙する強大巨悪な敵と着々と前に進む主人公達のどちらがより深く,そして速いのか.

加速世界の趨勢からまだ目が離せなさそうです.


感想 『ソードアート・オンライン 17』 群雄割拠 乱闘乱舞


群雄割拠 乱闘乱舞

あらすじ・内容

ついに現実世界のプレイヤーたちがアンダーワールドに到達し……!

――≪光の巫女≫アリス。――≪闇の軍勢≫すべてを犠牲にしてでも、我が手中に収める。≪最終負荷実験≫二日目。整合騎士による命がけの奮闘により劣勢になった≪ダークテリトリー軍≫は、卑劣な手段で反抗を開始する。アンダーワールドを外部から観測していた米軍傭兵・クリッターが、現実世界の人間たちを最終決戦に投入する。全米のゲームコミュニティサイトで≪本格派VRMMOゲームのベータテスター募集≫と称し、騙してログインさせたプレイヤー数は、五万人を超えた。闇の軍勢の増援に、絶体絶命となる≪人界軍≫。スーパーアカウント・ステイシアでログインしたアスナ一人では到底太刀打ちできなかった。そこに、アンダーワールドで言い伝えられてきた創世の神々が舞い降りる。白く輝く太陽神ソルスと、優しく暖かい地母神テラリア。その二柱は、シノンとリーファの姿をしており……。

ライトノベル最高峰のこの作品.

ヒロインたちが続々と投下されてかなりの豪華な顔ぶれのサービス無双と思いきや,蓋を開けたらストレス展開の連発でなんともいえない展開に.

助走が長いほうが高く飛べますが続きはどんな感じになるのか,前巻と同じく混乱が続いているので全く予想がつきません.

賛否両論別れる中国と韓国の登場ですが個人的には非常にニュートラルな気持ちで読めました.逆にこの程度の煽りで心動かされるのもどうかなと.

ヒロインたちだけでなく今までの脇キャラクターたち誰もが信念のかたまりで,確かに息づいていて,そこであがき苦しみもがき掴み取ろうとするその空気感が相変わらずすごいですね.

きれいな着地を期待する次巻ではそれぞれ個々の物語もしっかりした決着を求ていきたいですね.


感想 『なれる!SE 15 疾風怒濤?社内競合』 人生の選択は苦い


人生の選択は苦い

あらすじ・内容

今度のミッションは立華&藤崎が相手の社内競合案件!? 萌えるSE残酷物語、波乱の展開!

目指せ!上場企業!? なんとスルガシステムが株式公開の準備に入るという。その体制づくりのため総務部への誘いを受けた工兵は、いずれは役員として経営陣に……という途方もない話を前に、自らのキャリアについて思い悩む。とはいえSEの仕事も待ったなし。アサインされたのは、総合商社二社のシステム統合という大きな案件。しかも提案作業のパートナーはかつてのライバル、アルマダ・イニシアティブの次郎丸で!? さらに、その案件は別ルートから立華&藤崎コンビも受注を狙う、社内競合案件だった! 果たして工兵は、最強の敵に勝てるのか!? 昨日の敵は今日の友、昨日の友は今日の敵!? 萌えるSE残酷物語、風雲急を告げる第15弾!

主人公が自分の行き先を葛藤し苦悩する一連の流れを描く今巻.

重い選択ほど両皿に載っているものは双方同じく重いんですよね.

職業ものの物語は時々ドキッとするような展開になって主人公と一緒に苦悩する気分を味わうことができるのが渋いです.

今回主人公は専門職に突き進むのかそれとも管理職への道に行くのかの選択を迫られていますが出てくる一つ一つのイベントがその尊い悩みをとてつもなく盛り上げている構成でした.

仕事がそれなりにできるようになって,周りが見え始めてそのギャップに驚いたり燃え上がったり……若いっていいなぁとしみじみ楽しめるところもポイントです.

専門用語のオンパレードもここまで付き合った読者にとってはファンタジーの呪文の応酬みたいなものでしょう.むしろ心地よいです.

巨大案件がまだまだ前哨戦みたいですし,いよいよ選択のときが近づいてきました.

悩みの先には何が待っているのか,一緒になって見届けたいと思います.