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感想 『弱キャラ友崎くん Lv.4』 本当に大事なことが目に見えるとは限らない


本当に大事なことが目に見えるとは限らない


新時代の青春バイブル第四弾はスクールカーストに一石を投じる激震の一冊になりました.

相変わらず学校の教室で起きることを理性的に観察しその法則性を納得のいく理屈が補強していますね.

キャラクター同士が息遣いを感じるほどにリアルに動き回っていてだからこそその混沌を説明する言葉が必要で……それが神業的にうまく噛み合っています.

前巻で完璧を演じたヒロインも太刀打ちできないような悪意の渦巻く空間で主人公が洞察力と行動力で挑むというかなり胸熱な展開でした.

この作品がこのデリケートなテーマにどの粒度でどれだけ踏み込んでいくかが気になりますが今までを読んでいれば安心して待てますね.

惜しむべきは次巻へ続くという展開に今回はなっていることです.新刊が待ち遠しい!


感想 『リア充になれない俺は革命家の同志になりました 1』


スクールカーストという残酷で美しい題材

あらすじ・内容

スクールカースト最下層に位置する白根与一は廃部をハンストで抵抗する部員の監視役として図書部に入るよう命じられる。部室では、純真可憐な美少女・黒羽瑞穂が待っていた。その姿に反し、彼女の口からは過激思想発言が止まらない。その中の一つ、スクールカースト粉砕計画に白根は心を動かされ、気がつけば彼女の理解者に? カースト一軍のリア充で黒羽の幼馴染み中禅寺さくらを交え、おかしな図書部の活動が始まる!?

スクールカーストを体制側の一つの問題として扱いながらもそれによって翻弄される少年少女の一喜一憂をコミカルに描いた作品でした.

特殊な単語がたくさん出てきますが主人公のツッコミスキルが優秀なのでとくに引っかからずにスラスラ読めました.

この頃の時代って小さなほころびでも人間関係や生活に大きな傷を負いやすい……だから愛しいと感じるまさに黄金時代なんですよね.

ヒロインがピーキーなんですが宇宙人に感じることなくあくまでこの時代をもがき苦しんで進んでいる一人の女の子に見えたのでそこの造形も良かったです.


感想 『弱キャラ友崎くん(Lv.1)』 人生ハードモード、だから攻略しがいがある


人生ハードモード だから攻略しがいがある

あらすじ・内容

こ れが人生(クソゲー)攻略の最前線!人生はクソゲー。このありふれたフレーズは、残念ながら真実だ。だって、人生には美しくシンプルなルールがない。ある のは理不尽と不平等だけ。自由度が高いなんてのは強者の言い分で、弱者には圧倒的に不利な仕様でしかない。だから、クソゲー。あまたのゲームに触れ、それ らを極めてきた日本屈指のゲーマーである俺が言うんだから間違いない。――だけどそいつは、俺と同じくらいゲームを極めてなお、「人生は神ゲー」と言い きった。生まれついての強キャラ、学園のパーフェクトヒロインこと日南葵。しかも、「この人生(ゲーム)のルールを教えてあげる」だって? ……普通は、 そんなの信じない。だけど日南葵は、普通なんて枠にはまったく嵌まらないやつだったんだ! 第10回小学館ライトノベル大賞優秀賞受賞作。弱キャラが挑む 人生攻略論ただし美少女指南つき!

キャラクターは誰もが魅力的で吸い込まれるし,展開も凄くバランス感覚が良くて,さらに描写の説得力感が心地良いレベルまで洗練されています.

小説としての完成度が高いと感じることもさることながら,荒削りで粗野なところも残しているような,そんな感覚になれる作品です.

自分が学生時代なら明日からの登校する気持ちが変わっちゃいそうなそんなパワーが秘められていること感じました.素晴らしいですね.

人生をゲームに見立てるだけでここまで理論武装できるポイントがあるのかと単純に感心しましたし,一つ一つの点が密度高く再現性があるのでそれが線に繋がる状態になっています.

文脈作りがしっかりしているので気になる伏線も多く,これからが楽しみな作品でもあります.

これからのライトノベルを引っ張る作品にぜひ成長して欲しいですね.おにただ!


感想 『愚者のジャンクション(side friendship)』 来たるべき復讐を描くスクールサスペンス


恐るべき筆致と来たるべき復讐を描くスクールサスペンス……

あらすじ・内容

『悪党』は誰か――その復讐は、伝染する。耳目口司、衝撃の問題作!

「この学園の悪党に復讐を」都内有数の進学校に書かれた”エーミール”による復讐声明。『飼育部』の十文字は、惨殺された後輩の無念を晴らすべく犯人=エーミールの謎を追うが!? 本当の悪党を知るとき、彼は――

 

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淡々と進む展開がどんどん加速していって最後のクライマックスではページをめくる手が止まりませんでした.

絶対の友情という新しい法が生んだ復讐の鬼.

どこか人間離れしたキャラクター達は,やっぱりどこか人間らしい気もします.

ぶっ飛んでる奴らをしっかり作品の枠にはめて見事に描ききっています.
素晴らしい!

しかしこの終わりは卑怯です.次の巻もすぐに読まねば……


感想 『ラン・オーバー』 スクールカーストを瓶底から眺めて


表紙詐欺と普通に思いました.

あらすじ・内容

湊里香が転校してきてから、クラスは一変する。いじめのター ゲットにされても動じない彼女はあるとき伊園を呼び出した。湊に秘密を知られた伊園は、言われるがまま同棲生活をスタートさせる。不思議な彼女は伊園にあ ることを提案する。それはいじめのリーダーカップルに反撃すること。はじめは気乗りしなかった伊園も、次第に湊の意見に賛同するようになる。いじめのター ゲットの原を巻き込み、三人の過激な反逆が始まる。

 

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いじめ復讐モノって何冊か読みましたがラノベではほとんどガガガ文庫の領域だと思ってました……
スクールカーストを瓶底から眺めている気持ちにもれなくありつけますが,後味は当然良くないです.
ただ復讐される側が本当に救いようのないやつらなのでいろいろ飲み込めるという感じ.
ドス黒い思春期の感情を集めてそのままどこかに放置したような突き放し方もどこか哀愁漂ってます.
犠牲になった彼らにも救いは来るのでしょうか.