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感想 『86-エイティシックスー』 自由の果ての自由


自由の果ての自由


安全な場所にいる差別の加害者と死と隣り合わせにいる被害者との交流を通して明かされる世界の謎,喪失と絶望,そして自由とは何かを考えさせる哲学的なテーマ……大変楽しめました.

人を人扱いしないことで精神的にもリソース的にも問題解決した内陸の人々がいかに堕落しているのをありありと描写することで行動的には相当束縛されている外の兵士たちの生き生きとした表情が際立つようになっています.

ヒロインと主人公の交流で様々な事実が明かされていくのですがそれが本当にわくわくする内容で毎回新鮮な驚きがありました.

どうしようもない状況の中なのでキャラクターたちは一様に重々しいものを背負っているのですがそれを吹き飛ばすような強い意志,生命力に溢れていて読んでいて気持ちよかったです.

差別する側とされる側……果たしてどちらが自由で高潔なのか……エピローグは必見です.

この一冊で完結してはいるものの続きも出るようなので大変楽しみにしています.


感想 『命がけのゲームに巻き込まれたので嫌いな奴をノリノリで片っ端から殺してやることにした 1』 最悪最高の後出しジャンケン


最悪最高の後出しジャンケン

あらすじ・内容

新井和馬は気が付くと見知らぬ空間にいた。突如現れた「ナナ シ」により、クラスメイトや教師たちと生き残りを懸けたゲームをさせられることを知った和馬は、超高校級の女優・鉄山徹子をパートナーに、その頭脳を武器 に嬉々としてゲームに臨むのであった。第9回HJ文庫大賞「大賞」受賞作が満を持してついに登場!

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こういった作品が大賞を取ること自体がクールすぎです.HJ見直しました.

バトルロワイヤルでゲームを通して殺し合えーな作品でライトノベルでは割と昔からある題材ではあるものの,作者のセンスとキャラクターの言動でしっかりと唯一無二な作品に仕上がっています.

まず最後のゲーム以外は非常にルールがシンプルで,だからこそキャラクター同士,さらには読者に対してもフェアな空気が出ている点がとても良かったです.

また主人公が最高.いや最低か.

どこまでもひん曲がった芯が魂の中心をビシぃと貫いていて見ていて気持ち悪いほどにいい味出してます.

エンターテイメントとして成立させること自体が難しい題材と思ってますが,読みやすさや爽快さを演出する工夫が随所に勝手ながら感じました.素晴らしい.

しかもこれ続巻あるんですね……難しいでしょうがぜひ追いかけたいと思いました.

だけどこれ,個人的におすすめできる人が本当に限られますね!