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感想 『殺人探偵・天刀狼真』  探偵でも開けない夜はない


探偵でも開けない夜はない

あらすじ・内容

「バ ケモノ専門の探偵だ。疑ってんならググれカス!」 人間の姿をした人間ならざる者『ホロ』と共存する白瑠璃市(しろるりし)。 「天刀狼真(アマトウロウ マ)」は姉を殺すことを目標に生きる、怪事件専門の探偵。 彼が白瑠璃市の路地裏にある寂れたバーへ足を運ぶと、そこで複数の惨たらしい死体を発見する。  同日同時刻。ギャング組織「クロノス」のリーダー「黒野弥人(くろのやひと)」は、生まれてから一度も外の世界に触れたことがないという不思議な少女、 「姫川蛍(ひめかわほたる)」と出会う。 狼真と黒野。やがて二人は邂逅することになる――。 殺人事件の犯人と姫川蛍の謎に迫るため、ゲス探偵とお人好 しギャングが、近未来都市を舞台にバカ騒ぎ! 痛快バディミステリー! ――市長は、擬似人格CPU?

人ならざる者同士のバトル&ミステリー.

丁寧な群像劇のような作りでそれぞれのキャラクターが抱えている過去なや想いがストーリーへとても深みを与えていました.

そのため,誰が主人公でどう解決するかのようなそういう感覚がなく,ある種の雑多なそれでいてスピーディーな展開になってます.ストレスはありません.

CPUでAIな市長がいい感じに狂言回しポジションでしかも一番人間味があって面白かったです.

話が進むにつれてどんどん明らかになる謎と新しい驚きを楽しみながら,キャラクター同士の新年のぶつかり合いとバトルを楽しむ,いい感じにエンタメ小説でした.


感想 『愚者のジャンクション -side evil-』 復讐の哲学


光と闇の不安定さ,そして復讐の哲学.

あらすじ・内容

その事故は、起こるべくして起きた。すべての真相が明かされる『解決』編!

なぜ、十文字はエーミールになれなかったのか。事件のスター ト地点はいったいどこにあったのか。物語を解明する『役割』は――名探偵にはない。起こるべくして起きた事故を、真の探偵である彼は周回遅れで目撃する。 “事件”の全容を目撃せよ。

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ヘルマン・ヘッセやハンブラビを軸におきなから少年少女の葛藤と陰謀,想定外と工夫が描かれていて最高にクールな作品に仕上がっています.

前半巻で描かれていた事件が後半違う側面を持って全く違う表情になり,完成するさまのカタルシスが素晴らしい.

“周回遅れで目撃する”という表現が妙に腑に落ちてしまうのと気持ち悪さと青春の爽やかさが謎の融合と化学反応を見せていてとにかくすごいです!

彼と彼女が何に間に合って何に間に合わなかったのかは読んでみてほしいのと,前巻読んでこの巻読まないのはとにかくもったいないです.

完結っぽいのが残念ですが一クセも二クセもあるキャラクター,悪党たちが今日もどこかで笑いながら謳歌していると考えつつ,次の作品にも期待したいと思います.


感想 『愚者のジャンクション(side friendship)』 来たるべき復讐を描くスクールサスペンス


恐るべき筆致と来たるべき復讐を描くスクールサスペンス……

あらすじ・内容

『悪党』は誰か――その復讐は、伝染する。耳目口司、衝撃の問題作!

「この学園の悪党に復讐を」都内有数の進学校に書かれた”エーミール”による復讐声明。『飼育部』の十文字は、惨殺された後輩の無念を晴らすべく犯人=エーミールの謎を追うが!? 本当の悪党を知るとき、彼は――

 

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淡々と進む展開がどんどん加速していって最後のクライマックスではページをめくる手が止まりませんでした.

絶対の友情という新しい法が生んだ復讐の鬼.

どこか人間離れしたキャラクター達は,やっぱりどこか人間らしい気もします.

ぶっ飛んでる奴らをしっかり作品の枠にはめて見事に描ききっています.
素晴らしい!

しかしこの終わりは卑怯です.次の巻もすぐに読まねば……


感想 『緑陽のクエスタ・リリカ 魂の彫塑』 正統派シティアドベンチャー


学園モノかと思いきや,正統派なシティアドベンチャーが始まりました.

あらすじ・内容

英雄になれなくても、誰かのための勇者になれる。

魔術の才能がからっきしな少年、ジゼル。《識者達の学院》を自主退学した彼が目指すのは、冒険者だった。手始めに冒険者の集う酒場へと赴いたジゼルだったが、とある事件に巻き込まれ依頼を受けることに……。

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一つ一つの繊細かつ正道な謎解きと,ファンタジーバトル,駆け引き.

またガジェットもシンプルながらもこだわりも感じるし,キャラクターもいきいきとして芯が通っているのが良かったです.

落ちこぼれなのに,考えることをやめない主人公のあがきが応援したくなるし,また抱えた過去と向きあうキャラクターたちが魅力的に感じました.a

まだまだ展開が進められそうな要素が多いので楽しみです.