過去との邂逅
それぞれの過去を具体的に描くことでそれぞれのキャラクターが抱えているものの大切さだったり,妄執だったりなところが浮き彫りになった巻でした.
お話的にも強大な力を持った新キャラがバンバン出てきてど派手で面白かったし,面と向かっても舌戦も見どころです.
この作品って助走がとてもうまくてクライマックス間近のお膳立てがこの巻でようやく揃うこともあり,盛り上がりがすごかったです.
過去と邂逅した今,次は現在と未来がどう描かれていくのか.楽しみですね.
悪意の意義
あらすじ・内容
大人気Web小説第12弾!
繰り返すたび、記憶と異なる展開を見せる『聖域』――四度目の機会を得たその場所で、スバルはついにあってはならない存在、『嫉妬の魔女』との邂逅を果たす。影に呑まれる集落、敵であるはずのガーフィールの助力、実験場と呼ばれた『聖域』の真実。――そして、白い終焉を迎える世界でスバルの覚悟を嘲笑う魔人。希望に裏切られ、真実に絶望し、それでも未来を諦められないスバルは魔女との再会を求めて墓所へ臨む。そこでスバルは、『ありうべからざる今』と対面し――。「――もう、立てなくなってしまいましたか? スバルくん」大人気Web小説、期待と裏切りの第十二幕。――置き去りにした世界の、声を聞け。
いくつもの死に戻りを経て最善を探していくのが本作の醍醐味なんですが,今回はその死に戻りループそのものがそのままテーマになったかのような流れでしたね.
実に様々な場所・時・人が複雑に絡み合った今回のシチュエーションの解決は非常に興味深いのですが,主人公の能力の根底と世界の有り様の広げ方の方向性のような提示もなされていたのでワクワクしますよね.
様々な思惑によって移り変わるシチュエーションもハラハラドキドキな展開ですし何よりも良い意味でキャラクターがしっかり暴れているので読んでいて楽しかったです.
そしていよいよ集合する悪意の塊のような魔女集団……バケモノ達に囲まれた主人公の命運が気になりますね.