「感想」カテゴリーアーカイブ

感想 『異世界ラ皇の探求者 01』 ラーメンマシマシラブコメディ


ラーメンマシマシラブコメディのゴロの良さがいいですね.

あらすじ・内容

第6回GA文庫大賞奨励賞受賞の、異世界ラーメンマシマシラブコメディ!

「ひゃう!? 兄上様、こ、これは」 メイがまるで死刑の宣告を受けた罪人のように震え、ドンブリを前に泣き出しそうな瞳でチャーを見た。「大丈夫だ。のびるから早く食え」 「本当に大丈夫なのでしょうか……」 現世でラーメン屋を26店開店し、そのすべてを半年以内に潰してきた主人公・チャー。そんな彼が記憶を残したままで生まれ変わったのは、なんとファンタジーの世界だった!? ライバル不在のこの世界で、一番美味と聞いたドラゴンの肉のチャーシューを作り、ラーメン道を極めようとするチャーの野望は叶うのか!? 第6回GA文庫大賞奨励賞受賞のラーメンよりヒロイン推しな異世界ラーメンマシマシラブコメディ!

image

異世界グルメモノの中でも話が割と斜めに走っているのが印象的でした.

特にグルメ路線のシチュで別に特に食べたい気にもならないのが特徴でしょうか.

その分キャラクターのコミカルなやり取りとバトルが濃い目でした.

個人的には求めていたものとは少しズレていたのですが,まさにラーメンの好みと同じでこういう塩梅のバランスが合う人には波長が良い感じになるのではないでしょうか.


感想 『放浪勇者は金貨と踊る 2』 すっきり爽快の騙し合いファンタジー


サクッと読めてすっきり爽快の騙し合いファンタジー第二弾.

あらすじ・内容

詐欺師を騙す元勇者の、次なる敵は――元仲間!?

魔王を打倒して平和になった世界では、詐欺師がはびこっていた。悪辣な詐欺師を騙し返し、金を取り戻してやる冒険者ヨルは、なんと実は元勇者で……そして、ヨルは元仲間であるシャノワールと再び対峙することに!?

image

今回も契約書ないし契約自体の穴をついての騙し合いや,ちょっとしたバトル,過去の因縁などこの作品らしさご詰まった1巻でした.

勇者が守るべきものについて驚くべき泥臭さで描いているのがミソですよね.

しかしこんなに面白いのに今回で終わりですか……
非常に残念です.

勇者様とお人好しな面々は今日も何処かで,がめつい商人と騙し騙されの攻防をしているのでしょうと想像しつつ,この作品へ思いを馳せたいと思います.


感想 『筺底のエルピス』 設定と信念が化学反応


設定に無駄が全くなく,それが確かな重厚感となって噛み締められる作品でした.

あらすじ・内容

人類の存亡をかけた影なる戦い。殺戮因果連鎖憑依体――古来より『鬼』や『悪魔』と呼ばれてきたその存在は、感染する殺意であり、次元の裏側から送り込まれた人類絶滅のプログラム。日本の暗部である《門部》は、不可視の存在を網膜に投影する改造眼球『天眼』と、時を止める超常の柩『停時フィールド』を武器とし、そのプログラムを追い立て、狩り、そして葬り続けてきた鬼狩りの組織だ。時は現代。百刈圭(ももかり・けい)と、乾叶(いぬい・かなえ)――心に傷を抱えて戦う二人が遭遇したのは、歴史上、たった六体しか確認されていない《白鬼》だった。叶の親友に憑依したその鬼を巡って組織が揺れる中、黒ずくめの刺客《ゲオルギウス会》が動き始める。それは日本を守護する《門部》と同じように、ヨーロッパで連綿と戦い続けてきたもうひとつの鬼狩りの組織――バチカンの狩人たちだった。《白鬼》とは何か。二つの組織の衝突はいかなる戦いを引き起こすのか。そして、滅亡を防ぐ希望はあるのか。人類の存亡をかけて戦う、影なる戦士たちの一大叙事詩が、いま語られる。気鋭・オキシタケヒコが描く異能バトルアクションシリーズ。イラストは各方面で活躍中のtoi8が担当。※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。

image

特に門部という組織の設定がしっかりしていて,和風なのにSFなガジェット,同様な他の組織とのモチーフの比較などとにかく凝ってる印象です.

