「感想」カテゴリーアーカイブ

感想 『この世界がゲームだと俺だけが知っている 1』 バグと困難の哲学


バグと困難の哲学

あらすじ・内容

迫りくるバグ! 襲いくる理不尽! そして、それを覆す圧倒的台無し策!!

“ぼっち”ゲーマーの相良操麻(さがらそうま)はある日、悪名高いバグ多発ゲームの世界に入り込んでしまう。
「理不尽」と「運営の悪意」を具現化したような通称<猫耳猫>の世界でバグ仕様を逆手にとったソーマの冒険がはじまる!

 

困難は困難であればあるほどひっくり返したときが最高……まさにそれ!

ゲームの世界に転生というたまにあるシチュエーションですがそこは悪意の塊のようなとんでもないイベント,キャラクター,アイテム……そしてバグのオンパレード.

そんな中でも主人公は芯を持って行動し既知であってもちゃんと慌てたりわいわいやる様子が本当にこのゲームが大好きだということが伝わってきてかなり好感が持てました.

他のキャラクターも生き生きとしていながらも“ゲームのキャラクター”であるという個性を残している点に注目ですね.役割をこなしてしっかり物語を回していく役目といいますか,そのバランス感覚が良いです.

舞台を変えてまだまだ波乱が待ってそうです.

バグ使いの今後の素晴らしい冒険を祈っていこうと思います.


感想 『骸骨騎士様、只今異世界へお出掛け中 6』 天騎士の畏怖


天騎士の畏怖

あらすじ・内容

スキル発動――天騎士の本領が王国を揺るがす!

圧倒的な力を人助けに役立ててきた骸骨騎士のアーク。拠点の社からエルフ族の里に戻ったアークは、精霊獣のポンタ、ダークエルフの美女戦士アリアン、獣耳忍者少女チヨメに、疾駆騎竜(ドリフトプス)の紫電を加え、チヨメの兄弟子サスケの真意を探るべく「ヒルク教国」へお出掛けすることになる。
同じ方面に向かうエルフ族の船に便乗したアークであったが――無愛想なエルフと一触即発! 船室で仲間の着替えシーンに遭遇!! 海岸では上陸拒否――!? と、波乱含みの船旅に。
なんとか上陸できたアークは、道中で蜘蛛の化け物に襲われる馬車に遭遇。人外じみた力で化け物を倒し、ノーザン王国第一王女・リィルを助け出す。
そしてアークは、不死者(アンデッド)の軍勢から王都を救ってほしいとリィルに依頼され……!?
「天騎士の本領を見せてやろうぞ!!」
ついにアークの秘められたスキルが発動する――!

天騎士の畏怖
始終とんでもなバタバタに巻き込まれながらの旅道中で,国がとんでもない目にあっているのにドタバタ部分が深刻さを和らげて読みやすくなっていますね.

新キャラクターの王女様もロリで凛々しい良い感じの造形になっているので純粋に応援する気になれます.

主人公の見せ場が後半あるんですがヤバすぎて俺つえーのテンプレとして気持ちがいいですね.

ただ見せ場のところで急にこの巻が終わるので全体として不完全燃焼な印象に.

敵はまだまだ秘密裏に隠し玉がありそうですし,主人公の強さもそこしれないので一層バトルが熾烈化していきそうですね.


感想 『やがて恋するヴィヴィ・レイン 3』 裏切りと恋の夜


裏切りと恋の夜

あらすじ・内容

ルカは皇位継承を巡る闘争へと巻き込まれ…。

ウルキオラ暴動から三年……。神聖リヴァノヴァ帝国においてルカはジェミニらと共に帝国最強の独立混成連隊として勇名を馳せていた。ルカの編み出した新戦術は三次に及ぶ「ドル・ドラム戦役」においてその威力を発揮し、帝国軍総司令官ヴラドレン皇太子はルカに作戦会議への参加を許可する。
だが皇帝の血を引くジェミニも皇太子を排除すべく暗躍を開始、ルカは皇位継承を巡る闘争へと巻き込まれる……。

「子どもだった。見た夢が幼すぎた。あの約束は世界を破壊してしまう」

「飛空士シリーズ以上!」との声も上がってきた、魅力的なキャラクター設定で圧倒的話題の一大軍事戦記。さらにさらに加速する恋と会戦の物語、第三巻。

戦術は兵力を凌駕するのが常ですね.快進撃が止まりません.

