「感想」カテゴリーアーカイブ

感想 『<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラムー 3.超級激突』


怒涛の強者大激突

あらすじ・内容

決闘都市ギデオンの闘技場で開催されるイベント『超級激突』。人知を超えた能力を持つ<超級>同士のバトルを間近で見ることができるこの大祭に向けて、町中がお祭り騒ぎとなっていた。アルター王国決闘ランキング1位“無限連鎖”フィガロVS.黄河帝国決闘ランキング2位“応龍”迅羽。知り合いであるフィガロの応援もあり、闘技場へと足を運んでいたレイたちだが、この大祭の水面下ではある企みが進行していて――。超人気VRMMOファンタジー、大興奮の第3巻!

数十万人がプレイするオンラインゲームで陰謀やらなにやらが入り乱れるとそれはこうなるだろうという密度の物語ですね.

表の派手なイベントを中心に盛り上がる感じとは対比的に,裏の水面下の陰謀やら工作やらも同時に描かれていて楽しいです.

前回の戦闘で得られたアイテムや経験が確かに主人公の成長につながっているのもポイントですね.

後半についている別視点のサイドストーリーもグッと深く物語を理解する手助けになりました.

次巻はさらなる状況の混乱と今回地味だった主人公の活躍が描かれそうなのでそこが楽しみです.


感想 『ゲーマーズ!7 ゲーマーズと口づけデッドエンド』 錯綜する青春


錯綜する青春

あらすじ・内容

ぼっちには生き地獄。リア充待望のイベント、修学旅行開始!

星ノ守の衝撃の告白によって、またもやめんどくさい勘違い案件が勃発! と思いきや、自称「察しの良さ」に定評のある天道には今回、解決の秘策があるらしく!? 一方、雨野は修学旅行に向け……バイトを始めた。

読めない展開に読めない妄想をかさねて行き着くところまで行き着いたシチュエーションでした.

身悶えするほどのじれったさとミスリードに一喜一憂しながら読んでいましたが,途中から心の何処かでこんな展開になりそうだとハラハラしながら進めることができました.

キャラクターは目の前のことにひたすらひたむきでだからこそ真っ直ぐではなく回り道することでキレイなストーリーが生まれていますね.

勘違いの起点からその風呂敷を広げるさまはこの作品の醍醐味ですがこの巻は特にすごかったですね.

彼らの青春の行き着く先を想像しつつ次のトンデモ展開に期待したいです.


感想 『精霊幻想記 7.夜明けの輪舞曲』 復讐の邂逅


復讐の邂逅

あらすじ・内容

レイスが操る魔物の大群に襲われていたリーゼロッテたちの一団を発見し、その戦闘へと加勢したリオ。圧倒的な力でもって次々と魔物を屠ってみせた彼に対し、その場に居た誰もが強い興味と関心を示す。またリオも更なる勇者召喚の情報を求め、貴族たる彼らと友好的な関係を築こうと動き出すが――「どうだ? 俺はお前にとって、お望みの人間だったか?」「……ああ、ずっと探していた」その過程でリオは、追い続けてきた憎き男との邂逅を果たす!!

一難去ってまた一難.森の魔物を退けたあとは街での休息と思いきや,やはりそうそう平穏は訪れないですね.

過去に登場した人物が前巻で再登場して今巻でもしっかり活躍するということがサービスっぽく感じて嬉しかったですし,勇者のウザさや女性キャラクターたちの可愛さなどがますます増してパワーアップを感じました.

思惑がたくさんある以上大人の考え方はたくさんあるもの.この作品は謝罪や貸し借りなどの機微が丁寧に描かれているのでそれがしっかり異世界での生活や文化の魅力を増しています.

因縁の敵との邂逅でますます深みが増した物語の行方も気になりますね.

あくまで冷静にそれでいて愛らしいキャラクターたちの行く末を見守りたいと思います.


感想 『Re:ゼロから始める異世界生活 12』 悪意の意義


悪意の意義

あらすじ・内容

大人気Web小説第12弾!

繰り返すたび、記憶と異なる展開を見せる『聖域』――四度目の機会を得たその場所で、スバルはついにあってはならない存在、『嫉妬の魔女』との邂逅を果たす。影に呑まれる集落、敵であるはずのガーフィールの助力、実験場と呼ばれた『聖域』の真実。――そして、白い終焉を迎える世界でスバルの覚悟を嘲笑う魔人。希望に裏切られ、真実に絶望し、それでも未来を諦められないスバルは魔女との再会を求めて墓所へ臨む。そこでスバルは、『ありうべからざる今』と対面し――。「――もう、立てなくなってしまいましたか? スバルくん」大人気Web小説、期待と裏切りの第十二幕。――置き去りにした世界の、声を聞け。

いくつもの死に戻りを経て最善を探していくのが本作の醍醐味なんですが,今回はその死に戻りループそのものがそのままテーマになったかのような流れでしたね.

