「感想」カテゴリーアーカイブ

感想 『ノーゲーム・ノーライフ 9 ゲーマー兄妹は一ターン休むそうです』 


機械たちの重い愛

大人気異世界ファンタジー第九弾!

ついに神霊種を降した空と白たち。拡大を続けるエルキア連邦に全世界が警戒感を深め、国内外の緊張が高まる――が……それは置いといて城には『休業中』の札が吊るされていた。“最も新しき神話”は一ターン休み!?

メイドロボやメイドホモに迫られまくってさぁ大変という至って真面目な巻でした.

色々表現やイベントがコミカルでライトに描かれているものの,締めるシーンではさすがの勢いでとても深く唸れる作品ですね.

新キャラの機械たちも生き生きしていていい意味で壊れているのでそれが雰囲気づくりとして心地よかったです.

ロリアイドルのシーンも満足.もっとカラーで見たいです.

作者は他にも仕事を抱えまくっているみたいなので次がいつになるかわかりませんが,本編の続きが気になりますね.


感想 『イグニッション・ブラッド』 鮮血の激闘


鮮血の激闘!

あらすじ・内容

人類の存亡をかけた戦場で、若き英雄の銀刃が閃く――!!

かつて吸血鬼と呼ばれた種族〈至高の血族〉――彼らに対抗する部隊エクイテスに所属する十影は、圧倒的な戦闘力をもって至高の血族を畏怖させる若き英雄だった。だが、異端の少女との出会いが彼の運命を一転させる!

種族感の確執とロマンスとバトルが見事にバランス良く配合された物語でした.

キャラクターも女性陣は生き生きとしてますし,男性陣もひとクセもふたクセもありそうな塩梅でこれから先も波乱が起きそうです.

テーマ的にはもう少し敵陣営の背景を濃く描いてほしかったですね.

人間と吸血鬼の種族を超えた絡みと,そこで生まれる軋轢なんかも楽しめそうです.

そういう意味ではダブルヒロインみたいな構成はなかなかうまいですね.片方が弱過ぎるのが気になりますが……
今後もバランス良い展開を期待します.


感想 『テンプレ展開のせいで、おれのラブコメが鬼畜難易度』


随所にテンプレ哲学を感じる

あらすじ・内容

この恋は、テンプレすぎて新次元。

結野奏汰は幼なじみに恋する普通の少年。ところが突然降臨した『テンプレの神様』の加護により、お約束ラブコメ展開で想い人と急接近……できなくて!? さらに自称許嫁が押しかける、望まぬラブコメの幕が開く!

作者の前作の心地よいテンションのキャラクターはそのままに,色々なテンプレシチュエーションをある意味批判的にネタにしてポンポン出していく展開は爽快です.

テンプレートはテンプレートだと思われるまでが“お約束”なのか,そうではなくその安定感こそが求められているものなのか……しかし誰しもがテンプレートをテンプレートだと思わない時代があったはずです.
(例えば初見で空から女の子が降ってくる展開はやっぱり新鮮に感じるはずですよね)

そんな時代から“色褪せない”のもテンプレートの魅力なはずで,それがなんとも哲学的に感じるんですよね.

ただ一つ言えるのは,どんなテンプレ展開だとしてもキャラクターたちは一人一人必死に動いているということで,それが物語にちゃんと華を添えていることです.

ヒロイン二人はどちらも違った魅力があって甲乙付けがたいのですがやはり幼馴染を応援してしまいます.

今後はまた違ったテンプレ展開が楽しめそうな作品なので期待しています.


感想 『非オタの彼女が俺の持ってるエロゲに興味津々なんだが…』


エロゲへの信念

あらすじ・内容

私をあなたの……奴隷(カノジョ)にしてほしいの

エロゲ好きの高校生・一真は、学校一の秀才にして、美少女優等生の水崎萌香に告白される。しかも、萌香は一真好みの『ヒロイン』になるため頑張ると宣言!? 「私を……調教してくれる?」 これ、なんてエロゲ?

主人公がエロゲへの愛をもっておいしいシチュエーションに待ったをかけるお話でした.

キャラクターはどれも可愛く生き生きとしていてきれいに描かれていて悪い人がいない優しい世界でした.

それだけにもう少し後半の盛り上がりもハード目の展開にしてほしかったのが好みとしてはありました.

あとはどれだけ主人公が魂込めて趣味に燃え上がれるのかをもっと読んでみたかったですね.