能力も性質はシンプルなんだけど,そのいろいろなパラメーターで魅せてくれそうな感じです.

異能バトルでありながらSFの空気をまとっていて,更にはキャラクターたちのいきいきとした信念が化学反応していました.

素直に面白かったです.


感想 『我がヒーローのための絶対悪』盛り上がり,深まり,加速する


硬派も硬派なヒーローモノ.

あらすじ・内容

正義と悪に彩られた青春ヒーローピカレスク。日本のどこかにある地方都市、月杜市。どこにでもある規模のその街には1つだけ、他の街とは違っているところがある。それは1人のヒーローが街を守っているというところだ。普段は女子高生として生活している少女・澪。彼女は悪の組織『禍嶽社リヴァイアサン』の怪人が街の平和を乱すとき、ヒーローに変身し日夜戦うのであった。そんな澪のヒーロー活動を見守る幼馴染の少年・武尊。なんの取り柄もない平凡な高校生である彼だが、武尊にはある秘密があった――それは、彼こそが禍嶽社リヴァイアサンの総帥・ヘルヴェノム卿なのである。武尊の目的。それはガイムーンとして生きる宿命を背負わされ、悪と戦わないと生きられない澪のために、宿敵として立ちはだかり続けることだった。悪の首領とヒーローの関係は2人をどんな運命へと導くのか。最愛の者を守るため、最愛の者と戦い続ける、正義と悪に彩られた青春ヒーローピカレスクロマンここに誕生!イラストを担当するのは、「艦隊これくしょん -艦これ-」の敵艦デザインや「レーシングミク 2014 ver.」公式イラストを手がける実力派イラストレーター、おぐち

image

半端を許さない描写の数々とそのキャラクターたちのいきいきとした精神性を見事になぞった物語が演出していて調和です調和!

彼女のために絶対悪という概念を覗いた少年と,ド級ヘビーな過去を背負って邁進する等身大さを残すヒーローの少女.

盛り上がり,深まり,加速する関係性が見どころですよねー.
興奮しました.

怪人たちや陰謀渦巻くバックボーンなどまだまだ見どころをたくさん残しているのでどんどん追い駆けたいと,素直に感じる一冊でした.


感想 『スカイ・ワールド11』 ハーレムヘイト管理MMORPGの金字塔


ハーレムヘイト管理MMORPGの金字塔,堂々完結ですね.

あらすじ・内容

共闘の末、開かれた第一軌道への扉!

第一軌道島アイオーンにたどり着いたジュンたちは、サクヤのために残された希望をついに掴んだ! 願いが叶うと歓喜するメンバーにアイオーンの主・コノハは告げる――「サクヤという冒険者は、このままでいい」と。

 

image

この作品は自分も思い入れがあって,MMOにおける楽しさだったりキャラクターの魅力だったりクエストのモチーフの旨さだったりを再発見するきっかけだったので寂しいですが全体通してかなり満足な作品でした.

オチや世界の真相は結構意外だったのですが,まぁこういう因果も納得できなくもないと腑に落ちました.

バトルも一杯でこってりでもあったのですが,リアルな世界が薄い描写なのに思ったよりもしっかり影響濃く描かれているのが印象的でしたね.

ベテラン作家の安定したエンディングと言ったところでしょうか.お疲れ様でした.


感想 『飽くなき欲の秘蹟』 軋轢をまっすぐ描く


異能の売買をする不思議な職業の,かなり不思議な人たちが織りなすハートフルボッコなストーリー.