戦争で活躍することで中央に入り込めたルカとジェミニですがそこはとんでもなくクセの強いキャラクターたちがひしめく魑魅魍魎の巣です.

再開の約束,現場にいるキャラクターたちの想い,そして裏切り……大胆な構図と駆け引きが見事な演出になっていて大きな大局のうねりとしても素晴らしいです.

主人公のルカは優秀なのですが決定的に運命に翻弄される宿命にあるので周りがほっとかずこれからも激動の人生を歩みそうですね.

そして王女との約束.

次巻も時代の大きな転換点で少年少女たちがどんな波乱を巻き起こして相対するのか見届けたいと思います.


感想 『ゴブリンスレイヤー 5』 かくも過酷な冒険なり


かくも過酷な冒険なり

あらすじ・内容

シリーズ累計50万部突破!
蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー第5弾!

「…………取り戻さないと」
「……何を、ですかな」
「すべてを。喪った物を、すべて」
ゴブリン退治から消息を絶った令嬢剣士を探して欲しい――剣の乙女の依頼を受けて、北方の雪山に向かうゴブリンスレイヤーたち一行。
しかし、襲撃される寒村、謎の礼拝堂、今回のゴブリンの群れに違和感を覚えるゴブリンスレイヤー。
「……学習した、だと?」
仲間の痛手を越えて洞窟探索を終えた一行は、あるものを見つける。
「外なる、智恵の神。覚知神……」
何者かに統率されたゴブリンの巣くう古代の砦にゴブリンスレイヤーたちが挑む!
蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー第5弾!

ゴブリンスレイヤー5
この世の邪悪を詰め込んだゴブリンという種族ととにかく対峙していくこのシリーズ.

冒頭からしてエグい.しかし当然だという納得感もあります.

冒険者による冒険はどれだけの敵,自分たちの作戦や準備があったとしてもリスクはゼロにできないという1巻の頃からの哲学は残しつつ,同じく原点回帰というかヒロインの一人である女神官のルーキー時代と新キャラクターを対比させることで成長も描いていましたね.

キャラクターたちは絶望的な状況でも明るくポジティブに笑顔を作っています.

その理由もしっかり描写することでそれは経験と技術に裏付けられた確固たる強さであることが読んでてありありとわかりました.

まだまだ裏ではたくさんの設定がありそうな伏線もはられていたので今後の展開も目が離せなさそうですね.


感想 『とんでもスキルで異世界放浪メシ 1 豚の生姜焼き×伝説の魔獣』


何でもありの通販

あらすじ・内容

――その男、異世界の胃袋を鷲掴み!!

現代日本から剣と魔法の異世界へと召喚された向田剛志。どんな大冒険が待っているのかと思えば、実はムコーダは「勇者召喚」に巻き込まれただけの一般人だった! そんなムコーダの初期ステータスは正規の勇者(3人もいる!)に比べてかなりしょぼい……。さらにムコーダたちを召喚した王国がうさん臭く、「あ、これ勇者を利用しようとするやつだ」と察して一人城を出るムコーダ。この異世界でムコーダが唯一頼りにできるのは固有スキル『ネットスーパー』――現代の商品を異世界に取り寄せられるというものだけ。戦闘には向かないが、うまく使えば生活には困らないかも? と軽く考えていたムコーダだったが――? 実はこのスキルで取り寄せた現代の「食品」を食べるととんでもない効果を発揮してしまうことが発覚! さらに、異世界の食べ物に釣られてとんでもない連中が集まってきて……!?
「小説家になろう」年間1位のとんでも異世界冒険譚、ついに登場!

とんでもスキルで異世界放浪メシ 1 豚の生姜焼き×伝説の魔獣
異世界の通貨でネット通販が使えておまけに食材にバフが乗るというチートモノ.

料理描写がクドくないバランスでちゃんと美味しそうに感じる点が良かったです.

キャラクターもさっぱりしてますが神狼と女神がコロッと食べ物で陥落するあたりがコミカルで面白いですね.

経済的にも能力的にもかなりやばい能力なんですがお気楽な主人公が全能感を和らげていて良い塩梅です.

改めて思う日本のネット通販ほんとヤバすぎる.