感想 『終末なにしてますか?もう一度だけ、会えますか?(#02)』  次々と迫りくる終末の気配


次々と迫りくる終末の気配

あらすじ・内容

〈聖剣〉セニオリスに適合したラキシュは眠れぬ夜を過ごす――。

〈獣〉の浸食により死にかけた都市ライエル。その外れの森で新たに発生した妖精の子供2人は、リンゴ、マシュマロと名づけられた。
「ふぇどーるーっ!」「ふぇどるー」
「まったく、どうして僕なんかに懐いてるんだか」
ぼやくフェオドール四位武官に、ラキシュは悪戯っぽい笑顔を返す。
彼女らと過ごす日々の中、フェオドールは自らの想いを告げることを決めるが、そこに〈十一番目の獣〉(クロワイヤンス)の『小瓶』が落とされる……。
新シリーズ、第2弾。

少女たちの矜持と嘘つきだけど優しい少年の想いがぶつかるシーンがなんとも切ないですね.

主人公のフェオドールが奇跡みたいなバランス感覚で生きていて見ていてヒヤヒヤします.

ヒロインたちもとんでもない爆弾を抱え,その自己犠牲にも似た精神性も危うく,それが笑っていても幸せそうにしてもなおにじみ出る切なさにつながっていて素晴らしいです.儚い.

そして前作のキャラクターがどんどん出てきてとても嬉しいです.

ファンサービスもあっていい感じの雰囲気を楽しめるのでいい意味で世界観を満喫できてるといえます.
次巻の展開にも期待したいですね.


感想 『殺人探偵・天刀狼真』  探偵でも開けない夜はない


探偵でも開けない夜はない

あらすじ・内容

「バ ケモノ専門の探偵だ。疑ってんならググれカス!」 人間の姿をした人間ならざる者『ホロ』と共存する白瑠璃市(しろるりし)。 「天刀狼真(アマトウロウ マ)」は姉を殺すことを目標に生きる、怪事件専門の探偵。 彼が白瑠璃市の路地裏にある寂れたバーへ足を運ぶと、そこで複数の惨たらしい死体を発見する。  同日同時刻。ギャング組織「クロノス」のリーダー「黒野弥人(くろのやひと)」は、生まれてから一度も外の世界に触れたことがないという不思議な少女、 「姫川蛍(ひめかわほたる)」と出会う。 狼真と黒野。やがて二人は邂逅することになる――。 殺人事件の犯人と姫川蛍の謎に迫るため、ゲス探偵とお人好 しギャングが、近未来都市を舞台にバカ騒ぎ! 痛快バディミステリー! ――市長は、擬似人格CPU?

人ならざる者同士のバトル&ミステリー.

丁寧な群像劇のような作りでそれぞれのキャラクターが抱えている過去なや想いがストーリーへとても深みを与えていました.

そのため,誰が主人公でどう解決するかのようなそういう感覚がなく,ある種の雑多なそれでいてスピーディーな展開になってます.ストレスはありません.

CPUでAIな市長がいい感じに狂言回しポジションでしかも一番人間味があって面白かったです.

話が進むにつれてどんどん明らかになる謎と新しい驚きを楽しみながら,キャラクター同士の新年のぶつかり合いとバトルを楽しむ,いい感じにエンタメ小説でした.


感想 『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』 命がそこに在る奇跡


命がそこに在る奇跡

あらすじ・内容

初恋相手「翔子」と中学生「翔子」。ついに明かされる「二人の翔子」の秘密とは――? シリーズ第6弾!

「ふ たりはいつから同棲してるの?」 こたつを囲んで左には初恋相手の翔子、右には現在進行形でおつきあい中の麻衣。クリスマスまで1ヶ月をきったその日、や むなく始まった翔子との同居生活が麻衣にばれ、咲太は人生最大の窮地に立たされていた。そんな中、中学生翔子が病状の悪化により入院していることが発覚す る。「おとなになることは、わたしにとっての夢でした」 そう語る翔子の運命は――。麻衣と咲太の仲に入った亀裂の行方、そしてついに解き明かされる「大 人翔子」と「中学生翔子」の秘密。空と海に囲まれた町で始まる僕らの恋の物語、緊迫のシリーズ第6弾がついに登場!

青春とはその言葉を知っていても本人たちが本当の意味で実感するのは青春じゃなくなってから……という残酷さと命の大切さが見事にテーマとして融合していました.

大切な時代だからこそ大切な想いや悩みやなによりも成長がそこにあります.

親友や恋人……そして初恋の人などとの関係が不思議な現象とからまってより強調されていて,その強烈な色鮮やかさの中でものすごいドラマが淡々と進行するすごい作品です.

キャラクターたちも今までにないような表情をそれぞれが見せていて,ようやく腹割ったといった印象です.それがグッと魅力を増してみせるんですよね!

そしてこの強烈なラストは健在です.

次の巻を読むまでは絶対に死ねませんね.