あらすじ・内容

もしかしてお姉さん、異能持ちですか? 僕――世杉見識は目を放すとすぐサボる、意識の低いアルバイトである。自慢することではない。 バイト開始当初は、「能転売業なんてうさんくさ過ぎる、すぐに逃げよう」なんて思っていたけど、異能関係者は変わっている人が多くて、ちょっと楽しいと感じている。 異能というのは――超能力とか秘蹟とか、そんな呼ばれ方をする、とにかく不思議な力のことだ。それは人の願いと共に現れ、いつのまにか消えていく、一時の奇跡である。 そう稀少なものでもないが、誰もが自由に手にできるわけではない。だから、持たない者は皆こう言う――自分も欲しい。欲しいと思う人がいるのなら、そこにビジネスチャンスは生まれる。異能を売りたい人と、異能が欲しい人を結ぶお仕事――異能転売業はこうして成立した。 僕の働く秘蹟商会もそんな異能転売業社の一つである。店舗は埼玉の片隅にある古い建物。働いているのは店長とアルバイトの僕二人だけ。まだまだ規模は小さいが、明日の成功を夢見て僕らは日夜奮闘している。「さてと・・・・・・ポンコツかわいい店長のために、異能力保有者を捜しに行きますか」第6回小学館ライトノベル大賞審査員賞受賞作。

 

image

異能はあくまでモチーフかついわゆる「マクガフィン」であって,本当に描きたいのは人間模様なんだということがすごく伝わってきたのでそこが一番良かったです.

みんな悩み,というか欲?を思春期でもいつでも持っていて,それが具現化した時の軋轢をまっすぐ描いてて好感持てます.

これからヤバめな話がどんどん展開されるんだけど,ボンドガールみたいにヒロインがどんどん出てくる予感しかしないのでそれが心配ですね.


感想 『ログ・ホライズン 9』 ヒーローのヒーローによるヒーローのための矜持


ヒーローのヒーローによるヒーローのための矜持.

あらすじ・内容

傍若無人!天真爛漫!シロエを振り回していた「彼女」がいよいよ登場!!

突然ゲームの中に閉じ込められ、仲間のいない中国サーバーで 大規模戦闘に一人巻き込まれたレオナルドは絶望していた。そんな窮地のレオナルドを救ったのは黒髪で爆発的なグラマーのカナミ。カナミは英雄・エリアス、 無表情な回復職・コッペリア、人語を解す白馬を引き連れ、日本を目指しているという。強引で豪快なカナミに、あっという間にレオナルドも旅の仲間に加えら れ、四人と一匹の旅は始まりを告げた。「いざ! 東へ!」

 

image

いよいよ群像劇の様相をていしてきましたログ・ホライズン第九巻.

それぞれの個性と異質との出会いが化学反応を起こして有機的につながって……と世界の広がりをありありと感じました.

最後の最後でやっぱり普通のMMOとは違うなとニヤリとさせてくれるところも流石です.

黎明の彼女の動向も気になりますが,我らが腹黒メガネの活躍ももっとスポット当てて見たいところです.


感想 『賢者の孫』 異世界の住民たちのレベルをグッと下げる


型破りファンタジーと銘打たれた俺つえー転生モノでしたね.

あらすじ・内容

《規格外》主人公の型破り異世界ファンタジーライフが今始まる!

事故で死んだはずの青年が、赤ん坊の姿で異世界に転生! そ して救国の英雄「賢者」マーリン・ウォルフォードに拾われた彼は、シンと名付けられる。孫として育てられたシンはマーリンの技術を吸収し、驚くべき力を習 得するのだが、十五歳となった時に祖父【マーリン】は言った「常識を教えるの忘れとった」! かくして常識と友達を得るためアールスハイド高等魔法学院に 入学するシンだったが――。《規格外》な少年の型破り異世界ファンタジーライフ、ここに開幕!!

 

image

読者のレベルと主人公のレベルのバランスを取りつつ,この異世界の住民たちのレベルをグッと下げることで常識破りというものが表現されているイメージです.