またいろんなキャラクターが食べ物で陥落するさまが見れそうなのでそこが楽しみな作品です.


感想 『ストライクフォール 2』 競争の意味を問う


競争の意味を問う

あらすじ・内容

競うことは、争うことなのか。

史上、類を見ない“ルール違反”。
雄星は処分決定を待つ間、二軍練習場へと送られる。

前代未聞のスキャンダルを起こした異邦人に、選手たちはただただ冷たかった。無数の敵意にさらされる雄星に、二軍監督、ユウキ・プラバッキーは告げる。

「ここの連中がお前に冷たいのは、弟のことだけでも、ペナルティのことだけでもねえよ。みんな、パワーの時代が怖いのさ。おまえはストライクフォールの次の時代そのものだからな」

あの日、雄星のもたらした慣性制御技術は、ストライクフォールをまったく別の競技に変えてしまったのだ。

「おまえに残された道は、二つだ。時代を殺した男として恨まれながら勝者になるか、それとも、誰かがそうした勝者として栄光を掴むのを、指をくわえて見ているかだ」

同じく懲罰で試合機会を奪われたアデーレ。
ストライクシェルの整備を学びはじめた環。
みな、大切なものを失った傷を抱えながら、新たな戦いを始めている。
なら――俺は。
めまぐるしく変化する世界、「戦争」と「競技」の狭間で。
雄星は、ストライクフォールともう一度向き合う。

兄弟の憧れを、答えをこの手に“掴む”ために。

SF界の俊英が放つ疾走スペースグラフィティ、待望の第2弾!!

すべてのことが文字通り戦争に近いスポーツ競技の中でエンターテイメントになりうる要素,少年少女だったり関係性だったりを詰め込んだ贅沢な作品です.

衝撃の1巻目直後から2巻はスタート.事後処理と新しいチャレンジの目の前で葛藤し挫折を味わう主人公……王道ですがなかなかエグい味付けになってます.

もがいている主人公は等身大な若者そのものなんですが何処までも前向きなのに弱さを認め悔しがる様がありありと描写されているのでストレスがかかります.

しかしそれでも前を向き続け諦めないところがスカッとしますし周りも何処か憎めない奴らで清々しいですね.

ロボット,宇宙,スポコン,挫折となかなか挑戦的な今作ですが今後もしっかり追いかけたいと思います.


感想 『86―エイティシックス―』 自由の果ての自由


自由の果ての自由

あらすじ・内容

第23回電撃小説大賞《大賞》受賞作、堂々発進! 最終選考委員と、編集部一同をうならせたエンターテイメントノベルの真・決定版!

サンマグノリア共和国。そこは日々、隣国である「帝国」の無人兵器《レギオン》による侵略を受けていた。しかしその攻撃に対して、共和国側も同型兵器の開発に成功し、辛うじて犠牲を出すことなく、その脅威を退けていたのだった。 そう――表向きは。 本当は誰も死んでいないわけではなかった。共和国全85区画の外。《存在しない“第86区”》。そこでは「エイティシックス」の烙印を押された少年少女たちが日夜《有人の無人機として》戦い続けていた――。死地へ向かう若者たちを率いる少年・シンと、遥か後方から、特殊通信で彼らの指揮を執る“指揮管制官(ハンドラー)”となった少女・レーナ。二人の激しくも悲しい戦いと、別れの物語が始まる――!


安全な場所にいる差別の加害者と死と隣り合わせにいる被害者との交流を通して明かされる世界の謎,喪失と絶望,そして自由とは何かを考えさせる哲学的なテーマ……大変楽しめました.

人を人扱いしないことで精神的にもリソース的にも問題解決した内陸の人々がいかに堕落しているのをありありと描写することで行動的には相当束縛されている外の兵士たちの生き生きとした表情が際立つようになっています.

ヒロインと主人公の交流で様々な事実が明かされていくのですがそれが本当にわくわくする内容で毎回新鮮な驚きがありました.

どうしようもない状況の中なのでキャラクターたちは一様に重々しいものを背負っているのですがそれを吹き飛ばすような強い意志,生命力に溢れていて読んでいて気持ちよかったです.

差別する側とされる側……果たしてどちらが自由で高潔なのか……エピローグは必見です.