実に様々な場所・時・人が複雑に絡み合った今回のシチュエーションの解決は非常に興味深いのですが,主人公の能力の根底と世界の有り様の広げ方の方向性のような提示もなされていたのでワクワクしますよね.

様々な思惑によって移り変わるシチュエーションもハラハラドキドキな展開ですし何よりも良い意味でキャラクターがしっかり暴れているので読んでいて楽しかったです.

そしていよいよ集合する悪意の塊のような魔女集団……バケモノ達に囲まれた主人公の命運が気になりますね.


感想 『異世界料理道 10』 思惑交差する街と森


思惑交差する街と森

あらすじ・内容

領主・サイクレウスとの話し合いが混迷を極める中、新たに浮上した因縁“赤髭党”とその生き残りであるジーダ。何らかの突破口を探しながらも屋台を続けるアスタたちの下に飛び込んできたのは、森辺の民の格好をした何者かが狼藉を働いているという情報で……。新メニューも続々登場! 大人気異世界料理ファンタジー、大台の第10巻!

新メニュー開発や許せない悲劇の発生など見どころたっぷりの今巻.

人間関係もググっと進んでそこも読み応えがありますね.

主人公は自分の料理道をただひたすらに突き進むだけですがそれに付随する富や数奇な運命で出会った人々に翻弄されている図.

陰謀の種や過去の事実が積み重ねられて現在のいろいろな思惑の真意に繋がっている感触がスッキリする構成になっていますね.

新素材の開拓や新たな販路など料理側でも伏線がたくさんあるので今後はそこにも期待したいところです.


感想 『リア充になれない俺は革命家の同志になりました 1』


スクールカーストという残酷で美しい題材

あらすじ・内容

スクールカースト最下層に位置する白根与一は廃部をハンストで抵抗する部員の監視役として図書部に入るよう命じられる。部室では、純真可憐な美少女・黒羽瑞穂が待っていた。その姿に反し、彼女の口からは過激思想発言が止まらない。その中の一つ、スクールカースト粉砕計画に白根は心を動かされ、気がつけば彼女の理解者に? カースト一軍のリア充で黒羽の幼馴染み中禅寺さくらを交え、おかしな図書部の活動が始まる!?

スクールカーストを体制側の一つの問題として扱いながらもそれによって翻弄される少年少女の一喜一憂をコミカルに描いた作品でした.

特殊な単語がたくさん出てきますが主人公のツッコミスキルが優秀なのでとくに引っかからずにスラスラ読めました.

この頃の時代って小さなほころびでも人間関係や生活に大きな傷を負いやすい……だから愛しいと感じるまさに黄金時代なんですよね.

ヒロインがピーキーなんですが宇宙人に感じることなくあくまでこの時代をもがき苦しんで進んでいる一人の女の子に見えたのでそこの造形も良かったです.


感想 『俺たちは異世界に行ったらまず真っ先に物理法則を確認する』


高専生のドヤ顔

あらすじ・内容

これは、後に魔法技術の礎を築き上げた賢者たちの物語――。

高等専門学校、高専に通う幸成たち12名の学生たちが目を覚ますと、そこは異世界でした。ロボコペ優勝を目指してガレージで徹夜作業をしていたはずの彼らが、まず行ったのは……物理法則の確認! 摩擦、空気抵抗、重力、電気抵抗と、自分たちの知識を駆使して、その土地を調べ上げるメンバー。ひとまず生命が活動することができることを確認した彼らは、これから始まるサバイバル生活に落胆することしかできず……。しかし、森で廃棄されていた魔道具【マジックアイテム】を拾ったことで、彼らの運命は大きく動き始める――!

オタクなどのマイノリティーに属している側の人間はたまに周りに発散してもらいたくなるものです.

持っている知識を思う存分に開陳したい,そして自分に最大限注目して理解して認めてほしい……こんな欲求です.

この作品はそうした欲望が合致した人にとってはかなりの精度で満たされるようにできていますね.

それぞれのキャラクターの苦悩もそれに即した内容になっていてシンパシーを感じやすくなっていて丁寧な作りです.

次の展開でどんな知識が披露されるのか,そんな楽しみ方が出来そうですね.


感想 『ソードアート・オンライン 19 ムーン・クレイドル』 悲劇と希望は続いていく


悲劇と希望は続いていく

あらすじ・内容

《アリシゼーション編》最後を飾るエピソード!

