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感想 『君死にたもう流星群 4』 捨てたのは未来か歴史か


捨てたのは未来か歴史か

タイムトラベルSFなのに青春モノが持つ特有のアツさとどうしようもない強大で絶望的で正体不明な不安の暗さが混在するバランス感覚を持った作品であることを再認識です.

毎回メインとなるキャラクターを変えて同じテーマを違う側面でアツく描ききるパートと,ヒロインと主人公の関係性を軸に本筋を進めていくパートがありどちらも素晴らしいですね.

今巻もキャラクターたちが持つ芯から出てくるセリフがキレキレで,特に暗い雰囲気のときにこそ光る何かを必死に見つけようとするところがとても印象的でした.

まだまだ不明な点も多く伏線もあるのでまた楽しみに続刊を待ちたいと思います.


感想 『29とJK 〜業務命令で女子高生と付き合うハメになった〜』 純度の高い社畜の魂の叫び


純度の高い社畜の魂の叫び

あらすじ・内容

29歳とJK、“禁断の”年の差ラブコメ、はじまる!

目つきは怖いが会社では一目置かれている29歳社畜・槍羽鋭二。
ゲームや漫画が好きで、休日のネカフェを癒やしに日々を生き抜いている。

ある日、槍羽は《あること》で説教した女子高生・南里花恋からコクられてしまう。
14も年下とは付き合えないとキッパリ振るが、後日社長から呼び出され――「業務命令。孫の花恋との交際を命ずる」。

なんなんだこの会社!? 絶対に辞めてやる!(入社以来17回目)
だが始まってしまうJKとの交際。妹が、元カノが、会社の部下が、世間の目が槍羽の前に立ちはだかる!

29歳とJK、“禁断の”年の差ラブコメ、はじまる!

タイトルとは裏腹にきっちりと真っ直ぐな社会人ラノベとして物語が仕上がっている印象です.

主人公が私の同世代……というより完全に同い年なだけあって半端ないシンパシーを感じました.

それだけでなく次々と巻起こる困難にぶつかり,諦めずにひたむきに向き合っていく主人公は,読み手として揺さぶられました.意地と意志が本当にすごい.

私個人としては何度も涙腺に来たり喉元が熱くなりました.素晴らしいものを読ませていただきましたね.

キャラクターもいい.
主人公の魅力もさることながらヒロイン(達)のいきいきとした表情と何よりその信念がいい.

作品として大人の汚い部分と若さの純粋な部分が理想や夢といったテーマで綺麗に対比されていてとても高いクオリティーを感じました.

経験や年齢で雁字搦めになった大人たちにエールをおくるような,送られたような.そんな力強い作品でした.

懐かしい思い出やネタもクリーンヒットしましたし(同年代どころか同い年だから当たり前かもしれませんが……)久々にこんなにカッチリ琴線に触れた作品に出会いましたね.

願わくばすべてのサラリーマン,夢を諦めもがいている人や,掴もうともがいている人に届いてほしい.そんな素晴らしい作品でした.