スラッと読めて良かったんですが流石に周りの主人公に対する評価がぐんぐん上がって,たいそう驚かれているさまが続いて少しきつかったです.

その上で主人公の常識は読者であるこちらと等身大設定なので周りのキャラと次元が違いすぎて逆に違和感が……という印象を途中から持ってしまいました.

ヒロインは可愛く,ただまだまだ魅力を出すには紙幅が足りてないと感じたのでこの先に期待といったところでしょうか.


感想 『コップクラフト 5』 ハイパー治安悪しシティでのハイエンドポリスアクション


クライム渦巻くハイパー治安悪しシティでのハイエンドポリスアクション第五弾.最高です.

あらすじ・内容

過去の亡霊が、2人を襲いかかる!太平洋上に突如として出現 した超空間ゲートの向こうにある異世界“レト・セマーニ”と地球との玄関口である都市・サンテレサ市。この街の警察で、特別風紀班のメンバーとして所属す るマトバの元に、ある男が怪死したという知らせが届く。その男はかつてマトバと共にセマーニ世界に平和維持軍として従軍していた過去を持つ人物だった。そ の後、彼と同じような殺され方をした死体が次々とサンテレサ市内で発見され、その奇妙な殺し方から同じ人物の犯行ではないかとの見方が強まる。検死の結 果、殺人の手口は地球での技術とセマーニ世界の魔法、両世界の技術を使わなければ行うことのできない殺しの方法であることが判明する。さっそく捜査を始め たマトバと相棒のティラナだったが、殺しのターゲットはついに2人が仕事がらみで世話になっている人物たちにまで及ぶように。だが調べを進めて行く内に、 殺人の手口が、かつてセマーニ世界で起こった紛争時に地球の軍事訓練を施され組織された、セマーニ人の部隊が使っていた方法と酷似していることが判明す る。はたして犯人の目的とは何なのか? 1年ぶりに帰ってきた痛快無比のポリスアクションシリーズ第五弾が登場!※この作品は底本と同じクオリティのカ ラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。

 

image

あとがき通りに今回は正攻法もいいところで,人間と異世界人の腐ったところと,キラリと輝く良いところを余すことなく浴びれます.
ウィットに富んだユーモアとダーティ,いやアダルティなやり取り.
凸凹コンビこそが至高のバランスで,人間模様に最高のスパイスがかかってます.

強大な敵の存在も見え隠れして,次から次へと起こるトンデモ自体に食らいついて食らいついて真実にたどり着く二人の姿が最高にクール.

ハードボイルドというよりもはやロックなこの作品は消費マストです!


感想 『僕は友達が少ない 11』 未熟だからこそ、それが輝かしい.青春賛美!


残念ラブコメの金字塔,ここに完結.
残念はそのままに,念が残る,未熟だからこそ,それが輝かしいと言わんばかりの青春賛美に感じました!

あらすじ・内容

心に残る今。

リア充の時間の流れは速い。小鷹達は、散々迷いながらも手に入れた、友達や恋人との充実した日々を駆け抜けていく。友情、恋愛、進路、家族のこと……。そしてやってくる、卒業。残念系青春ラブコメ、エピローグ!

 

image

1巻から続いたそれぞれの道とこれからの道.
それを伏線回収で通しながら丁寧に寄り添って描かれているイメージです.
ここまで続いてもまだ新たな発見がある.良い気持ちでした.

色々と話題に事欠かない作品で,随分と読みての間でもて遊ばれた?作品でもあるので完結の感慨は深めです.正直さみしい.

しかしラブコメの新境地を間違いなく開いた作品だろうし,私は落ち込んだという印象は全くありません.

彼と彼女たちの未来はしっかり続き,しかし今を残して心に刻んで進んでいく.
ポジティブだけが能じゃない.そんな現代の一ルートを堪能できました.
お疲れ様でした.