この一冊で完結してはいるものの続きも出るようなので大変楽しみにしています.


感想 『エイルン・ラストコード 〜架空世界より戦場へ〜  6』 衝撃の結末のその後 炎の継承


衝撃の結末のその後 炎の継承

あらすじ・内容

とにかく熱くて、火傷する、新世代ロボットライトノベル第六弾!

エイルンが殺害されて一年。マリスの侵攻が活発化し、人類は窮地に追い詰められていた。第二部スタート。とにかく熱くて、火傷する、新世代ロボットライトノベル第六弾!

前巻の衝撃の結末から幕が上がり,第二部がスタート.

世界の悪意が暴かれ,最悪の一歩手前で右往左往する若者たち.

月日は流れてそれぞれがもがき苦しむ中,新たな狼煙と受け継がれた炎の輝きがどんどん鮮明になっていく快感がありました.

アニメで言うと分割2クールの最初な感じなのですがここまでアツくさせてくるのはさすがといったところです.

特筆するべきキャラクターの魅力の高さ.悩み苦しみ,それでもひたすらに前を向いてときには誰かの背中を追いかけ,過去に向き合い,戦いをやめないその意志の輝き……素晴らしいです.

胸を打つその在り方もそうなのですがまた世界を取り巻く絶望的な状況もいいですね.

内外の敵がいてそれぞれに思惑があり,第三の第四の勢力が現れてますます確固たるキャラクターたちのアイデンティティーが試されています.

そしてロボットもので定番の上位機体への乗り換えイベント……最高ですね.

血が滾る展開と巨悪の陰謀,害悪な怪物たちに輝ける若い力.

壮絶な幕開けになった第二部からも目が離せなさそうです.


感想 『境域のアルスマグナ 緋の龍王と恋する蛇女神』 夫婦の進む道


夫婦の進む道

あらすじ・内容

「私はあなたの妻です」と、創造神(かのじょ)は言った。

鬼柳怜生・享年17歳。彼の生涯は双子の姪をかばって儚く幕を閉じた……はずだった。死者蘇生すら可能な力を手に生き返った怜生。世界を一変させる存在となった彼の、全世界を相手にした戦争が幕を開ける――!

非常によくねられた設定と生き生きとしたキャラクター.

主人公もまさに王道を行く正義感があって等身大なのに何処か執着的なタイプ.

丁寧なバランスの良い描写の中にもオリジナリティあふれるやり取りや世界の広がりが感じられて読んでて楽しかったです.

ヒロインがウザい点は賛否両論ですが今後いろいろなキャラクターが追加されることを考えるとこれくらい目障りな感じがちょうど良いかも.

魔術でどうしてもやり抜きたいこと,それを見つけた主人公がどのような覇道を突き進むのか.

まだまだ見どころはたくさんありそうですね.


感想 『キミもまた、偽恋(オタク)だとしても。1〈下〉』


はっきり系オタクの恋模様

あらすじ・内容

「隠れオタク」と「隠れ腐女子」の恋愛って、結構たいへんです。

「隠れオタク」として高校デビューを果たした村上政樹は、「隠れ腐女子」の長島薫子と「偽装恋人」関係を続けていた。二人ともがオタクであることを知らぬまま。自分がオタクであることをバラさないよう、慎重に。デートの約束も取り付け、順調に恋人としてのイベントを積み重ねる二人。だが、二人が本当に楽しみにしていたイベントは別にあった。それこそがオタクの祭典、同人誌即売会! オタクの血が騒ぎ、理性を失う空間。そこで二人は同時に居合わせてしまい……。そして、同人誌即売会後に二人にとっての初デート当日を迎えることに!? 政樹と薫子の「偽装恋人」関係と彼らの「秘密」の行方は!?

三人称で妙に理屈っぽくすすむ二人のつかず離れずな見ていてじれったいラブコメっぷりがあいかわらず魅力の作品です.

オタクとして,というよりむしろ隠れオタクとしてのイベントを着々とこなしつつ少しずつほんの僅かな距離を縮めていくスタイルですね……あぁじれったい!

キャラクターは誰も彼もいい意味で淡々としていて理屈付けがしっかりしている感じ.

偶然のすれ違いをいかにたくさん演出するかが肝になると思いますので今後もじれったい甘酸っぱい恋愛模様を楽しめそうですね.