感想 『ストライクフォール』 兄弟の夢の軌道速度は


兄弟の夢の軌道速度は

あらすじ・内容

SF 界の俊英、ガガガ文庫に電撃参戦!近未来、人類は宇宙に進出し、惨禍のはてに戦争をやめた。……いや、正確には、形を変えた。代理戦争として発展した宇宙 競技、ストライクフォール。広大な宇宙をフィールドに、敵のリーダーを屠るべく戦うチーム闘技に人々は熱狂した。万能の泥、チル・ウエポンによって作られ たストライクシェルに身をつつみ、プレイヤーたちは宙を駆ける。故郷のため、栄誉のため、家族のため、あるいは己が夢のために……。鷹森雄星も、ストライ クフォールに魅せられたひとりだ。弟は、トップリーグでのプロデビューが決まった若き天才、鷹森英俊。幼なじみの環のやさしさに見守られながらも、雄星は 宇宙を目指すが――。「知ってるか、兄貴。宇宙では、あらゆるものが落ちている最中なんだ。――落ち続けるなら、オレはほしいものを手に入れる」なら、翔 ぶ。翔んで、宇宙に手を伸ばす。これは、宇宙を「掴む」兄弟の物語。SF界の俊英が放つ新たなライトSFエンタテイメント!

速度と挫折と矜持が織り成す宇宙スポーツエンターテイメント作品の金字塔になりそうな作品でした.

キャラクター同士の人間ドラマやスポーツ特有の力と駆け引きに支配されたあの感覚,更には重厚な描写に支えられたリアルな質感.
どれをとっても素晴らしかったです.

後半の怒涛の展開が何度読んでも胸が熱くなります.

引き合うように視線が自然と空に惹かれた二人の兄弟とそれを見つめる幼馴染の瞳……しかし運命が彼と彼女たちを待ってはくれない……といったような叙情的な展開もバランスが良く,またバトルの中にリアルで残虐的な暴力とスポーツ感あふれる爽やかさが内在化していて読んでいてとても気持ちよかったです.

続きが気になる!のもそうなんですが,主人公がこれからもどう無謀に突き進むのか,ヒロインたちの恋の行方といろいろ楽しみ要素満載なのでぜひ続いて欲しいですね.


感想 『黒の召喚士 1』 古今東西気苦労の絶えない召喚士


古今東西気苦労の絶えない召喚士

あらすじ・内容

この男――戦闘狂にして最強!!!
クセになる爽快感! 痛快“成り上がり”バトルファンタジー

見 知らぬ場所で目を覚ました男には、ここがどこなのか、自分が誰なのか、全く記憶がなかった。ガイド役に尋ねてみると、異世界へ転生する権利を得た自分が、 前世の記憶をすべて引き換えにしてレアスキルを獲得、“召喚士ケルヴィン”として転生を果たしたらしい。しかも、この世界の女神メルフィーナまで配下に従 えており――!?
そして、始まる冒険者ライフ。『古城の悪霊騎士』『潜窟の悪魔』――次々に現れる強敵を前に自然とこぼれる笑みは、まさにバトルジャンキーの証だった!!
黒のローブを身に纏った重度のバトルジャンキーが、仲間と共に“英雄”へと成り上がる爽快バトルストーリー、堂々の開幕!!

戦っては仲間を増やし,ワイワイやっていくスタイル,嫌いではないです.

戦闘描写もしっかりしているしヒロインたちも可愛いです.

ただやはりスキル性の世界観だとそのスキルそのものがわちゃわちゃしてしまって頭に入ってこないですね……いろいろ気にしてしまうとダメかもしれません.

ジェラールという騎士の幽霊?がお気に入りです.もっと見せ場があってもいいかと.

今後はどんなモンスターやキャラクターが出てくるのかというところにも注目したいですね.


感想  『楽園への清く正しき道程 3(庶民出身の国王様がまたご愛妾を)』 淡い恋心が結ぶ縁


淡い恋心が結ぶ縁

あらすじ・内容

野村美月のファンタジー・ハーレム(予定)コメディ、錯綜する第3弾!!

可 愛いお嫁さんを迎えたのに、王妃との間に世継ぎの男児が誕生するまではいちゃいちゃ禁止と申し渡されてしまったルドヴィーク。そんな中、国王を敬愛する女 騎士エヴァリーンに縁談が持ち上がる。結婚したら国王様の騎士ではいられないと思い詰めた彼女は、フロリンという強力な助っ人を得て、思いを伝えるべく大 奮闘! また幼なじみのエヴァリーンの結婚話に焦った公爵令嬢のテレーゼも暴走し――!?

それぞれのキャラクターが秘めていた想いが,発散するところはされて,拗れるところは拗れて,また更に溜め込まれたものは濃くなっていった今巻でした.

メインヒロインの暗躍とも言える活躍で展開が進んでいたこのシリーズですが,主人公もしっかり成長し,また周りに恵まれることによってかなり積極的に行動していけるようになった様が見れた巻でもありましたね.

貴族平民といった理解しやすい要素と,女心や陰謀などといった要素が絡んで物語に深みが増していました.

そして女性キャラクターが本当に魅力的でたまりません.
あのキャラクターが今回こんなに可愛くなるとは!

後半の急展開には驚きましたがそれもまたスパイスととらえたいですね.