アンダーワールドは、三百年に及ぶ争乱の果てに、ついに一つになった。どこからともなく現れた、たった一人の《ベクタの迷い子》が暗黒の神を倒し、この世界に平和をもたらしたのだ。しかし、そんな人界の中枢、白亜の塔《セントラル・カセドラル》にて――。《整合騎士見習い》へと昇進したロニエ・アラベルは、人界の最高意志決定者《代表剣士》キリトから、衝撃的な言葉を耳にする。「――いずれもう一度戦争が起きる」 《アンダーワールド大戦》のその後を描いた《アリシゼーション編》最後を飾るエピソード!

結末のさらにその後にはまだまだ問題があって……という感じの巻.

キャラクターのその後が描かれるのが純粋に嬉しかったですし,またミステリー風になっているのでトリックを想像して楽しめる点も良かったです.

主人公はとんでもない力を持っていますが一人の力ではなんともならないことを皆で考え,苦悩しながら進むさまが見ていてハラハラドキドキを生んでいて素晴らしいですね.

陰謀を暴き新たな謎が次々に現れ,そして次なる陰謀が見え隠れしています.

彼らがどのようにそれに挑み,失敗し,それでも何かをつかむのかを楽しもうと思います.


感想 『ソードアート・オンライン18 アリシゼーション・ラスティング』


集結し決着することの意味

あらすじ・内容

ついに≪アリシゼーション≫、完結!

「――キリトくんだ。わたしのキリトくんが、帰ってきた……」  ≪アンダーワールド≫全土が混沌と化す、≪最終負荷実験≫の二日目。≪人界軍≫最強の整合騎士ベルクーリ、スーパーアカウント・太陽神ソルスを持つシノンを打ち破ったガブリエルは、≪ワールドエンド・オールター≫を目指すアリスを追う。一方、圧倒的な数の≪暗黒騎士≫に包囲された≪人界軍≫囮部隊の戦場では、アスナの奮闘、リズベットやシリカらの助力虚しく、ついに自失状態のキリトが、ラフィン・コフィンの残党≪PoH≫につかまってしまう。積年の恨みを晴らさんと、PoHの毒牙がキリトに迫り―― 瞬間。キリトのこころの中に、声が響いた。それは、共に暮らし、戦い、笑いあった彼の親友の声。たった一人の、最高の相棒の声――。ついに、キリトは復活する。アンダーワールドに生きる≪すべて≫を、救うために。

長大な章の一つの終焉を見ました.

リアルと仮想世界,目まぐるしく変わる状況と戦いの最中にふと訪れる人間味の深さ.

すべてが合流して流れていく大きなうねりの展開できれいに着地してエンターテイメントを感じる幸せな時間を過ごせました.

キャラクターも新旧勢揃いでとても嬉しかったですし,敵側もとにかく濃くて飽きなかったです.

アリシゼーションの1巻目のシーンが最後にはありありと思い浮かべることができたのでジーンとなりました.

願わくば新たな希望と永久に続く冒険に乾杯を……キリトくんには安らかなお休みを……


感想 『アクセル・ワールド 21 -雪の妖精ー』 壮絶な戦い,白黒決着す


壮絶な戦い,白黒決着す

あらすじ・内容

《代々木公園地下迷宮》の女神ニュクスとの戦いを描いた劇場公開アニメブルーレイ、絶好調発売中!!

ホワイト・コスモス率いる《白のレギオン》の領土に攻め込んだスカイ・レイカーやブラッド・レパード率いる新生《黒のレギオン》。しかしそこで待ち構えていたのは、加速世界から退場したはずのバーストリンカー、オーキッド・オラクルによる心意攻撃《領土戦の無制限フィールド化》だった。謎の現象に危機感を抱いたシルバー・クロウは、メタトロンと共に最高度情報領域《ハイエスト・レベル》に移行、状況を把握しようとするが、そこに、突如新たなアバターが出現する。白のレギオン《七連矮星(セブン・ドワーフス)》の一人、スノー・フェアリー。そのF型アバターは、メタトロンとハルユキの精神的接続を断たんと攻撃を仕掛けてくる。一方、《無制限フィールド(ミーン・レベル)》のスカイ・レイカーたちは、白が仕掛けた死の《罠》――《無限PK》による加速世界からの一斉退場――に嵌まりつつあった。窮地に立たされた仲間たちを救うべく、ついに黒雪姫とニコが駆けつける――!

どんでんにつぐどんでん返しと伏線のオンパレード.

伏線も追加されては回収されて目まぐるしく変わる状況にハラハラしっぱなしです.

とんでもなく綿密に練られた罠を知恵と勇気で突破する快感とまだまだ底を見せない敵の計り知れなさが見事に調和する構成も素晴らしい.

どんな状況でも前に進んでいこうとするキャラクター達見てるとアツくなりますし少し等身大で人間臭いキャラからビクともしない超人じみたキャラまでいて実にいろいろな楽しみがあります.

そして最後のオチもなんともワクワクする終わり方.今から楽しみでしょうがありませんよ!